【重賞回顧】第71回鳴尾記念(GⅢ)

伝統の一戦といっても差し支えないだろう。

歴史ある重賞の鳴尾記念

明治の時代から戦前まで西宮市にあった鳴尾競馬場にちなんでつけられた。

第1回は1951年、年2回開催していたこともあり、今回で71回目を迎える。

施行条件は様々変化し、今に至っている。

宝塚記念のステップとしてつかわれたり、夏競馬への腕試しになったりと中距離の試金石的レースだ。

 

今回は頭数が絞られたレースになった。

メンバーの中心は4歳馬の2頭。

トリコロールブルートリオンフ

トリコロールブルー。菊花賞は厳しかったが、4歳になって条件戦をしっかり勝って、オープンの大阪城ステークスと連勝している。ともにアタマ差、クビ差と僅差の勝負をしっかり勝ち切っている強さがある。

対してトリオンフ

こちらは3歳秋にようやく500万下を勝ったばかりだったが、そこからトントン拍子に2着、1着、1着と勢いをつけ4歳になった途端に小倉大賞典を1番人気で2馬身半ちぎる。

どちらも若さと勢いではなかなかのものだ。ここで勝って秋の大レースに向けて大きく弾みをつけたい。

先輩古馬勢はどうか。

9か月の休み明けとはいえ、タツゴウゲキは小倉記念、新潟記念を連勝しており、2000mは5勝と得意にしている。というか2000mのレースでしか勝ち星がない。

ストロングタイタンは近2走は不調だが、2000mは3勝2着3回と得意としており、初戴冠も夢ではない。

過去に当レースを勝利したサトノノブレスは8歳。目に見えて衰えているわけではないが、若い上がり馬を前にどうだろうか。

そしてなんといっても、レースをつくる逃げのマルターズアポジーがいる。武豊を鞍上に迎え、油断しているとあっさりと逃げ切ってしまう展開もあり、怖い1頭だ。

 

11頭立てではあるが、若い馬を中心に混戦ムード。

確実に逃げるマルターズアポジーを誰がつかまえにいくのか、展開面でも予想が面白いレースだ。

 

 

レース回顧

 

さすがに11頭立てなので、ゲートはやや寂しい。

しかし、メンバーはなかなかユニークだ。

 

スタートはタツゴウゲキがちょっとダッシュがつかない。

まず飛び出すのはマルターズアポジー。この馬がいかないことにははじまらない。

2番手はヤマカツライデン。この馬も先手を取る馬だけにマルターズアポジーをがっつり追いかける。ストレンジクォークサトノノブレスも続き、この4頭で先頭集団を形成する。

3、4馬身あいて5番手ストロングタイタン、そのあとに人気のトリオンフトリコロールブルーが並んでいる。すぐ後ろにタツゴウゲキがポジションをあげ、テイエムイナズマモンドインテロと後方集団、1馬身後ろに最後方ナスノセイカン

先頭のマルターズアポジーは、軽快に飛ばしていく。差がちょっとついて2、3馬身。徐々に縦長の展開になっていく。

隊列は変わらず、インコースに陣取るストロングタイタンタツゴウゲキが若干脚をつかい、前よりに進出していく。

前半の1000メートルは58.2。あきらかに速い。

バテるそぶりも見せず、マルターズアポジーは2馬身くらいを常にあけて馬群をリードし続ける。

3コーナー、小頭数の競馬とはいえ、少しずつ忙しなくなってくる。

トリオンフのエンジンに火が入り、外をまわって、悠然といい脚をつかってくる。その後ろにはトリコロールブルーも続いた。一気に先頭集団にとりつく。

しかし、4コーナーまわっても、マルターズアポジーはまだまだ気合充分!

