【重賞回顧】フェブラリーステークス(GⅠ)

真冬の砂上決戦!2018年GⅠ戦線開幕を告げるフェブラリーステークス。東京ダートに現代日本ダート界の猛者が集結!

 

年明けの京都競馬場でコパノリッキーが引退式を挙げて華々しくファンに別れを告げました。最後のレース東京大賞典を勝つなどダート界の人気者であり王者であったコパノリッキー。彼が去ったダート界において、JRAGⅠを同一年完全制覇という偉業を遂げたゴールドドリームが王者であることに異論はないでしょう。

王者に共通するのは父ゴールドアリュール。だからこそ、昨年のこのレース前に急逝してしまったことが悔やまれます。

コパノリッキーが14、15年に達成したフェブラリーS連覇を目指す王者ゴールドドリームVS各競馬場のダート重賞を勝ってきた馬たち。これが今年のフェブラリーSのテーマになっていました。

挑戦者の筆頭テイエムジンソクは昨年のチャンピオンズCで、さあ悲願のGⅠタイトル奪取かと思った瞬間、王者ゴールドドリームの豪脚に屈しました。しかし年明け緒戦の東海Sを逃げて快勝し、再び王者への挑戦権を手にしました。父クロフネが衝撃的な走りを披露した東京競馬場、まさに時は来たといったところでしょうか。

出走馬中唯一の4歳サンライズノヴァは同じ舞台のユニコーンS勝ちを含め、東京ダートでは安定して力を発揮してきました。前走根岸Sはノンコノユメの2着でしたが、東京コースでの強さは再認識させられました。このレースに強い4歳馬、そして、父はゴールドアリュール。血と若さで王者に迫ります。

根岸Sでサンライズノヴァを破ったノンコノユメは久々の勝利をレコードで飾りました。元々は3歳で武蔵野Sを制覇し、その年のチャンピオンズCでサンビスタの2着という実力馬です。根岸Sで新コンビを結成した内田博幸騎手とともに王者に挑みます。

川崎記念でGⅠ・2勝目を挙げたケイティブレイブは2月末で定年を迎える目野哲也調教師の思いとともに王者に挑戦します。

昨年の武蔵野Sで復活したインカンテーション、JBCクラシック勝ちの古豪サウンドトゥルーテイエムジンソクを破ってダート1700m日本レコードホルダーになったロンドンタウン、引退レースで中央GⅠ挑戦となった大井育ちの名牝ララベルなど伏兵陣も多士済々です。

まさに2018年GⅠ開幕にふさわしいカードとなりました。

 

 

レース回顧

前半800m45秒8、言い訳なしの正々堂々真っ向勝負!

 

東京競馬場に集まった5万人を超える観衆と全国の競馬ファンが向正面芝の上に置かれたスターティングゲートを注視しています。芝から始まる東京マイルは出遅れると挽回が難しいコースなのでスタートは重要になるからです。

絶好のスタートは外枠2頭、サンライズノヴァベストウォーリアが切りましたが、内枠の3頭、ニシケンモノノフケイティブレイブノボバカラが応戦します。キングズガードノンコノユメは遅れましたが、2頭は後方待機が定位置なので作戦に狂いありません。王者ゴールドドリームもやや遅れながらR・ムーア騎手はすかさず馬を促して中団後ろの外につけます。

スプリント戦線の王者ニシケンモノノフが持ち前のスピードで先頭に立ち、同じ白い帽子のケイティブレイブが続き、ノボバカラも追走していきます。ノボバカラに並んでいくテイエムジンソクもプレッシャーがない絶好位置につけていきます。その後ろに地方代表ララベルが食らいつきます。この5頭が先行集団を形成し、少し離れてベストウォーリアインカンテーションが続き、ゴールドドリームは中団後ろ外の定位置で追走し、末脚を溜め込んでいます。さらに後ろのノンコノユメゴールドドリームを射程におさめているようです。

ニシケンモノノフが引っ張るペースは前半800m45秒8のハイペース。ニシケンモノノフが王者ゴールドドリームを倒すためにはスピードを活かす以外にありません。横山典弘騎手の迷いなき逃げは他の馬に決して楽をさせません。ケイティブレイブノボバカラテイエムジンソクが早めにニシケンモノノフに並びかけて最終コーナーを回ってきました。

この3頭もまた王者を倒すためにはたとえスパートが早くても突き放したいのです。

この急流に耐えてこそチャンピオンたりえる。先を行く馬たちの覚悟が見えます。

 

「来るなら、来い」

 

