【重賞回顧】第63回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

重賞初挑戦でアタマ差勝ち抜く!マイル王へ新たに名乗りをあげる1頭

GⅠ馬からオープンになりたての馬まで個性豊かなメンバー

 

京王杯スプリングカップは安田記念に向かうための伝統的な前哨戦だ。2014年から1着馬に安田記念の優先出走権が与えられている。(なお、国際競争に指定されているが、今回は外国馬の登録はなかった。)

 

伝統的なレースであり、距離が1400mとあって、このレースの勝ち馬はバラエティーに富んでいる。往年のマイル王もいれば、スプリンターで名を馳せた馬もおり、牡馬も牝馬もあまり関係ない。

 

そして、当レースに出走するメンバーもまた幅広い。

1、2番人気を争っていたのは、短距離路線の古豪ダンスディレクターと、レベルが高いと言われている現4歳世代で朝日杯FSを勝っているサトノアレス。続くのが遅れてきた無冠の大物グレーターロンドン、条件戦を勝ち上がってきたムーンクエイクリライアブルエース、凡走が続くとはいえ、昨年の高松宮記念の勝ち馬セイウンコウセイキャンベルジュニアは重賞での成績にむらがあり条件がよければ勝ち負けの可能性もある。

人気はいまひとつでも、シュウジウインガニオンは重賞勝ち馬だ。侮ってはいけない。

他にも短距離のオープン戦の常連が雁首そろえ、やはり1400mのスペシャリストが集うレースと言うより、ここで賞金を加算し、安田記念へと向かう、前哨戦らしい出馬表になった。

 

そして、この混沌とした前哨戦らしいメンバー構成のなか、安田記念という大目標に向けて、新たに名乗りをあげる1頭が誕生した。

重賞初挑戦ながらも、手強いGⅠ馬や古豪、重賞ウイナーたちをおさえ、アタマ一つ分だけ前に出たのだ。

 

 

時計の出る馬場で実力を発揮か、レコードタイムの勝利

 

10Rの緑風ステークス(芝2400m)では準OPにも関わらず、レコードに近い2.22.9のタイムが出ていた。天気も良く、時計の出る馬場に間違いなかった。

スピード自慢の馬たちが揃っている、速い時計になる、それに対応できるのは……と予想し甲斐のあると同時に脚の心配もしたくなる。

枠入りは順調。ゲートが開いて、そろったスタート。ややノボバカラのダッシュがつかない。

先行争いはトウショウピストラインスピリット

トウショウピストがハナを切り、3番手にセイウンコウセイがつける。

その後ろにウインガニオンシュウジ。外からあがっていくのがフィアーノロマーノ。先頭集団に差がなく、ビップライブリーアドマイヤゴッドキャンベルジュニアが続く。1馬身ほど離れてムーンクエイクダンスディレクターリライアブルエースと人気どころが様子を見ている。そのさらに後ろにダイメイフジアイラインテオドールがつけて、隊列の一番後ろにサトノアレスが控える。グレーターロンドンはそこからまた2馬身近く空いて、ポツンと最後方を走っている。

3コーナーを周り、600m通過は34.2と適度に速い流れ。

先頭は変わらずトウショウの勝負服。

4コーナーへ向かっていく。ここで最後方の有力2頭にエンジンがかかり、大外へ持ち出す。

直線へ入って、トウショウピストラインスピリットが相変わらずの先行争い。

馬群で脚を溜めていた馬たちがぐいぐいと上がってくる中、トウショウピストは坂の頂上あたりで隣を走っていた粘るラインスピリットに先頭の座を明け渡す。

しかし、ここからが差し馬の台頭だ。

馬場の真ん中からキャンベルジュニアが脚色よく抜け出してくる。

ラインスピリットを残り100mくらいで競り落とし、先頭に立つが、大外から一気にやってくるサトノアレス、うちからぐいぐい伸びてくるムーンクエイクと併せ馬になる。3頭の叩き合い。

アタマひとつ抜け出していたムーンクエイクがそのままゴールイン!

激闘はコースレコードを生み出し、重賞初挑戦ながらも強豪たちを跳ね除け、手にした勝利だった。

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全着順

第63回 京王杯スプリングカップ(GⅡ)4歳以上オープン(東京・芝1400m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ムーンクエイク
セ5
C.ルメール
 1:19.5
2
◯外キャンベルジュニア
牡6
石橋脩
アタマ
3
サトノアレス
牡4
蛯名正義
ハナ
4
グレーターロンドン
牡6
田辺裕信
1/2
5
ラインスピリット
牡7
森一馬
1/2
6
リライアブルエース
牡5
戸崎圭太
クビ
7
ウインガニオン
牡6
津村明秀
クビ
8
シュウジ
牡5
横山典弘
クビ
9
アドマイヤゴッド
牡6
内田博幸
1/2
10
テオドール
牡5
石川裕紀人
ハナ
11
トウショウピスト
牡6
田中勝春
クビ
12
セイウンコウセイ
牡5
三浦皇成
アタマ
13
ビップライブリー
牡5
大野拓弥
クビ
14
◯地アイライン
牝6
北村宏司
クビ
15
ダンスディレクター
牡8
武豊
3/4
16
ノボバカラ
牡6
武藤雅
2.1/2
17
ダイメイフジ
牡4
松山弘平
3/4
18
◯外フィアーノロマーノ
牡4
川田将雅
9

