【重賞回顧】第36回エプソムカップ(GⅢ)

VS4歳。夏はVS3歳だけではない。今年は4歳世代からも目を離せない

 

東京競馬場芝1800mはGⅠレースが施行されないのが不思議なほどのチャンピオンコース。共同通信杯東京スポーツ杯はいずれもクラシックに直結する重賞であり、毎日王冠府中牝馬SはGⅠの前哨戦として好メンバーが揃う重要なGⅡレース。エプソムカップはGⅠシーズンの末期、谷間の重賞という位置づけではあるが、4歳馬の活躍が目立ち、クラシック活躍組に遅れをとった馬が反転攻勢に出るきっかけにもなっている。

 

エプソムカップ出走馬がパドックに出るタイミングで雨脚が強まった。内馬場に掲げられたユニオンジャック、やはりエプソムは雨が似合う。昨秋から開催時にほぼ雨が降らなかった東京競馬場の芝にとっては恵みの雨。異常事態と言ってもいい高速馬場もこの雨でひと休みというところだ。

 

1番人気ソーグリッタリング。今春は準オープン、オープンと連勝。桜花賞戦線にも乗ったソーマジックが母、父は今春の東京競馬場で躍動するステイゴールド。5歳にしてようやく本格化を迎えた印象がある。

2番人気はセントライト記念勝ちがあるミッキースワロー。AJCC2着があるも、やや器用さに欠ける馬で、前走新潟大賞典2着で再度きっかけをつかんだ。

以下、プロディガルサン、ダノンキングダム、レイエンダ、アンノートル、サラキアら重賞タイトルを目指す組が続き、復活を期すタイトルホルダーのプレスジャーニーなど混戦模様を呈していた。

 

レースはスタート直後に大きなポイントがあった。大きく出遅れたアップクォークを除き、ほぼ一線のスタート。そのなかでやや速かったサラキア、レイエンダ、ダノンキングダム。3頭どの馬もすぐに手綱を押さえ、控える素振りをみせる。以前は大逃げもあったダノンキングダムだが、府中Sで抑える競馬で結果を出しているだけあって、今日も行きたくない。後ろから押して先手を取ろうという馬もおらず、サラキアの丸山元気騎手、レイエンダのC.ルメール騎手、手綱を短く持って引っ張りきりの両ジョッキーがお互いに牽制、ハナを譲り合っているようだ。結局はやや、抑えがきかなさそうなサラキアが押し出されてハナに立った。レイエンダはその直後の外2番手に収まっていった。

 

2頭の直後にストーンウェア、ダノンキングダムは外の4番手、2頭の間にソーグリッタリングが入っていく。中団外に壁ができずに折り合いを欠き気味なアンノートル、間にカラビナ、インにプロディガルサンが続く。

後方馬群の外にプレスジャーニー、インにショウナンバッハ、一列後ろにミッキースワロー、ハクサンルドルフ、出遅れたアップクォークが続く。

 

1000m通過は63秒9。本来は逃げ戦法をとらないサラキアのペースがあがるはずもなく、道中は12秒台後半の緩やかなラップが続く。後続も折り合いに専念、動く馬はいない。サラキアは4角手前の残り600mから11秒0と1秒以上のペースアップを図る。インは馬場が悪いのか、そこを避けて馬場の真ん中を回って直線コースに出てくる。

 

典型的な上がり3ハロン勝負になり、どの馬も手応えよく外めを回って進出するなか、外を追走していたプレスジャーニーが4角でただ1頭インを突き、前との差を一気に詰める。後続の手応え以上に前のサラキアとレイエンダの手応えがよく、後続はじわじわと2頭にリードを広げられてしまう。粘るサラキアを外から捕らえるレイエンダ。インからプレスジャーニー、プロディガルサン、外から追撃態勢に入ったソーグリッタリング、遅れながらショウナンバッハが差を詰める。残り200m、坂をあがってからの攻防で先頭に立ったレイエンダが、抵抗するサラキアとの叩き合いを制し、重賞初制覇を遂げた。2着は逃げて粘ったサラキア、3着は外を伸びたソーグリッタリングがあがった。勝ち時計1分49秒1(やや重)。

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1~3着馬コメント 

1着レイエンダ(5番人気)

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おなじみダービー馬レイデオロの弟。3歳春後半から夏にかけて連勝、セントライト記念2着で本格化の気配を感じさせたが、その後はやや競馬で位置取りを下げる場面が目立ち、精彩を欠いていた。ここ数戦のイメージを払拭するようにスタートを決め、ハナに立つかと思わせるほどの行きっぷり。サラキアを行かせて、スローペースの2番手という絶好位置をとれた点が勝因だろう。降級制度廃止により、オープンに在籍できたことも大きい。出走しなければタイトルは取れない。今後もローカル重賞戦線では4歳馬がポイントになるだろう。

