【重賞回顧】第25回函館スプリントステークス(GⅢ)

北海道に夏を告げる、サマーシリーズ開幕戦! 第25回函館スプリントステークス

 

スプリント王決定戦高松宮記念は桜前線の北上とともに本格的な春を知らせる名物レースだが、それから3ヶ月後、北海道に夏を届ける函館競馬が開幕した。

春に別れ夏へ向かい、秋の実りに想いを馳せる。季節は止まることなく移ろい、競馬もまた姿を変える。我々が春に目の当たりにした競馬とは色合いの異なる競馬が始まる。夏は春に力を見せつけた馬たちが疲労をとるために休む季節であり、これから力を発揮したい馬たちが鍛えられ、力を蓄える季節でもある。

 

6月、函館競馬開幕。本州に先駆けてひと足早く北海道でナツケイバが始まった。

 

サマースプリントシリーズ開幕戦はお馴染み函館1週目函館スプリントステークス。例年、春の実績馬が苦戦し、牝馬が強い、サマースプリントの傾向そのもののようなレースだ。

 

5歳牝馬ナックビーナスは1200mのオープン特別で崩れず着実に力をつけ、この春はオーシャンステークス2着、高松宮記念3着とスプリント最上位クラスでも好走するまでに成長した。スタートからいい位置をとって粘り込む、スピードと粘りが身上の父ダイワメジャーらしさを体現する1頭だ。

 

同じく5歳牝馬ワンスインナムーンは昨年夏に条件戦からオープンまで連勝、スプリンターズステークスではレッドファルクスの3着と夏の充実そのままの活躍。この春はあまりレースを使わず、自身が得意な夏に照準を合わせてきた。昨年のように再び夏に力を蓄えられるだろうか。

 

セイウンコウセイは5歳牡馬。4歳で高松宮記念を制し、GⅠ馬になったものの、その後は昨年の函館スプリントステークス4着敗退、秋は二桁着順が並び、力を発揮できないレースが続く。冬のシルクロードステークスを逃げて2着と復調したが、今年の高松宮記念6着、京王杯SC12着を経て、ここへ出走。昨年、人気を大きく裏切ったこのレースで復活を期す。

 

今年の阪急杯含む重賞2勝馬ダイアナヘイロー(5歳牝馬)、オーシャンステークス勝ちがあり、昨年このレース2着のキングハート(5歳牡馬)、昨年はキングハートを抑えたジューヌエコール(4歳牝馬)などサマーシリーズ開幕戦らしくタイトルホルダーが集まった。

 

 

 

昨年同様、函館の芝は洋芝とはいえ、絶好の状態らしく、前日1000万下で1200m戦1分7秒9を記録、函館スプリントステークスは7秒台必至の高速決着が予測された。

 

北海道シリーズの重賞ファンファーレが高らかに響き、競馬場全体のテンションがさらにあがった。いつもながらこの瞬間は何ともいえない、新たな未知なる旅がはじまる予感さえする。

 

スタートダッシュを決めたのはワンスインナムーン、2番枠のダイアナヘイローがやや遅れ、ワンスインナムーンを追いかけてセイウンコウセイが並びかけ、ワンスインナムーンの石橋脩騎手は最内からハナへ行くセイウンコウセイを確認し、無理に競り合わずにセイウンコウセイにハナを譲った。番手に控えるワンスインナムーン、直後にはいつものようにナックビーナスが好位をとり、ライトフェアリー、函館大好きタマモブリリアンが追い、中団前にラインスピリット、その外にヒルノデイバローが自身としては積極的な位置で流れに乗る。スタートで遅れたダイアナヘイローが内から追い上げ、ノットフォーマルジューヌエコールがその後ろに控える。

 

前半600m33秒1、セイウンコウセイは高松宮記念より速い流れでレースを引っ張る。後方ではユキノアイオロスアドマイヤゴッドキングハートティーハーフノボバカラらが追走。直線が短い函館らしく4角からワンスインナムーンナックビーナスが積極的にセイウンコウセイに並ぼうとする。しかし直線に向くと、セイウンコウセイがしぶとく引き離し、ワンスインナムーンは伸びを欠き、ナックビーナスが持ち前の粘りで食い下がる。残り200mの標識を過ぎると、セイウンコウセイは一瞬だがさらに加速をしようとする。さすがに前半から速い流れを作ったので、最後の200mのラップは落ち込んだが、追うナックビーナスより速い脚を一瞬だが繰り出して振り切りにいった。その攻防の間隙を縫って4角から直線入り口で大きく進路を外にとってヒルノデイバローが末脚を余すことなく発揮させる四位洋文騎手らしい騎乗でセイウンコウセイに迫った。ゴール板では際どい勝負になったが、ハナ差だけセイウンコウセイが凌いだ。勝ち時計1分7秒6(良)、2着ヒルノデイバロー、3着はナックビーナス

