【重賞回顧】フラワーカップ(GⅢ)

桜への最終便。または新緑の府中へ向かう始発便。思惑ひしめくフラワーカップ

 

かつてフラワーCを勝って桜花賞馬となったダンスインザムードキストゥヘヴン。そして、スマイルトゥモローがオークスを勝ち、ブラックエンブレムが秋華賞馬に輝いた。古くはエリザベス女王杯の「ベガはベガでも」でお馴染みホクトベガも、フラワーCを勝利している。

優勝馬に、名牝と呼ばれる大物になる馬もいれば、重賞タイトルはこのレースのみに終わるという馬もいる──それがフラワーCだ。

時期的にも収得賞金順で桜花賞へギリギリ間に合うレースでもあり、その先のオークスへ向けた牝馬クラシック中距離戦線への出発地点でもある。

出走馬の収得賞金も、札幌2歳S勝ちがあるロックディスタウンの1950万円以外は全て桜花賞出走ライン以下の馬ばかり。500万下を勝って2勝目をあげたメサルティム、ノームコアの900万円を除くと他は全て収得賞金400万円の1勝馬が集まった。

逆に言えば、それだけ可能性を秘めた馬たちによるレースだという事だ。

一発回答で桜花賞へ行くのか、それともオークス戦線を視野に入れるのか。そうした可能性と思惑を感じるレースだ。

 

 

スローペースに支配されても、動けない。キャリアの浅さ

 

中山難関コースの芝1800m戦は当回顧で再三繰り返しているように、スタートが重要だ。1コーナーまでが短いため、出遅れは流れに乗り損ねる。

内からスタートを決めたメサルティムノームコアが控えて、成績欄のコーナー通過順位に『1』が並ぶモルフェオルフェが、すんなりハナへ立つ。

そのまま隊列は乱れずにコーナーへ突入。モルフェオルフェがペースを握って緩やかな流れで支配をする。ノームコアメサルティムが好位につけ、バケットリストカンタービレカラリエーヴァと続く。2ハロン目の11秒8以外は12秒4、12秒6とスローペースで、馬群は固まっている。

中団にいたロックディスタウンは頭を上げて折り合いを欠いている様子。その後ろの馬群に入ってトーセンブレスが追走していた。

1000m通過61秒5、明らかなスローペースでも動きがない。

キャリアが浅い1勝馬が多いレースでは大胆に動くことは難しいのかもしれない。先々を見据えた若い牝馬に負担が重い競馬を強いるわけにはいかず、さらには、そもそも中山1800mというコースがタイトなコーナーとラストの坂で動きにくいコースでもあるのだ。

勝負の4角。

レースが突如として動いた。

メサルティムが外から追い上げ、間に入ったノームコアが逃げたモルフェオルフェを捕らえにいき、カンタービレが馬群の真ん中に入ってロスの少ないコーナリングをみせる。

トーセンブレスは大外を回って一気に追い上げていく。ロックディスタウンは、道中のロスが響いたのか手応えがなかった。

そして、最後の直線。

外を回ったメサルティムをインからノームコアが差し返して先頭に。馬群にいたカンタービレはキレイに馬場の外へ出て進路を確保し、前に襲いかかる。坂下から大外を一気にトーセンブレスが駆け抜け、カンタービレに並びかける。

叩き合う2頭。

しかし、カンタービレも伸びていてヒケをとらない。トーセンブレスの猛追を僅かに凌ぎ、先頭でゴールを駆け抜けた。

クビ差2着はトーセンブレス、3着は先に抜け出したノームコアが最後まで粘った。

勝ち時計1分49秒2(良)。

 

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1~3着馬コメント

1着カンタービレ(2番人気)

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スローペースも折り合いがついて5番手ぐらいの理想的な位置で進めた。馬群に入って4角をロスなくさばき、直線は巧みな進路取りで先行集団の外に出たのは、ミルコ・デムーロ騎手らしい味な競馬。4角から直線にかけてトーセンブレスより早く外に出した地点が勝因だろう。

カンタービレの武器は、このような競馬に対応できた器用さではないだろうか。

父ディープインパクト×母父ガリレオ

切れ味と重厚さのマッチングが見事だ。

オーナー、トレーナー、ジョッキーは菊花賞馬キセキと全く同じで、チームワークの良さもあった。

次走は未定なものの、収得賞金400万円のカンタービレにとっては大きな重賞タイトルとなった。


2着トーセンブレス(3番人気)

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スタートで後手を踏んで後方馬群の中を進み、4角でややもたつきながら大外を追い上げた。

まだまだロスが多い競馬は課題なものの、それでも大外を真っ直ぐ伸びてきた末脚は見所十分な内容と言える。

陣営から「NHKマイルC目標に」というコメントがあったように素質開花はまだ先で、期待が膨らむ。

 

3着ノームコア(4番人気)

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キャリア3戦目ながら器用な立ち回りで3着に残った。

スローペースにも恵まれたということもあるが、流れに乗りつつコーナーリングもインを上手に回ってきた印象を受ける。こうした機動性は中山1800m戦では大きな武器であり、今日はそれを最大限に活かせた結果といえる。

 

総評

1番人気素質馬ロックディスタウンの転厩緒戦として注目される1戦だった。パドックからテンションが高く、競馬でも折り合いを欠いてしまう結果に。この時期における牝馬の難しさを、改めて感じさせてくれた内容。

勝ったカンタービレも2着トーセンブレス父ディープインパクト。中山1800m向きではない血統だが、それでも結果を出したのは素質の高さのあらわれだろうか。

しかしながら、カンタービレ母父ガリレオトーセンブレス母父ファルブラヴとどちらも欧州系との組み合わせなので、もしかすると、スローペースでも切れ味勝負になりにくい中山芝1800mという舞台が逆に良かったのかもしれない。

トーセンブレスはアルテミスSで0秒5差の6着。改めて今年も桜戦線はアルテミスSがポイントになっていることを証明した。

アルテミスSは歴史が浅い重賞ではあるものの、2歳秋の東京マイル戦は先々まで重要になってくるだろう。今年の秋まで覚えておきたいところだ。

 

 

(勝木淳)

(写真:かぼす)

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