 

2着サラキア(7番人気)

ローズS2着、秋華賞4着の好素材。京都金杯阪神牝馬Sも小差だっただけに好走は不思議でもなんでもない。しかし、同日に牝馬限定のマーメイドSがありながら、牡馬相手のエプソムカップ出走を決めた陣営の戦略も見事だった。距離適性を考えてのものだろうが、人気が示すように当然周囲のマークも甘くなる。押し出されたものではあったが、意を決してハナに立ち、マイペースで進めたのもマークの甘さゆえのもの。心理面まで含め、エプソムカップ出走は吉と出た。

 

3着ソーグリッタリング(1番人気)

こちらは展開に泣いた。もう少し強気に乗ってもよかった印象。控えたことで展開の不利を受け入れる競馬になったが、それでも後方から1頭だけ最後まで伸び続けており、負けて強しの競馬だった。ステイゴールドは今春の東京芝の特注種牡馬。4着ショウナンバッハも含め、この不利な流れに逆らえたのは血の勢いも大きい。

 

総評

残念ながら取り消したソウルスターリング、馬場に泣いたミッキースワロー、馬場の悪いインを急襲したプレスジャーニーの5歳重賞ウイナー、ソーグリッタリング、ダノンキングダムら同世代の重賞タイトルを目指す組は結果的に降級しているはずの4歳レイエンダ、サラキアに屈してしまった。前半1000m63秒9、上がり32秒9の究極の上がり勝負を逃げた馬と番手にいた馬が入れ替わった結果ではあるが、この2頭はいずれも新ルールによってここに出走できたわけで、ルール改正が明暗を分けた部分もある。そうは言いつつ、ルール改正の是非などはここで問うべきではなく、ルールが改正された以上、今後はこのように4歳馬が夏の重賞戦線で活躍するであろうことは頭に入れておきたい。

5歳勢も有力馬は展開や馬場の影響に泣いた馬が多く、今後はより強力布陣になるであろう4歳包囲網をきっと突破できるだろう。この激突は今年から始まる夏の風物詩になる。

 

 

(勝木淳)

(写真・かぼす)

【日曜の重賞情報】秋に向けて実績馬の兄妹が飛躍を誓う マーメイドステークス&エプソムカップ

阪神11R 第24回マーメイドステークス(G3)3歳以上牝馬限定・ハンデ戦 芝2000m 16頭立て 発走15:35

今年の主な出走馬

フローレスマジック(牝5 美浦・木村厩舎 55㎏ 石橋騎手騎乗)

福島牝馬ステークス2着のフローレスマジックがトップハンデの55㎏で出走します。

 

3歳時にはオークスにも出走した馬ですが(6着)、2勝目を挙げたのが昨年の1月。昨年の秋に連勝してオープンクラスに入りました。ターコイズステークス(G3)では11着に敗れましたが、中山牝馬ステークス5着、そして前走の福島牝馬ステークスでは2着に入りました。

 

兄姉には安田記念を制したサトノアラジンエリザベス女王杯を制したラキシスがいます。サトノアラジンは6歳の時に安田記念を制覇。ラキシスは4歳の時にエリザベス女王杯を制するなど、この一族は大器晩成型の血統だと思います。

 

エリザベス女王杯などの秋のG1シリーズに向けて、まずは初の重賞タイトルを獲得したいところです。

 

センテリュオ(牝4 栗東・高野厩舎 54㎏ 北村友騎手騎乗)

9戦して4勝、2着4回の安定した戦績のセンテリュオ。こちらは2番目にハンデが重い54㎏での出走となります。

 

こちらの兄、トーセンスターダムは日本できさらぎ賞など重賞競走を2勝。オーストラリアへ移籍後はオーストラリア競馬シーズン前半を締めくくる重要な競走であるエミレーツステークスなどG1レースを2勝した馬です。

 

センテリュオの血統の凄さは3代母のクラフティワイフにあります。クラフティワイフの血を持つ馬には天皇賞・秋を制したカンパニー、トーセンジョーダンのG1ホース。京都新聞杯を制し、種牡馬としても活躍しているトーセンホマレボシなど多くの活躍馬がいます。

 

そのクラフティワイフの血を持つ活躍馬にセンテリュオは果たしてなれるのでしょうか。

 

モーヴサファイア(牝5 栗東池添学厩舎 54㎏ 川田騎手騎乗)

