【重賞回顧】第23回マーメイドステークス(GⅢ)

大荒れ必至の牝馬限定戦、軽ハンデを活かしてジャイアントキリングか

 

サッカーのワールドカップがはじまった。

サッカーには格下のチームが名門チームなどを倒した時にジャイアントキリングという言葉がよくつかわれる。

勝てる見込みが低いチームが強いチームに勝つ、いわゆる番狂わせ。

どの世界も盛り上がる要素だ。

競馬でも強い馬があっさり負けるシーンはよくある。

特に今回のような牝馬のハンデ戦は、始まる前から波乱含みだ。

 

マーメイドステークスは今年で23回目を迎える。

牝馬の一線級は春の大舞台を終え、秋に向かって休みをとるだろう。

しかし、そこがチャンスだ。

秋に向かって飛躍したい馬たちのまたとない機会になる。

そして、その舞台となるのがこのマーメイドステークス。

なぜなら、斤量差が大きく出るハンディキャップ戦だからだ。

実績がイマイチならば負担重量は軽くなり、走りやすくなる。

強い馬は逆に重いハンデを背負わされ、キツイ戦いになる。

だからこそ、逆転が起きるのだ。

 

今回の出走メンバーでは、受賞実績のある、キンショーユキヒメ(55キロ)、エテルナミノル(55キロ)、トーセンビクトリー(56キロ)がハンデを背負い、また、好走実績のあるレイホーロマンス(52キロ)、ミリッサ(53キロ)、阪神の中距離で凡走が少ないミエノサクシード(54キロ)が実績と斤量のバランス加減か人気に支持された。

他にもエマノン(50キロ)は軽ハンデであり、スワーヴリチャードの姉だけに走ってもおかしくない。

ワンブレスアウェイ(53キロ)は妹のロックディスタウンがクラシックをにぎわしただけに姉もがんばりたいところ。

48キロ~50キロの軽いハンデの馬が5頭、51~52キロだって4頭とほぼ半分が軽量馬。

トップハンデはトーセンビクトリーの56キロ、牝馬限定戦とはいえ、そこまでのハンデ差とも言い切れない斤量差に実力馬が勝ち切るのか、あるいは軽ハンデ馬が番狂わせを起こすのか。

走ってみないことにはわからない。

 

 

レース回顧

 

ゲートはきれいにそろったスタート。

直線コースを1コーナーへめぐって、ハナを主張するのは内枠のミリッサ。ゆるやかに行こうとするが、鞍上にぐいぐい押されたティーエスクライの芦毛の馬体が前に出ようとがんばってくる。しかし、外からトーセンビクトリーエマノンがかぶさってきて、1コーナーのコーナーワークでトーセンビクトリーがスゥーと先頭へ躍り出る。2番手はティーエスクライの芦毛の馬体、2コーナーで3馬身まで差がつく。続いて、エマノンミリッサと先頭集団の隊列が落ち着き、後ろにミエノサクシードワンブレスアウェイエテルナミノルと半馬身差で内外並んで走る。スティルウォーターが外から徐々にあがっていくが、すぐ後ろのアルジャンテキンショーユキヒメヴァフラームは動かない。最後方はフェイズベロシティが控えている。やや縦長の展開。

1000m通過は59.6。

3コーナーへ向かって、後続があわただしくなってくる。

800m通過あたりから馬群はほぼ一団。

先頭はトーセンビクトリーが半馬身差残し、わずかにリードして、直線に備えているような構え。

黄色い帽子スティルウォーターとピンクの帽子フェイズベロシティがまくってくる。その後ろにも緑の帽子ヴァフラームと青い帽子キンショーユキヒメの2頭もいた。内回りコースの狭い4コーナーでポジション争いが激化していた。

直線に入り、トーセンビクトリーが抜け出すそぶりを見せるが、トップハンデが応えたか、伸びに力がない。2番手走っていたエマノンが一歩飛び出し、ここから伸びそうな素振りを見せるが一瞬で脚が止まってしまう。

内ラチ沿いをバテて下がっていくトーセンビクトリーと交代に、抜け出してきたのは軽ハンデのアンドリエッテだ。

粘っているエマノンの内から勢いよくワンブレスアウェイが飛び出してくる。エマノンを挟んで外からはミエノサクシードがじりじりといい脚をつかう。

先頭はアンドリエッテワンブレスアウェイが脚色良く追いかけ、半馬身差まで迫る。

外からヴァフラームが一気に追い込んでくるが、もう間に合わない。

アンドリエッテワンブレスアウェイ

差は縮まらず、そのままゴールイン。勝ちタイム1.59.1.