リードを保ちながら、直線へ。

外から人気の2頭がぐいぐい伸びてくる。

勝負はこれからとばかりにマルターズアポジーが粘る。

脚色のいい、トリオンフは1馬身、半馬身、とじわりじわりとマルターズアポジーに接近。

そして、そのマルターズアポジーの内側から颯爽とストロングタイタンが伸びてくる。

差し馬2頭を前に、マルターズアポジーは力尽き、減速。

外のトリオンフ、内のストロングタイタン

ここからは逃げ馬を競り落とした2頭のマッチレースだ。

トリコロールブルーは3番手争いが精いっぱい。

ゴール前100m、早めに動いたトリオンフがさすがに疲れてきたか、これ以上の二の脚がない。

ストロングタイタンは元気いっぱいにもう一伸びして、軽快にゴールを駆け抜ける。

超高速馬場がレコード決着を生み出した。

 

 

全着順

第71回鳴尾記念(GⅢ)3歳以上オープン(阪神・芝2000m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
◯外ストロングタイタン
牡5
M.デムーロ
 R1:57.2
2
トリオンフ
セ4
C.ルメール
1/2
3
トリコロールブルー
牡4
岩田康誠
2.1/2
4
マルターズアポジー
牡6
武豊
1
5
サトノノブレス
牡8
川田将雅
ハナ
6
モンドインテロ
牡6
石川裕紀人
2.1/2
7
ナスノセイカン
牡6
 丸山元気
ハナ
8
ヤマカツライデン
牡6
松山弘平
1.1/2
9
テイエムイナズマ
牡8
古川吉洋
1/2
10
タツゴウゲキ
牡6
秋山真一郎
1.3/4
11
ストレンジクォーク
牡6
浜中俊
2

 

 

1~5着馬コメント

1着 ストロングタイタン 5歳牡 M.デムーロ騎手 4番人気

流石のデムーロジョッキー、インコースをキープしながら馬群をさばき直線半ばからの追い出しで、先に動いたトリオンフを差し切った。名手の手綱と馬の能力があってこそ成せる業だ。ストロングタイタンはこれが重賞初制覇。父リーガルランサムの活躍産駒はまだこの馬が最初。父は若くして亡くなっているが、残された孝行息子の活躍はこれからはじまるかもしれない。

 

2着 トリオンフ 4歳セン C.ルメール騎手 1番人気

4コーナーからの勢いは1番人気に支持されただけのことあり、立派な手応えでぐいぐい上がってきた。マルターズアポジーを競り落とすまではよかったものの、まさかのその内側から刺客が襲ってくるとは。負けて惜しい競馬。強さをみせることができたので、次のレースにも期待できよう。

 

3着 トリコロールブルー 4歳牡 岩田康誠騎手 2番人気

悪くない内容だったがいかんせん、前2頭の勢いが違いすぎた。とはいえ、このメンバー相手に3着と考えれば悪くない。この夏はサマー2000シリーズに進路をとるのか気になるところだ。またいい競馬をしてくれるのではないか。

 

4着 マルターズアポジー 6歳牡 武豊騎手 3番人気

前半をハイラップで飛ばし、直線半ばまで先頭をキープし、レコード決着なれど大崩れすることなく掲示板を確保した。武豊騎手の逃げのうまさももちろんだが、やはりこの馬の逃げっぷりがすごい。1コーナーで競り掛けられてもハナを譲らず、ほぼ単騎にしたところは騎手の腕か、馬の性格ゆえか。

 

5着 サトノノブレス 8歳牡 川田将雅騎手 6番人気

寄る年波には勝てなかったか。高速馬場のレコード決着では分が悪かったのだろう。とはいえ、今回のメンバーではまだまだ実力が通用するところをみせてくれた。次のレースでも侮れない。

 

 

総括

 

開幕週でレコードタイム。伝統にまた一つ、歴史が刻まれた。

負けたとはいえ、トリオンフトリコロールブルーマルターズアポジーという上位人気馬はそれぞれの持ち前を発揮し、見せ場をつくっていた。

人気馬ではタツゴウゲキだけが見せ場なく出遅れた最初から最後までいいところがなかった。

勝ったストロングタイタンは騎手のうまさが光る一方で、今回のような勝ち方で重賞を勝ち切ったのは収穫でないだろうか。今のところ、日本でただ1頭のリーガルランサム産駒、この血を残せるか、これからが正念場だ。

ちなみに所属する池江厩舎はこのレース4連覇だそうだ。コツでもあるのだろうか。

 

 

(みすてー)

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