阪神コース4戦2勝2着2回とパーフェクトな戦績を収めているモーヴサファイア。前走の但馬ステークス(1600万下)で破ったフランツ、テリトーリアルは次のレースで勝っており、レベルの高さが伺えます。

 

モーヴサファイアの半兄のブラックスピネル(父はタニノギムレット)は東京新聞杯を制した馬です。また、祖母のタンザナイトからは今年の京都記念等、重賞2勝を挙げているダンビュライトがいる血統です。さらに、3代母のキャサリーンパーの一族からは宝塚記念を制したマリアライトなどG1ホースが出ています。

 

但馬ステークスで破ったテリトーリアルはリステッド競走の都大路ステークスでエプソムカップの有力馬ソーグリッタリングの2着と健闘。得意の阪神コースで悲願の重賞制覇に挑みます。

 

その他の馬では、

愛知杯3着のランドネ(牝4 栗東・角居厩舎 54㎏ デムーロ騎手騎乗)。パールステークスを勝ったスカーレットカラー(牝4 栗東高橋亮厩舎 53㎏ 岩田康騎手騎乗)、2着のクィーンズベスト(牝6 栗東・大久保厩舎 52㎏ 松山騎手騎乗)が出走します。また、4戦3勝のレーツェル(牝4 美浦・伊藤大厩舎 51㎏ 和田騎手騎乗)も侮れません。

 

東京11R 第36回エプソムカップ(G3)3歳以上別定戦 芝1800m 13頭立て 発走15:45

今年の主な出走馬

レイエンダ(牡4 美浦・藤沢和厩舎 56㎏ ルメール騎手騎乗) 

2017年の日本ダービーレイデオロの弟、レイエンダが重賞初制覇を狙いに出走します。

 

デビュー戦を制し、一躍クラシック候補と言われていましたが、骨折のためクラシック戦線には出走せず。3連勝して臨んだセントライト記念ではジェネラーレウーノの2着となり、重賞制覇は近いものと思われていました。しかし、1番人気で臨んだチャレンジカップでは6着、東京新聞杯では8着に大敗。前走のオープン特別メイステークスは9着と近走は振るいません。

 

メイステークスの敗因は「返し馬から硬い馬場を気にして突っ張って走った」と陣営が語っていたように高速馬場が敗因かもしれません。また、直線で何度もバランスを崩していたので、前走の9着で力を見限ることはないと思います。

 

今週の天気を見ると、雨の予報も出ている東京地方。馬場が柔らかくなって、レイエンダにとって恵みの雨になるのでしょうか?

 

プロディガルサン(牡6 美浦・国枝厩舎 56㎏ レーン騎手騎乗)

今年のオークスを制したラヴズオンリーユーの兄、ドバイターフを制したリアルスティールの弟のプロディガルサンも重賞初制覇に燃えています。

 

こちらは2016年の日本ダービー(10着)、菊花賞(11着)に出走しました。しかし、3勝クラス(旧1600万下)を勝つのに1年3か月掛かりました。オープンに昇格しても、ディセンバーステークス、六甲ステークス、谷川岳ステークス、3戦連続2着と今一歩の戦績が続いています。

 

東京コースは11戦1勝のみですが、2着4回、3着2回と安定した戦績。先週の鳴尾記念短期免許騎手として最多の重賞5勝目をマークしたレーン騎手とのコンビで初重賞制覇を狙います。

 

ミッキースワロー(牡5 美浦・菊沢厩舎 57㎏ 横山典騎手騎乗)

秋のG1戦に向けて、実績馬も賞金を稼ぎたいところです。昨年のジャパンカップで5着に健闘したミッキースワローもここは必勝態勢で臨むと思います。

 

今年初戦の新潟大賞典では4コーナー12番手から直線で狭いスペースを猛然と追い上げて、勝ったメールドグラースと0.1秒差の2着に入りました。ただ、メートルグラースが54㎏の軽量だったのに対し、57.5㎏のハンデを背負ったミッキースワロー。メートルグラースが続く鳴尾記念を制した辺りを見ると、ここでは負けられないメンバー構成となっております。

 

休養明け2戦目で更なる上積みが期待されそうなミッキースワロー。秋のG1シリーズ出走に向けてここは負けられないレースとなるでしょう。

 

 その他では、リステッドレースを連勝中のソーグリッタリング(牡5 栗東・池江厩舎 57㎏ 浜中騎手騎乗)、東京コース得意のダノンキングダム(牡5 栗東安田隆厩舎 56㎏ 三浦騎手騎乗)、重賞競走2勝のプレスジャーニー(牡5 栗東・佐々木厩舎 56㎏ 戸崎騎手騎乗)らが出走します。

 