10番人気のアンドリエッテが1着、9番人気のワンブレスアウェイが2着に入り、今年も荒れた決着になった。

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全着順

第23回マーメイドステークス(GⅢ)3歳以上オープン・牝馬(阪神・芝2000m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
アンドリエッテ
牝6
国分恭介
 1:59.1
2
ワンブレスアウェイ
牝5
津村明秀
クビ
3
ミエノサクシード
牝5
川島信二
2
4
ヴァフラーム
牝6
富田暁
クビ
5
ミリッサ
牝4
岩田康誠
1/2
6
◯地レイホーロマンス
牝5
岩崎翼
1.1/4
7
キンショーユキヒメ
牝5
 秋山真一郎
ハナ
8
エマノン
牝5
松若風馬
ハナ
9
ルネイション
牝5
荻野極
アタマ
10
フェイズベロシティ
牝5
北村友一
クビ
11
エテルナミノル
牝5
和田竜二
1.1/4
12
アルジャンテ
牝5
酒井学
クビ
13
◯地スティルウォーター
牝5
川又賢治
クビ
14
ティーエスクライ
牝6
竹之下智昭
1.1/4
15
トーセンビクトリー
牝6
浜中俊
2.1/2

 

 

1~5着馬コメント

1着 アンドリエッテ 6歳牝 国分恭介騎手 10番人気

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直線に入って、早い段階からトーセンビクトリーをかわして先頭に立ち、そのまま最後まで脚色を鈍らせずに1着でゴール。勝ちきれない近走とは打って変わって颯爽とした勝利。阪神2000mはディープインパクトの庭という話を聞くが、軽ハンデもあって、条件が向いたのかもしれない。もう6歳。秋に向かってここからもうひと花咲かせたい。

 

2着 ワンブレスアウェイ 5歳牝 津村明秀騎手 9番人気

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クラシックを精いっぱい走ったすぐ下の妹に負けじとここでしっかりと結果を出した。重賞勝ちを出している血統だけに牝馬限定戦やローカルの重賞ではまだまだもう一伸び出来そうだ。

 

3着 ミエノサクシード 5歳牝 川島信二騎手 4番人気

悪くない伸び脚だったが、もう一息足りなかった。実績上位馬の中で最先着。面目躍如というか、物足りないというか微妙なところだ。オープンでは牡馬相手でしっかり勝つが、重賞では牝馬限定戦でもなぜか一歩足りない。

 

4着 ヴァフラーム 6歳牝 富田暁騎手 13番人気

4コーナーから勢いをつけたが、直線では外を回った分、勝ち馬の伸び脚に負けた。若手の富田騎手の積極騎乗で人気薄ながら、4着を確保。50キロの恵まれたハンデもあったかもしれないが、この馬の成績からすればがんばったといえるのではないだろうか。

 

5着 ミリッサ 4歳牝 岩田康誠騎手 2番人気

先行集団で唯一掲示板に残っていた。最後の直線で勝ち馬に寄られたことがどこまで影響しているのかはわからないが、なんとか5着に残れたのは大きい。

 

 

総括

 

雨が降って、道悪の馬場なら荒れるだろうとだれもが思う。

しかし、このレースは良馬場でも荒れた。

ハンデ戦というのは難しい。誰にでもチャンスを作るためのハンデキャップだけにあっさりとトップハンデの人気馬が負けてしまって、人気薄の軽ハンデの逃げきりや差し切りが起こる。

今回はどう見ればよいのだろうか、人気は混迷していた。それこそ誰が勝ってもおかしくないといった具合に。しかし、勝ったのは人気上位馬ではない。

ジャイアントキリングというのとは、ちょっと違うかもしれない。

でも、このハンデ差を活かし、チャンスを掴み取ったことは大きい。

ここはびっくりするより、鮮やかにゴールを駆け抜けたアンドリエッテの初戴冠を素直に祝いたい。

 

 

(みすてー)

(写真・ゆーすけ)

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