ケイティブレイブが先頭に立って迎えた直線コース。ニシケンモノノフテイエムジンソクノボバカラは脱落していきます。ケイティブレイブも苦しい走りになります。

王者ゴールドドリームは前にいる挑戦者たちを逃すまいと4コーナーから外を進出していました。R・ムーア騎手のアクションに応えて坂下から先頭に立っていきます。

「来るなら、来い」

王者が、そう咆えたかのようでした。言い訳は決してしない、正々堂々と挑戦を受けるチャンピオンの姿が府中の直線にありました。内から食らいつくインカンテーション三浦皇成騎手の渾身の右ムチに応え、王者に並ばんとします。その時でした。王者の外に勢いよく1頭が並びかけてきました。ノンコノユメです。かつて府中で躍動したやや頭の高い走りでゴールドドリームに並びます。勢いはノンコノユメでしたが、王者はそう簡単には負けません。外にノンコノユメが並ぶとさらに伸びようとします。R・ムーア騎手内田博幸騎手による迫力ある叩き合いに遅れをとったインカンテーション三浦皇成騎手の激励とともに再度挑んでいきます。王者の称号が待っているゴールまで3頭の叩き合いは続いていきました。

これぞ砂上の頂上決戦にふさわしい姿でした。最後の最後に王者よりクビ差前に出たのはノンコノユメでした。悲願のJRA・GⅠ初制覇、そして新王者誕生の瞬間でした。王者ゴールドドリームは僅か及ばず2着、インカンテーションは3着に終わりました。

勝ち時計1分36秒0(良)、前半800mは45秒8、1000m通過が58秒3と激流だった昨年を上回る急流に、上がりは時計を要して37秒7、文句なしのチャンピオンシップレースでした。 

 

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全着順 

第35回 フェブラリーステークス(GⅠ)4歳以上オープン(ダート1600m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ノンコノユメ
せん6
内田博
 1:36.0
2
ゴールドドリーム
牡5
ムーア
クビ
3
インカンテーション
牡8
三浦
クビ
4
サンライズノヴァ
牡4
戸崎圭
3
5
レッツゴードンキ
牝6
1/2
6
キングズガード
牡7
藤岡佑
ハナ
7
メイショウスミトモ
牡7
田辺
2.1/2
8
サウンドトゥルー
せん8
ミナリク
2.1/2
9
○外アウォーディー
牡8
武豊
クビ
10
○外ベストウォーリア
牡8
ルメール
クビ
11
ケイティブレイブ
牡5
福永
1/2
12
テイエムジンソク
牡6
古川
3/4
13
ノボバカラ
牡6
石橋脩
2.1/2
14
ロンドンタウン
牡5
岩田
1.1/2
15
□地ララベル
牝6
真島大
1.3/4
16
○地ニシケンモノノフ
牡7
横山典
1.1/4

 

 

1~3着馬コメント

1着・4番人気 ノンコノユメ

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武蔵野Sを3歳で制したとき、斤量はなんと58キロでした。ポテンシャルの高さはこの事実が証明していました。根岸S制覇からフェブラリーSを勝ったのはモーニン以来です。モーニンは4歳時の記録でしたが、こちらは6歳で達成しました。中2週でのGⅠ制覇はノンコノユメがいかに高い能力を持っているかの証明でしょう。

ノンコは叔母にアイリッシュダンスがいます。つまりハーツクライの親戚にあたります。芝のマイル戦でデビュー戦を勝ち、さらにダートの中距離戦で500万下を2勝しました。ノンコと同じ馬主の山田和正氏が名づけた、ノンコノユメ。母の夢と命名された彼は見事に母の夢を叶えて孝行息子となりました。親近感ある名前と頭が高い独特な走りはまだまだ私たちに夢を見せてくれるでしょう。

 

2着・1番人気 ゴールドドリーム

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速いペースでもいつもの定位置で流れに乗り、坂下から一気に抜け出した走りは王者の姿でした。インカンテーションに並ばれるとさらに伸びて前へ出て、外からノンコノユメが来ると併せ馬の格好になって差し返そうと抵抗する。その姿勢はゴールドドリームが王者である証のようでした。来るなら来いという気迫とそう簡単には王座は渡すまいとする意地、2着ながら改めて敬意を表さねばなりません。

ノンコノユメより若い5歳、リマッチのチャンスはすぐにやって来るでしょう。その時の走りが楽しみになりました。

 

3着・6番人気 インカンテーション

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こちらは2015年のこのレースでコパノリッキーの2着。昨年はマーチSと武蔵野Sを勝ち、8歳ながら充実を感じます。今回も前に行った馬が止まる厳しい流れで一旦はゴールドドリームに並びかけました。その叩き合いで遅れながら再度盛り返してきた力は特筆すべきでしょう。8歳でも休養が長かった馬でまだまだ、これからです。

 

 

総評

 

王者VS挑戦者という視点でこのレースを見つめると、挑戦者たちそれぞれが王者を負かそうと持ち味を十分に発揮したことが分かります。逃げたニシケンモノノフも追いかけたケイティブレイブテイエムジンソクも明確に意図を持ってレースをしていました。王者ゴールドドリームはそんな挑戦者たちの戦いを真正面から受けて立ちました。その姿はとても凛々しいものでした。そんな敬意ある王者を破ったノンコノユメは新王者としてのこれからにさらなる夢が重なるような気がします。

そして、全ての挑戦者と王者に対して改めて感謝したい。2018年のフェブラリーステークスはそんなレースでした。

 

 

(勝木淳)

(写真:かぼす)

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