日曜日のイベント情報

東京競馬場ではグリーンチャンネルの展望番組「日曜レース展望KEIBAコンシェルジュ」がトークショーを開催します。

 

支配人の小木茂光さん、秘書の守永真彩さんをはじめ、須田鷹雄さん、古谷剛彦さんのコンシェルジュに加え、2019年グリーンチャンネルイメージキャラクターを務める女優の大野いとさんが参加されます

 

11:50頃~12:20頃と14:10頃~14:40頃の2回。会場はセンターコートで行われます。

 

阪神競馬場では「ピクニックガーデンフェスタ@阪神競馬場が開催されます。アウトドアグッズやファッションの展示・販売、人気カフェの出店、アクティビティなどワクワクする企画が盛りだくさんの内容です。

 

また、10:00~14:00までの間、「駅員さんと遊ぼう!阪急電鉄ステーションイベント」と称し、阪急電鉄の阪急梅田駅、西宮北口駅神戸三宮駅神戸線運転係が合同で行うイベントが行われます。

 

なお、雨天の場合は一部のイベント中止やイベント開催場所の変更がございますのでご注意ください。

 

 

(おかのひろのぶ)

【日曜のメイクデビュー】ハーツクライ産駒の大物候補ワーケアが出走!ゴールドシップの子供もデビュー

先週は日曜の東京5Rに出走したサリオス、東京6Rに出走したモーベット、そして土曜の阪神5Rで2着に8馬身の差を付ける圧勝劇を演じたリアアメリアと、一口馬主シルク・ホースレーシングが5つあるメイクデビュー新馬戦のうち3勝を挙げました。今年の2歳戦線はシルク軍団が席巻しそうな勢いです。

 

今週は東京競馬で芝1800mの新馬戦が組まれるなど、よりクラシック路線に向けての重要なレースが多くなりそうです。早速、日曜の注目2歳馬をピックアップしたいと思います。

 

6月9日(日)

東京5Rメイクデビュー東京(芝1800m)11頭立て 発走12:30

ワーケア(牡 父ハーツクライ 母チェリーコレクト 美浦・手塚厩舎 ルメール騎手騎乗)

 

2017年のセレクトセール当歳馬部門において馬場幸夫さんが1億2420万円で落札された馬です。半姉のダノングレース(父はディープインパクト)は今年の福島牝馬ステークスで3着となりました。

 

母のチェリーコレクトは2012年のイタリアオークス、イタリア1000ギニー(日本でいう桜花賞)を制した馬。母の父のOratorioは馴染みのない種牡馬ですが、デインヒル産駒で2005年のエクリプスステークス(英国G1)などG1レースを3勝しています。

 

今年の2歳戦線で台風の目になりそうなのは手塚厩舎だと思います。桜花賞馬グランアレグリアの全弟のブルトガング、土曜のメイクデビューでデビューしたファートゥアなど多くの有力2歳馬を管理することとなりました。同じハーツクライ産駒のサリオスと同様、クラシック戦線に向けて楽しみな1頭です。

 

ゴルコンダ(牡 父ヴィクトワールピサ 母ゴレラ 美浦・木村厩舎 レーン騎手騎乗)

 

半兄にJRAで5勝し、オープンクラスまで進んだネオウィズダム(父はネオユニヴァース)がいます。一口馬主サンデーレーシングにて総額2200万円で募集された馬です。

 

母のゴレラは現役時代にはアメリカの芝G1レースのビヴァリーステークス(約1900m)を制し、フランスG1レースのムーランドロンシャン賞で2着、ブリーダーズカップマイル3着の実績を持つ馬です。

 

ヴィクトワールピサネオユニヴァースの子供なので、ゴルコンダはネオウィズダムの4分の3兄弟に当たります。ヴィクトワールピサはスピードと瞬発力を兼ね備えた繁殖牝馬との相性がいいので、欧米のマイル路線で結果を残した母との相性は良いと考えられます。

 

ラシカルガイブ(牝 父ゴールドシップ 母ロハーブ 美浦・伊藤大厩舎 柴田大騎手騎乗)

 

先週はキズナエピファネイアの子供がデビューしましたが、今週は宝塚記念連覇などG1レース6勝のゴールドシップの子供がデビューします。

 

ゴールドシップ菊花賞天皇賞・春と長距離G1レースを制した馬ということで、産駒は短中距離でのスピードがないのでは、といった疑問があがるかもしれません。

そこでラシカルガイブの母・ロハーブの血統を見ますと、父のドバイデスティネーションは2003年のクイーンアンステークス(英国G1 芝約1600m)を制した馬。血統図を見ると、ミスタープロスペクター、ダンジグ、ハビタットなど短距離で実績を残した馬の血が入っています。

 

様々なタイプが出ているというゴールドシップ産駒。

現役時代、色々な意味でファンのハートを掴んだゴールドシップの子供達は、果たしてどんな馬になるのでしょうか?