 

 

全着順

第25回函館スプリントステークス(GⅢ)3歳以上オープン(函館・芝1200m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
セイウンコウセイ
牡5
池添謙一
 1:07.6
2
◯地ヒルノデイバロー
牡7
四位洋文
ハナ
3
ナックビーナス
牝5
三浦皇成
クビ
4
アドマイヤゴッド
牡6
岩田康誠
3/4
5
タマモブリリアン
牝5
古川吉洋
クビ
6
ラインスピリット
牡7
森一馬
クビ
7
ユキノアイオロス
セ10
 丸山元気
クビ
8
ワンスインナムーン
牝5
石橋脩
クビ
9
ダイアナヘイロー
牝5
武豊
1/2
10
ノットフォーマル
牝6
勝浦正樹
アタマ
11
キングハート
牡5
北村宏司
ハナ
12
ノボバカラ
牡6
武藤雅
1
13
ティーハーフ
牡8
国分優作
ハナ
14
ジューヌエコール
牝4
北村友一
アタマ
15
エポワス
セ10
蛯名正義
1.1/4
16
◯地ライトフェアリー
牝6
柴山雄一
2

 

 

1~3着馬コメント

1着セイウンコウセイ(3番人気)

昨年、同じような状況で敗戦を喫したが、今年はスタートを決めて迷わずハナに行く作戦が功を奏した。ハイペースになっても単騎で自身のペースでレースを作る形がこの馬のベストチョイスなのだろう。重の高松宮記念勝ち、高速決着の昨年のこのレース敗戦と時計がかかってこそと思われていたが、この勝利で新たな一面を見せた。1分7秒6で重賞を勝ったことはセイウンコウセイのキャリアにとってポイントとなるだろう。今後も無理をしてでもマイペースを守る競馬を武器にしていきたい。

 

2着ヒルノデイバロー(10番人気)

重賞オープンで5、9、12番人気で2着する個性派。今回も10番人気、阪急杯17着からの巻き返しだった。馬場も問わなければ戦法も問わない。後方から一気に伸びる形もあれば、前半600m33秒1の急流でも好位で流れに乗れてしまう。つかみどころがなく、ベテランの四位騎手とキャラクター的にも合っているようだ。その四位騎手は北海道常連ジョッキーらしく函館競馬場を知り尽くした騎乗を見せた。前半から流れに乗り、4角で早めに動かず、コーナーで外へ振られずタイトに回し、直線に向いた瞬間に一歩早く外へ出して進路を作る、そんな「らしい」騎乗だった。

 

3着ナックビーナス(1番人気)

昨年から崩れず走る堅実派。スタートを決めて好位をとり、早めに抜け出して粘り込む、自身の形を毎回必ず作ってくる。短距離戦で最も安定味ある取り口だ。その分、あと一歩足りずに2着が多い歯がゆさも残る。今回は前にいたセイウンコウセイがしぶとく並ぶところまでいかなったので、最後に3着にはなったが、今後も堅実派として目が離せない。

 

 

レース総評

昨年は1分6秒8、一昨年が1分7秒8、函館の芝も以前のイメージとは変わってきているのだろうか。今年は1分7秒6なので一昨年ぐらいの状態だろう。高速決着の2年間、勝ち馬は3歳牝馬(一昨年ソルヴェイグ、昨年ジューヌエコール)の軽量馬だった。今年は3歳牝馬が不在だったこともあるが、人気の牝馬ではなく、牡馬セイウンコウセイだった。牝馬有利な条件を自らレースを作って勝ち取るのはGⅠ馬の力を見せたといえるだろう。

サマースプリントシリーズ王者へと一歩先に駒を進めた。

 

同時にサマージョッキーシリーズも開幕。北海道常連の池添謙一騎手、四位洋文騎手、三浦皇成騎手が上位に揃ったのも函館らしい結果だった。

 

 

(勝木淳)

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