【重賞回顧】スプリングステークス(GⅡ)

皐月賞の最終トライアル、スプリングS。残された3枚の切符をかける若駒たちの激戦

 

前日の若葉ステークスでタイムフライヤーがまさかの敗戦を喫した。

収得賞金5350万円の同馬が権利を獲れなかったことは、皐月賞の賞金ラインをさらに上げるという結果に繋がる。

スプリングS出走馬のほとんどは、皐月賞出走のためにこのレースで3着以内に入らなければならない──まさに、最終トライアルだ。

 

1番人気はステルヴィオ。朝日杯FSで弥生賞快勝ダノンプレミアムの2着で収得賞金3250万円。こちらは皐月賞出走は確定組ではあるものの、ロードカナロア産駒の距離不安を一蹴するためにはいいレースをしたいところ。

 

2番人気に支持されたルーカスはご存知モーリスの全弟。こちらは実績はここまで重賞2着のみで収得賞金1050万円で、3着以内に入らなければ皐月賞出走は厳しい状況だ。

 

3番人気エポカドーロは小倉で2000mの500万下特別を逃げ切っての参戦。こちらも収得賞金900万円と権利獲りは必須条件となる。

 

そして、北海道競馬からクラシック戦線へ挑戦状を掲げたハッピーグリンは前走セントポーリア賞で上がり3ハロン33秒3の決め手を披露。ただの挑戦ではなく、意欲の挑戦であることを証明した。こちらも収得賞金は850万円。是非とも出走権が欲しいところだ。

 

 

コスモイグナーツ、覚悟の逃走。

 

スタートで収得賞金900万円のカフジバンガードが後手を踏み、好発を決めたエポカドーロと、クリールカイザーの弟ライトカラカゼ(収得賞金400万円)が先手を取ろうとすると、内のコスモイグナーツ(1200万円)がすかさずそれに反応し、先手を主張する。最初のコーナーを回ってもペースを落とさずに後続を引き離しに。これが3着以内に入るためにコスモイグナーツに残された、唯一の作戦だったのかもしれない。

2角から向正面に出てもペースを全く落とさず、11秒台から12秒台前半のラップを刻んだ。

 

かなり離れた2番手にはエポカドーロが。

小倉戦は逃げ切り勝ちだったが、今日は2番手で折り合う。その直後にライトカラカゼが、さらにはマイネルファンロン(収得賞金400万円)とワイルドフラッパーの弟ビッグスモーキー(収得賞金900万円)が続く。ハッピーグリンはその後ろに。

ハッピーグリンの外からステルヴィオ、内にレディパステルの近親バールドバイ(収得賞金400万円)が続く。背後には折り合い専念のルーカスレノヴァール(収得賞金900万円)が控え、以下、フォルツァエフ(収得賞金400万円)、ショウナンマイティの弟ゴーフォザサミット(収得賞金900万円)、カフジバンガードと続いた。

 

この間にコスモイグナーツは後続を10馬身以上も引き離す大逃げに持ち込んでいた。

前半1000m通過は59秒6。同じ舞台で行われたフラワーCとは対照的な激流となった。コスモイグナーツは3角から4角で僅かにペースを落としたものの、後ろを待つ必要はなかった。4角から津村明秀騎手の手は動き、懸命に懸命に前半のリードを活かそうとする必死の走りだ。

 

コスモイグナーツの脚が鈍りだしたところでエポカドーロハッピーグリンが襲いかかる。2頭ともこのチャンスを逃すわけにはいかない。

内から抜けるハッピーグリンを外からねじ伏せるエポカドーロが先頭に立つ。引き離したかに見えたが、そこへ外からステルヴィオが強襲し、1、2着はこの2頭に絞られる。

最後の切符をかけた3着争いは内をすくったバールドバイハッピーグリンの外からマイネルファンロンレノヴァール、さらには交わされながらもハッピーグリンも抵抗する。

 

中山競馬場のゴール板前で皐月賞出走をかけた若駒たちの執念が激突した。

 

結果、最後の最後にステルヴィオがハナ差捕らえて1着、エポカドーロは2着、そして3着争いはハナだけマイネルファンロンバールドバイを退けた。

勝ち時計は1分48秒1(良)。

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全着順

第67回 フジテレビ賞スプリングステークス(GⅡ)3歳オープン(芝1800m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ステルヴィオ
牡3
C.ルメール
 1:48.1
2
エポカドーロ
牡3
戸崎圭太
ハナ
3
マイネルファンロン
牡3
柴田大知
3.1/2
4
バールドバイ
牡3
北村宏司
ハナ
5
レノヴァール
牡3
北村友一
アタマ
6
カフジバンガード
牡3
内田博幸
クビ
7
ゴーフォザサミット
牡3
田辺裕信
クビ
8
□地ハッピーグリン
牡3
大野拓弥
クビ
9
ルーカス
牡3
M.デムーロ
3
10
ビッグスモーキー
牡3
浜中俊
2.1/2
11
コスモイグナーツ
牡3
津村明秀
1.1/2
12
ライトカラカゼ
牡3
丸山元気
4
13
○外フォルツァエフ
牡3
F.ミナリク
7

 

 

1~3着馬コメント

1着ステルヴィオ(1番人気)

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中団から進み、先に抜け出し、セーフティリードと思えたエポカドーロに一気に迫った坂下からの末脚は特筆もの。最後の最後の勝負強さはロードカナロア産駒らしさと言ったところでしょうか。1800mで最後に決め脚を使えた点は皐月賞に向けて好材料。

 

2着エポカドーロ(3番人気)

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コスモイグナーツの大逃げにもペースを乱されず、ジリジリと差を詰めて一気に抜け出した。最後にやや苦しくなったのはペースを考えれば仕方ないだろう。一緒に抜け出したハッピーグリンを置き去りにした点に、前へ行って踏ん張るだけではないことを証明した。好位からひと脚使える器用さは見逃せない。

 

3着マイネルファンロン(6番人気)

1、2着馬とは差をつけられましたが、最後の熾烈な3着争いを制した勝負根性は父ステイゴールド譲りだろうか。ハイペースを前から攻めてゴールまで伸び続けたスタミナは目を見張るものがある。

収得賞金400万円の1勝馬が意地で皐月賞出走権を確保した。

 

総評

 

出走権が微妙な馬たちによるトライアル戦らしく、ハイペースの競馬になった。コスモイグナーツの覚悟を感じ、エポカドーロの秘められた能力を感じ、ステルヴィオの鋭い末脚を感じ、マイネルファンロンの勝負強さを感じた。

抜け出してきたハッピーグリンが最後に力尽きたのは残念ではあるものの、ここでも堂々たる上位争いを演じた。輸送など厳しい環境下だが、是非ともまた挑戦してきて欲しい。9着に終わった素質馬ルーカスも含め、今後に期待できるほど濃密で厳しいレースだった。

 

 

(勝木淳)

(写真:かぼす)

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