 

阪神5Rメイクデビュー阪神(芝1600m)10頭立て 発走12:15

アドマイヤヴェラ(牡 父カレンブラックヒル 母コズミックショア 栗東・須貝厩舎 デムーロ騎手騎乗)

 

今年産駒がデビューするカレンブラックヒル。現役時代はNHKマイルカップを制した他、毎日王冠などを勝利。そのカレンブラックヒル産駒のアドマイヤヴェラ。昨年のセレクトセール1歳馬部門において「アドマイヤ」の冠号でおなじみの近藤利一さんが4536万円で落札された馬です。

 

カレンブラックヒルダイワメジャーの子供ですが、ダイワメジャーの子供において唯一1800m以上の重賞競走(毎日王冠小倉大賞典)を制しました。カレンブラックヒルの血統を見ると、母系にフランスダービーを制したルファビュリューの近親配合が含まれており、その影響で距離が1800mまで持ったと思います。

 

ただ、アドマイヤヴェラの血統を見ますと、短距離型のストームキャットミスタープロスペクターの近親配合があり、現状では1600mがベストだと思います。1600mを克服すれば、将来的に期待できる馬だと思います。

 

テランガ(牡 父エイシンフラッシュ 母ジョリーノエル 栗東・武幸厩舎 北村友騎手騎乗)

 

2017年のセレクトセール当歳馬部門において寺田寿男さんが4428万円で落札された馬です。

 

注目すべき点は母系の5代母に当たるサワーオレンジです。テランガの4代母で1982年のオークスを制したシャダイアイバーをはじめ、安田記念マイルチャンピオンシップを制したエアジハードなど、今日の社台ファームの栄華を作り上げた牝系です。

 

父のエイシンフラッシュの代表産駒といえば、アイビーステークスを制したコスモイグナーツのみ。そろそろ大物が出てほしいところです。

 

 

(おかのひろのぶ)

【先週の競馬】鳴尾記念、安田記念など土日7レースの振り返り

 

6月1日(土)

東京8R 3歳上1勝クラス

ハーツクライ産駒で2番人気ホウオウサーベルが、ディープインパクト産駒で4番人気カーロバンビーナに1.3/4馬身差をつけての勝利を収めました。

勝ったホウオウサーベルは半姉に2016年紫苑S勝ち馬でオークス3着のビッシュがいます。

 

東京12R 3歳上1勝クラス

ゴールドアリュール産駒で5番人気ブロードアリュールが、パイロ産駒で1番人気パイロジェンに1.3/4馬身差をつけての勝利を収めました。

勝ったブロードアリュールは母が中央重賞5勝のブロードアピールで、良血馬としてダートでの活躍を期待されており、これで3勝目でまだまだ走れると思います。

 

阪神11R 鳴尾記念(GⅢ)

ルーラーシップ産駒で1番人気メールドグラースが、タニノギムレット産駒で5番人気ブラックスピネルに1.1/2馬身差をつけての勝利を収めました。

勝ったメールドグラースは前走新潟大賞典に続いての重賞2連勝を含む4連勝で、好調を維持しています。次走も間隔をあけないで使いたいですね。

 

阪神12R 3歳上1勝クラス

オルフェーヴル産駒で1番人気シンハラージャが、ヴァーミリアン産駒で14番人気シンアンドケンにクビ差をつけての勝利を収めました。

勝ったシンハラージャは半姉に2016年オークス馬のシンハライトがいます。

 

6月2日(日)

阪神11R グリーンS

ハーツクライ産駒で1番人気タイセイトレイルが、ステイゴールド産駒で2番人気マイネルヴンシュにアタマ差をつけての勝利を収めました。

勝ったタイセイトレイルはこれで7戦連続3着以内と、今年に入り好調を維持していて、オープンでも活躍してくれそうです。

 

東京10R 麦秋

ロードカナロア産駒で1番人気ミッキーワイルドが、サウスヴィグラス産駒で11番人気サザンヴィグラスに4馬身差をつけての勝利を収めました。

勝ったミッキーワイルドはダートになり全て3着以内の内容で、今回も1400メートルで4馬身差をつけたあたり、昇級戦ながら強い勝ち方でした。母は2010年ローズS2着馬で秋華賞でも4着と健闘したワイルドラズベリーです。

 

東京11R 安田記念(GⅠ)

