【重賞回顧】アーリントンカップ(GⅢ)

もう一つの春の大舞台へ視界良好、レコードに名を刻んだゴドルフィン・ブルー

 

NHKマイルカップトライアルとなって~レース概要〜

 

これまでは2月の開催だったアーリントンカップ。今年からはNHKマイルカップのトライアルとして、4月の阪神開催レースとして生まれ変わった。このレースの3着までが優先出走権を得る。

 

NHKマイルカップという春の大一番に向かう若駒たち。マイル路線に進みたい実績馬と、デビューしたばかりだが期待された良血馬が対峙した。

 

メンバーの中でタワーオブロンドンだけが重賞の勝ち馬だ。しかしそれも昨年のことで、3歳になってからはどの出走馬も重賞を勝っていない。タワーオブロンドン以外、賞金的にNHKマイルカップに出場できるか微妙なところだ。どの馬にとっても、ここは3着以内に入って権利をとりたい。未勝利や500万下を勝ったばかりの良血馬たちは能力の全容を見せていないだろうから、ひょっとすると遅れてきた大物がいるかもしれない。

前哨戦ならではの難解な状況だ。

 

朝日杯はダノンプレミアムの3着、京王杯2歳ステークスを制しているため実績は一番であるものの、3か月の休み明けで3歳戦初戦となるタワーオブロンドン

 

出遅れ癖はあるものの、切れ味ある上がりで毎日杯3着が光るインディチャンプ

 

パクスアメリカーナホエールキャプチャの全弟。京都の500万下で負かした相手がNZTでアタマ差の2着と実力を証明。芦毛の馬体が姉を感じさせる。

 

レッドヴェイロンエアアルマスは白星が未勝利戦のみなれど、そのレースぶりが4、5馬身差をつけた圧勝と侮れない。

 

上位人気を見ても一長一短。

 

下位人気になっているのはきさらぎ賞3着のラセット、上がりに定評のあるダノンスマッシュだって、一線級と戦ってきた意地もあるだろう。

 

ホッカイドウから参戦のリュウノユキナにも可能性を感じずにはいられない。

 

日曜の皐月賞がダノンプレミアム回避で混戦ムードだが、こちらだって主役不在で誰が勝ってもおかしくない。 

ましてやここからNHKマイルカップの行方を占うのは、かなり難しい。

 

だが、そうした状況下で混乱した頭の疲れを吹き飛ばしてくれた馬がいた。

 

大外強襲。

 

見事なまでに他馬をまとめて差し切ったのは1番人気、タワーオブロンドン

ゴドルフィンの青い勝負服が、主役は誰かをその実力ではっきりしめしてくれた。

 

 

レース回顧

 

スタートは④ラブカンプーが一歩リード。好ダッシュを決め、先頭に躍り出る。 

二番手に②インディチャンプ、その後ろに⑦アリア、公営から挑戦の③リュウノユキナ⑨ウォーターパルフェ、内枠から様子を見るように①パクスアメリカーナがいる。

 

外回りコースにでるところで、ぐんぐんと上がってくるのが⑬ダノンスマッシュ。前2走は後方一気だったが、今回は先頭グループに横付けする。

 

中団には⑩エアアルマス⑥タワーオブロンドンが控え、一馬身離れたくらいで⑫ラセット⑪レッドヴェイロン⑧イルルーメ、そこから三馬身離れた最後方に⑤ピースユニヴァース

 

10馬身ちょっとの隊列で600m通過、34.5秒。

 

3コーナーを迎えるあたりでも、先頭は④ラブカンプー、そのすぐ後ろに⑦アリア⑬ダノンスマッシュが虎視眈々と狙っている。

 

残り600mの標識を通過して、人気の⑥タワーオブロンドン②インディチャンプは馬群の中心、インコースぴったりを走っていた。

 

1000m通過が58秒台となかなかの時計だったが、4コーナーからさらにペースアップする。

 

直線の入り口では大勢変わらず、追い出してから、じわっと伸びてきたのは②インディチャンプ。このまま押し切るかと思いきや、外目のコースから一気に脚を伸ばしてくる馬がいた。

 

⑥タワーオブロンドンだ。

 

インからするすると伸びてきた芦毛の馬体①パクスアメリカーナ②インディチャンプをかわすも、馬場の真ん中で切れる脚を披露した⑥タワーオブロンドンがさらに外から襲い掛かる⑪レッドヴェイロンをひきつれて、並ぶまもなく半馬身先にゴールした。

 

タイムは1.33.4。

 

