【重賞回顧】中山記念(GⅡ)

春が告げる別れのとき

 

2月の中山開幕は競馬に春の到来を宣言します。そして、春は名伯楽たちへのさようならの挨拶から始まります。テイエムオペラオーグラスワンダーマンハッタンカフェエルコンドルパサー。今年2月に競馬界を去る調教師たちが育てた名馬たちです。どの馬も20世紀の終わりから21世紀の初めにかけて競馬ファンを夢中にさせました。

 

最後に阪急杯を勝った福島信晴調教師を含め、今年は名伯楽たちが最後まで勝負への執念を見せてくれました。改めて敬服いたします。

 

GⅠへ、世界へと向かう、その前に

 

中山は3月にかけてトライアルレースがたくさん組まれます。中でも芝1800m戦は中山記念、中山牝馬S、スプリングS、フラワーCと4レースもあります。中山1800mは先行決着も差し決着もある展開次第の難コースです。

 

92回目になる伝統のGⅡ中山記念は、昨年からGIに昇格した大阪杯を目指して始動する馬と3月末のドバイミーティングへ旅立つ馬、春の大レースへ賞金加算を目論む馬、それぞれの想いが交錯するレースなのです。

 

昨年、クラシック皐月賞を勝ち、古馬相手にマイルチャンピオンシップを制覇したペルシアンナイトは大阪杯へのステップレースとして出走してきました。

 

ヴィブロスは昨年はこのレース5着。その後ドバイへ渡り、ドバイターフで極上の切れ味を披露して見事に世界を驚かせました。今年も同じくドバイへ渡る前に中山記念に参戦です。

 

NHKマイルC勝ちのアエロリット、昨年のこのレース2着で札幌記念を勝ったサクラアンプルール、スプリングS、福島記念と重賞2勝のウインブライト、16年チャレンジC勝ちのマイネルハニー、重賞3勝の逃亡者マルターズアポジー、小島太調教師と一緒にターフに別れを告げる重賞4勝馬ディサイファなどタイトルホルダーが揃いました。

 

 

明暗分かれるスタートの瞬間。これが中山1800mの難しさ

 

2013年中山記念で勝利を収めたナカヤマナイトの誘導で出走馬が本馬場へ現れました。現役時代に所属していたのは今週で勇退される二ノ宮敬宇厩舎。勇退に際してダイワカーリアンへの想いをコメントされていたのが印象的です。

 

中山1800mのゲートは直線半ばに置かれています。そのためスタートして1角突入まで短い期間で位置取り争いが行われます。元々、最初から控えるという心理になりにくい競馬場なので、1800m戦は位置の取り合いが激しくなります。だからこそ出遅れるわけにはいきません。

 

番手から強気な競馬が持ち味のマイネルハニーが煽って出遅れてしまいました。同馬は先行できず中団に位置します。また、1番人気ペルシアンナイトもスタートが決まらず、1角では最後方になりました。

 

柴田善臣騎手に手替わりしたマルターズアポジーが今日も堂々と先手を取ります。デビュー以来、1度も初角で先頭を譲ったことがない生粋の逃走者に作戦選択の余地はありません。1角から2角とマルターズアポジーは後ろの動向など見向きもせずにマイペースで引き離していきます。無理せず離れすぎずの2番手は大外枠からスタートしたアエロリット。枠を考えれば比較的スムーズに流れに乗っています。かなり離れた3番手にディサイファが続き、さらに間があいてウインブライト、その後にじわりと位置をあげたマイネルハニーサクラアンプルール、さらに離れてマイネルサージュヴィブロスが並び、ショウナンバッハペルシアンナイトが後方にいます。馬群は形成されない縦長の競馬にストレスを感じる馬はいません。どの馬も力を十分発揮できる態勢です。

 