ステイゴールド産駒で4番人気インディチャンブが、クロフネ産駒で3番人気アエロリットにクビ差をつけての勝利を収めました。

勝ったインディチャンブは2019年東京新聞杯を勝ち、その時の条件と同じ安田記念も勝ちました。これでマイルは8戦5勝となり、強力なライバル達を退けての価値ある勝利でした。

 

 

(中山祐介)

2019年新種牡馬紹介

競馬には色々な楽しみやロマンがあります。特に3歳世代の頂点を決める日本ダービーは特別な想いが交錯するのではないでしょうか。

ダービーを終えた瞬間から、もう来年のダービーへ向けての戦いははじまっています。

 

そこで、来年いきなりダービー馬を輩出する可能性もある2019年新種牡馬10頭を紹介したいと思います。

2018年度は2歳リーディングで新種牡馬ジャスタウェイが6位に飛び込み、2017年はキングカメハメハの後継者候補ロードカナロアが2位と健闘しているだけに、期待が高まります。

 

まずディープインパクトを父に持つ4頭をご紹介。

ディープインパクト自身が今年に入り伸び悩み、後継者が出て来ていないとの心配もある中で、今年は期待できる種牡馬が登場します。

 

2010年朝日杯フューチュリティステークス2着、2011年安田記念を制したG1馬でもあるリアルインパクト

2014年天皇賞を制したスピルバーグ皐月賞2着でダービーでも1番人気に推された経験を持つワールドエース

そしてディープインパクト産駒で近年最高の後継者候補が、2013年ダービー馬で凱旋門賞4着のキズナです。

この4頭がリーディングサイアー首位を維持している父ディープインパクトを盛り立てることにより、後継者についての心配を払拭してもらいたいですね。

 

次に紹介したいのはロードカナロアルーラーシップといった産駒が活躍を見せるキングカメハメハ産駒から、トゥザワールドです。

2014年弥生賞を制して皐月賞2着、ダービー5着となりましたが、故障もあり早くに種牡馬に転身したことで、上記2頭と並び父キングカメハメハの価値を高めることが出来るか注目です。

 

そして産駒オルフェーヴル皐月賞を制したエポカドーロを輩出したステイゴールドからは3頭に注目。

ステイゴールドはこの世を去りましたがその功績をのちに繋ぐためにもこの3頭の種牡馬の活躍は不可欠で、オルフェーヴルの初年度7位を超えることもあり得ます。

2012年金鯱賞を勝ち、有馬記念でも2着の経験のあるオーシャンブルー

2012年ダービー2着で2013年天皇賞(春)・2014年天皇賞(秋)を制したフェノーメノ

重賞11勝で2012年皐月賞有馬記念を制した芦毛の怪物ゴールドシップ

個性派3頭がデビューします。

 

そしてリーディングサイアー常連から。

シンボリクリスエス産駒で2013年皐月賞、ダービー2着で菊花賞馬にもなり2014年ジャパンカップを制したエピファネイア

ダイワメジャー産駒で2012年NHKマイルカップを制したカレンブラックヒルもデビューとなります。

 

上記紹介した新種牡馬から、近い未来にダービーを輩出することもあるのではないでしょうか。早速2歳リーディング上位も期待できるメンバーですので、期待が高まります。

 

 

(中山祐介)

【重賞回顧】第69回安田記念(GⅠ)

競馬ファンは考える。さらに深く、競馬の魅力を掘り下げて

 

ローテーション革命。

昨今の競馬における流行語のひとつ。その旗手的な馬がアーモンドアイ。シンザン記念から桜花賞オークスから秋華賞、そしてジャパンカップ、前哨戦を叩いて本番を迎えるという固定概念を吹き飛ばす快進撃が革命の風を運んだ。必要最小限にレース数を抑える戦略、その裏側には常に全力を出し切ってしまうアーモンドアイの生真面目さと体質の弱さがあるとも考えられる。

国技師(くにわざし)なんて呼ばれることもある国枝栄調教師の戦略力がこれまで革命を成功させてきた。

年明け緒戦に選んだドバイターフ(1800m)圧勝を受けて、2400mの凱旋門賞を大目標にする可能性は低く見積もられていたが、ではどこへ行くのか、今年の大目標はどこなのか。注目を集めた去就、その結果、春は安田記念出走となった。その意図は一体なんだったのだろうか。競馬ファンは考えた。アーモンドアイの安田記念出走の意義とはなにかを。

 

ダノンプレミアムはダービー以来の出走に金鯱賞を選んだ。2000m路線を選択したかと思われたが、陣営は大阪杯を見送り、マイラーズカップから安田記念というローテーションに決めた。金鯱賞を危なげなく勝ったダノンプレミアムはなぜ、安田記念に目標を切り替えたのか。3歳時から詰めて使えない馬だけに、大阪杯では体調が整わないと考えたのだろうか。競馬ファンは考えた。マイラーズカップから安田記念という臨戦は復帰当初から考えられたものだったのかと。