アーリントンカップ、レースレコードだ。

 

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全着順

第27回 アーリントンカップ(GⅢ)3歳オープン(阪神・芝1600m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
タワーオブロンドン
牡3
C.ルメール
 1:33.4
2
パクスアメリカーナ
牡3
川田将雅
1/2
3
レッドヴェイロン
牡3
M.デムーロ
1/2
4
インディチャンプ
牡3
岩田康誠
ハナ
5
ダノンスマッシュ
牡3
北村友一
1.1/2
6
ピースユニヴァース
牡3
武豊
1.1/2
7
ウォーターパルフェ
牡3
酒井学
アタマ
8
イルルーメ
牡3
松田大作
クビ
9
アリア
牝3
小牧太
アタマ
10
○外エアアルマス
牡3
福永祐一
1/2
11
ラセット
牡3
藤岡佑介
クビ
12
□地リュウノユキナ
牡3
五十嵐冬樹
1.1/2
13
ラブカンプー
牝3
松山弘平
2

 

 

 

1~5着馬コメント

1着 ⑥タワーオブロンドン C.ルメール騎手 1番人気

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皐月賞を選ばずマイル路線を選んだのは間違っていなかった、そう思わせる走りだった。

 

1200mの方が合うのでは?という懸念もあったとレース後にルメール騎手はコメントしていたが、阪神のマイルでレースレコード。NHKマイルカップの主役候補として期待したくなる。

府中のマイルでどんな走りをするか、今から楽しみだ。

意外だが、管理する藤沢和雄調教師はアーリントンカップ初制覇だという。

 

2着 ①パクスアメリカーナ 川田将雅騎手 3番人気

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流石はホエールキャプチャの弟、の一言。

姉は桜花賞2着。

同じ時期、同じ舞台で2着。血は争えない。

 

高い能力を持っているのだろうと感じさせる。今回はタワーオブロンドンには屈したものの、次のレースにも期待できる内容には違いない。しかも、次走の舞台は姉が制したヴィクトリアマイルと同じ府中のマイル。

同じ走りでは厳しいかもしれない。でも、期待したくなる──そんな一頭だ。

 

3着 ⑪レッドヴェイロン M.デムーロ騎手 4番人気

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母はエリモピクシー。エリ女を勝ったエリモシックの全妹であり、産駒にはリディルクラレントレッドアリオンサトノルパンレッドアヴァンセ……と1600m、1400mでの重賞常連組がずらりと並ぶ。未勝利戦を5馬身ちぎったのは伊達ではないことを証明する3着確保だった。

優秀な兄・姉に負けずにがんばって飛躍してもらいたい。

 

4着 ②インディチャンプ 岩田康誠騎手 2番人気

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今回はすんなりと出て、直線よもやと感じさせてくれたが、相手が悪かったとしか言いようがない。すぐオープン馬に返り咲いて重賞戦線に戻ってきてくれるだろう。

 

5着 ⑬ダノンスマッシュ 北村友一騎手 6番人気

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前走や朝日杯のようなスタイルから一変。今回は前に行くレースでじりじりと粘りこんで5着。どちらがこの馬に向いているだろうか。末の上がりに決め手のある馬だと思うので、こんなものではないはずだ。

 

 

レース総括

 

下馬評では混戦でも、終わってみればタワーオブロンドンの強烈な差し切りが頭から離れない。タイムもレースレコードの1.33.4。上位三頭の人気どころで決着したが、NHKマイルカップの前哨戦として本番が楽しみとなる一戦になったことはよかった。

  

勝った馬の強さが際立つが、忘れてはいけないのは2着パクスアメリカーナと3着レッドヴェイロンだ。どちらもここまでそれほど名が通っていない。

 

わずかとはいえ皐月賞組と走ってきたインディチャンプダノンスマッシュを退けた。

 

新たな主役の誕生と、良血馬の新興勢力がもう一つの春の大舞台で再度激突する。NZT組のスピード馬たちだってズラリと素質馬が並んでいる。レースのレベルはここからさらにあがる。今から楽しみが尽きない。

 

NHKマイルカップトライアルとして、新たな歴史を踏み出したアーリントンカップ。 

そして、その最初の一歩でレコードに名を刻んだタワーオブロンドン

 

オーナーは世界を股にかけるゴドルフィンだけに、NHKマイルカップトライアルの勝ち馬だけで終わらず、世界的名馬へのステップレースになって欲しいと願ってもやまない。

 

 

(みすてー)

(写真・ゆーすけ)

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