 

 

1~5着馬コメント

1着 ムーンクエイク 5歳セン C.ルメール騎手 4番人気 

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アタマ差ひとつ差しきった。3歳に去勢手術をした直後のレースでグレーターロンドンに負けているが、ここで雪辱。次は安田記念。2勝2着1回4着2回と好成績を残している府中の舞台へ堂々と駒を進める。相手は格段に強くなるが、ここで勝ち抜いたアタマ差が次回にどの程度影響があるか。本番が時計勝負ならレコード勝ちした強みを活かしてほしい。こう見えても、まだ掲示板を外したことがないのだ。

 

2着 キャンベルジュニア 6歳牡 石橋脩騎手 7番人気

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直線早めに抜け出し、レコード決着にも関わらず最後まで強い競馬をした。中山のダービー卿チャレンジトロフィーでも2着に残っているのは決してフロックではなく、今後ともこの路線でも活躍が期待できそうだ。昨年のこのレースやスワンステークスは雨・重馬場に泣かされた。次回も晴れることを祈りたい。

 

3着 サトノアレス 4歳牡 蝦名正義騎手 2番人気

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後方からの直線一気が目立ったが、もう一息届かなかった。マイルの方が向いているのだろう。順調なステップを踏んでいるという事で安田記念に向かってほしい。2歳の朝日杯勝ちだけで終わらないポテンシャルがあるのは間違いない。息の長い活躍を期待したい。

 

4着 グレーターロンドン 6歳牡 田辺裕信騎手 3番人気

ここで賞金を上積みできなかったのは痛いところ。しかし、サトノアレスと同様に後方一気にかけ、最速の上がりをマーク。サトノアレスよりも後ろにいた分、届かなかったものの、勝ち馬をもう一息まで追いつめている能力の高さは流石の一言。安田記念でまた走ってもらいたいものだが、どうだろうか。

 

5着 ラインスピリット 7歳牡 森一馬騎手 14番人気

14番人気を覆し、勝ち馬と0.2差の5着確保。先行した集団の中でも潰れずに残った粘り腰は評価できる。重賞では厳しい成績が続いているが、ここから反転攻勢となるだろうか。年齢を重ねても、オープン馬としての活躍を期待したい。

 

 

総括と今後の展望

 

人気馬が明暗を分けたレースだった。ダンスディレクターサトノアレスグレーターロンドンムーンクエイクという上位人気馬がそろって道中、中団から後方に構えていた。他の3頭は勝ち負けレベルにも関わらず、1番人気に支持されたダンスディレクターだけが直線なにもできずに終わっている。上がりが33秒台で走破時計が1.20.2と悪くはない。阪神カップでは今回の勝ち馬と同じ走破時計で2着だ。しかし今回の成績は0.7秒差の15着。そういえば2015年の当レースも上がり最速なれど二桁着順だった。もしかしたら東京コースにクエスチョンがつくのかもしれない。まだ能力的に引退には早い。次は得意の京都コースでもう一華、いやその名の通りに見事な振り付けを期待したい。

そして、もう1頭の人気馬サトノアレスは3着と惜しい競馬だが、これからも将来性ある馬だ、またチャンスがあるのではないか。勝ったムーンクエイクと3歳馬タワーオブロンドンともにこのあと安田記念に向かうと管理する藤沢和雄調教師がレース後に話した。

安田記念には大阪杯を勝ったスワーヴリチャードが出走を予定している。マイルCSを勝ち、大阪杯2着と脂ののっているペルシアンナイト、マイルならレッドファルクスだって忘れてはならない。そしてマイラーズカップをレコード勝ちのサングレーザーといった新星も待ち受けている。ヴィクトリアマイルからもやってくるだろう。

外国馬だって香港馬ウエスタンエクスプレスが登録している。

今年も安田記念は面白そうだ。

勝った馬のことを語るのはもちろんのことではあるが、負けた馬も良いステップになる。前哨戦のあとの感想はやはり大一番への期待と楽しみをつぶやいていきたい。

 

 

(みすてー)

(写真・かぼす)

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