 

4歳のトップオブトップ、アーモンドアイとダノンプレミアムの出走、香港最強マイラーのビューティージェネレーションの予備登録、安田記念は世界最強マイラーを決める舞台になるのかとワクワクさせた。連勝記録を重視したビューティージェネレーションが回避したものの、昨年2着の快速牝馬アエロリット、東京新聞杯で好時計を叩き出したインディチャンプ、昨秋のマイル王ステルヴィオ、距離短縮が不気味な天皇賞(秋)2着サングレーザー、ペルシアンナイトに昨年覇者のモズアスコット。

2強に次ぐメンバーも安田記念らしく骨太な猛者たちばかりだ。

春の東京競馬場5週連続GⅠのラスト、安田記念がはじまる。

 

中距離を走る馬にとってマイル戦での最大の課題は流れに乗ること。つまり、スタートにある。距離が短くなれば、テンのダッシュ力は速くなり、マイル戦と中距離戦では顕著に違いがある。まして、ベストマイラー決定戦、スタートで後手を踏むわけにはいかない。

 

しかし、このスタートでアクシデントが起こる。

大外枠のロジクライがゲートが開いた直後に内に流れてしまい、ダノンプレミアムやアーモンドアイが後手に回ってしまったのだ。マイル戦でも好位に乗れるダノンプレミアムにとっては痛い不利だ。

 

対照的にスタートを決めたグァンチャーレに対して内から競りかけ、ハナを奪ったのはアエロリット。この馬の戦法に迷いは一切ない。ベストは東京マイルの持久力戦であり、今年も同じような流れを作り出す。控えたグァンチャーレ、3番手にインディチャンプと先頭からここまではバラけて追走。

 

12秒2-10秒9-11秒4、前半600m34秒5はアエロリットにとってはマイペース。3番手インディチャンプにロジクライロードクエストらが押しあげ、インにサングレーザー、モズアスコット、外からエントシャイデン、フィアーノロマーノが追走。スタート直後にアクシデントがあったダノンプレミアムがジワジワと後方から中団後ろまで押しあげ、アーモンドアイはその直後のイン、ターゲットを絞っているようだ。

 

11秒3-11秒2とラップが続く。アエロリットは決してペースを緩めない。それどころか3、4角で加速していくのだ。後半5ハロンのロングスパート、自身がもっとも得意とするハイラップの我慢比べへと後ろの15頭を誘っていく。

 

11秒1 

さらに加速し堂々と先頭で最後の直線を迎えたアエロリットに外から追いかけるグァンチャーレが差を詰める。後方のダノンプレミアムは一瞬バランスを崩す。アーモンドアイはモズアスコットやインディチャンプの後ろで進路を失う。

 

11秒2

アエロリットはグァンチャーレに並ばれてもスピードが落ちない。モズアスコットとの叩き合いに競り勝ったインディチャンプが猛追する。外に切り替えたアーモンドアイはいつものように手前をさかんに変えながらも伸びてくる。インに拘ったサングレーザーも懸命に差を詰めようとする。

 

最後の200m、ラップは11秒6。坂をあがり、アエロリットはほんのわずかではあるが、ラップを落とす。ここから彼女の我慢強さ、本領の発揮である。グァンチャーレを競り落としたところにインディチャンプがやってくる。あっさり交わされるかと思われたが、アエロリットはインディチャンプが来ると、最後の力を振り絞るように抵抗を試みる。さらに大外からアーモンドアイも3番手から追ってくる。

インディチャンプ、アエロリット、アーモンドアイ。ゴール板まで続く最後のデットヒート。驚異の粘りを発揮したアエロリットをクビだけ差し切ったのはインディチャンプ。2着はアーモンドアイをハナ差凌いだアエロリット。アーモンドアイは3着に敗れた。時計は1分30秒9(良)。

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1~3着馬コメント

1着インディチャンプ(4番人気)

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ダノンプレミアム、アーモンドアイの2強を倒すための競馬、それが福永祐一騎手が掲げたテーマ。スタートを決めて前に行き、好位のインをとり、外から馬が来ても動じずにポジションを下げて馬を落ち着かせる。インディチャンプも福永騎手の無駄がないレース運びに見事に応え、その分、最後の直線で弾けることができた。東京新聞杯の内容からも東京マイルはベストな舞台であり、適性と戦略が見事に噛み合った勝利だった。それにしても意外性のステイゴールドは今度はベストマイラーを輩出、その血の裾野を広げた。アエロリットが作る加速し続けるラップ構成はステイゴールド産駒のインディチャンプがもっとも力を発揮しやすかったのかもしれない。