前半1000m通過59秒2は遅いわけではないが速いわけでもありません。マルターズアポジーにとっては丁度いいペースでしょう。柴田善臣騎手の手綱からはマルターズアポジーの余力が感じられます。4角で捕らえにかかるアエロリットに抵抗して離しに行きます。2番手アエロリットの横山典弘騎手の手綱が動きます。外からアエロリットを交わしていくウインブライトマルターズアポジーに迫ります。昨年2着の中山巧者らしい巧みな立ち回りを見せてサクラアンプルールも追い上げていきます。直線一気を決めんとペルシアンナイトもM.デムーロ騎手のアクションに応えます。

 

早めに動いたウインブライトマルターズアポジーを捕らえて先頭に立ち、一旦は置かれたアエロリットがGⅠ馬の底力で盛り返してマルターズアポジーに再び並んで叩き合います。サクラアンプルールペルシアンナイトディサイファも猛追しますが、前の3頭との距離を縮めるには及びませんでした。

 

ウインブライトが勝ち、アエロリットマルターズアポジーをクビ差退けて2着、マル

ターズアポジーが3着。やはり中山の直線は短かった。4角で前にいた3頭でレースは決しました。時計は1分47秒6(良)。

 

f:id:umauma-free:20180228222147j:plain

 

 

全着順

第92回 中山記念(GⅡ)4歳以上オープン(芝1800m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ウインブライト
牡4
松岡
 1:47.6
2
アエロリット
牝4
横山典
クビ
3
マルターズアポジー
牡6
柴田善
アタマ
4
○地サクラアンプルール
牡7
蛯名
1.1/4
5
ペルシアンナイト
牡4
Mデムーロ
クビ
6
ディサイファ
牡9
田中勝
クビ
7
○地ショウナンバッハ
牡7
戸崎圭
3/4
8
ヴィブロス
牝5
内田博
クビ
9
マイネルサージュ
牡6
三浦
クビ
10
マイネルハニー
牡5
柴田大
3

 

 

1~3着馬コメント

1着ウインブライト(2番人気)

f:id:umauma-free:20180228222130j:plain

前が飛ばす縦長の隊列の中でも4番手でじっくり待機し、3角から4角で離れた前との距離をジワジワと縮め、物理的に届かない距離にならないように乗った松岡正海騎手の積極性と好判断が光りました。昨年の同じ舞台スプリングSが1分48秒4だったので、パフォーマンスをあげてきました。一つ年上の全姉ウインファビラス松岡正海騎手で阪神JF2着があります。母サマーエタニティにも1度騎乗経験がある松岡正海騎手はこの血統と相性がいいのでしょう。

 

2着アエロリット

不利な大外枠からでも1角までに番手に取りつくテンの速さがこの馬の最大の武器です。マルターズアポジーの逃げを利用して番手から競馬を進めました。4角の反応は鈍いながらも直線で再びマルターズアポジーを捕らえたのは底力の証明でしょう。当日はプラス16キロの馬体重だったので、叩いた次走はさらに反応が良くなるでしょう。

 

3着マルターズアポジー

今回は柴田善臣騎手に替わりましたが、戦法に迷いがありません。前半から11秒台のラップを刻み続けて4角手前で12秒台に落として息を入れるあたりはマルターズアポジーの逃げ戦法が完成されている証拠でしょう。もはやこの馬に競りかけてくる馬はいません。6歳を迎えてもまだまだやれる手応えをつかんだのではないでしょうか。

 

 

総評

あのペルシアンナイトの末脚でも後方からだと5着に終わった点から、改めて中山1800mは攻略が難しいコースだと思い知らされました。前半1000m59秒2のペースはスローの前残りではありません。末脚が活きそうな流れでも前にいた馬たちで決まったのは、かなり長い隊列になったために小回りを追い上げる過程で脚を使わされたためではないでしょうか。1、2着のウインブライトアエロリットはどちらも中山重賞で実績を残した機動力型でした。

 

 

(勝木淳)

(写真:よしフォト)

競馬の楽しさを、すべての人へ。
ウマフリとは?
ウマフリ本誌はこちら。
ウマフリブログ
コラボ企画・ご寄稿も大歓迎!
お問い合わせ