 

2着アエロリット(4番人気)

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昨年に続きまたも2着。東京のマイルGⅠで常にレースを作り、主役級の走りを披露しており今度こその想いは強かっただけに無念だ。後半5ハロンから最後までひたすら加速していく。この馬のラップ構成は見事という一言に尽きる。自らのスタミナを削りながら必死に最後まで先頭を守ろうとする、そんな彼女の誇り高き走り、足りないのは金メダルだけだ。

 

3着アーモンドアイ(1番人気)

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スタート直後の不利も痛いが、これまでいい位置で流れに乗れるスタートが今回は遅かった点も見逃せない。やはり、マイルのスタートは速く、センスの塊でもあるアーモンドアイですら対応できなかった。後方から進んだことで終始、馬群のなか。最後の直線も加速を促したい地点で前が壁になってしまった。進路を求めて外に出てからは彼女らしい加速が見られたが、仕掛けがワンテンポ遅れたことが致命傷となり、上位2頭に及ばなかった。それでも後方から伸びてきたのはこの馬のみであり、その脚力の片鱗は披露。悲観することはない。

 

総評

最後の直線でバランスを崩して最下位入線後に下馬したダノンプレミアムの結果とは結びつけられないことははっきり明記した上で書くが、ローテーションの難しさを露呈した安田記念だった。トップクラスの戦いとなれば、何ヶ月も前から狙い済ました臨戦過程を描き、その理想通りに馬の体調を最高潮に持っていかなければ、勝てないということだろう。アーモンドアイもドバイ帰りという難しい過程を考えれば、持ち前のセンスでよくマイル戦にフィットしてみせたというのが真実だろう。あのアーモンドアイなら当然勝てるという我々ファンの思惑が予想以上に難問だったことをこのレースは教えてくれた。

競馬ファンは考える。とにかくよく考える。だが、ときに理想を大きく描きすぎるところがある。競馬に夢を求める競馬ファンの健気な一面でもあるが、やはり競馬ファンはもっともっと考えなければいけない。考えることが大好きな我々に競馬の難しさを教えたレースであった。

 

 

(勝木淳)

(写真・かぼす)

【5月25日、26日の3歳戦】葵S、白百合S、東京優駿など土日5レースの振り返り

 

5月25日(土)

京都4R 3歳未勝利

ディープインパクト産駒で1番人気アルテラローザが、ジャングルポケット産駒で4番人気シャイニームーンに2.1/2馬身差をつけての勝利を収めました。

勝ったアルテラローザは、母に重賞2勝馬で2011年ヴィクトリアマイル3着のレディアルバローザがいます。

 

京都5R 3歳未勝利

ハーツクライ産駒で5番人気ミッドサマーハウスが、ハービンジャー産駒で2番人気モズハチキンに2馬身差をつけての勝利を収めました。

勝ったミッドサマーハウスは、母に2012年フローラS勝ち馬のミッドサマーフェアがいます。母のようにマイルくらいが合いそうですね。

 

京都11R 葵S(重賞)

ルーラーシップ産駒で1番人気ディアンドルが、ジャイアンツコーズウェイ産駒で13番人気アスターペガサスにアタマ差をつけての勝利を収めました。

勝ったディアンドルはメイクデビューでファンタジストにクビ差負けての2着はありましたが、それ以降は4連勝で挑み、アタマ差ではありましたが5連勝を飾りました。これで6戦全てスプリントで5勝2着1回となり、秋に向けて楽しみな1頭です。

 

5月26日(日)

京都11R 白百合S(L)

ヴィクトワールピサ産駒で5番人気レッドアネモスが、ディープブリランテ産駒で7番人気モズベッロに半馬身差をつけての勝利を収めました。

勝ったレッドアネモスはデビュー2戦目でコントラチェックに先着し、阪神ジュベナイルフィリーズも経験しています。今年に入っては成績が伸び悩んでいましたが、先行して自分の競馬が出来たことで勝利を手にしました。

 

東京11R 東京優駿(GⅠ)

ディープインパクト産駒で12番人気ロジャーバローズが、ディープインパクト産駒で3番人気ダノンキングリーにクビ差をつけての勝利を収めました。

勝ったロジャーバローズは12番人気の人気薄からの勝利で、見事にダービー馬となりました。鞍上の浜中騎手はダービー初制覇で、ロジャーバローズ自身も初のG1出走で制覇と記録ずくめのレース。令和初、そして7071頭の頂点を獲得しました。素直におめでとうと言いたい気持ちになる素晴らしいレースでした。

 

 

(中山祐介)

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