【重賞回顧】第54回函館記念(GⅢ)

洋芝適性だけでは勝ち切れない。攻略の鍵は器用さとアップダウン。第54回函館記念

 

サマー2000シリーズの北海道組開幕戦が函館記念だ。ハンデ戦、時計を要する洋芝、梅雨がないはずの北海道でも6月~7月にかけて雨が多く、開催後半の芝状態はとても読みにくい。これらの条件以外にも函館記念を難解にしているものがいくつかある。

函館競馬場の一周は約1,600m、最後の直線は260m、コーナーがコース全体に占める割合が高い小回りであり、かつ2角を谷底に向正面にかけて緩やかにのぼるアップダウンに富んだコースでもあり、ペースをつかみにくいコースだといえる。

そして、函館記念はサマー2000シリーズの序盤らしく、春に重賞戦線を戦った馬や下のクラスから勝ちあがった馬などが重なるので、臨戦過程がバラバラで比較がつきにくい。実績馬はハンデが重くなり、上がり馬は斤量が軽くても慣れない重賞の流れに対応せねばならなく、読みにくさに拍車をかける。

 

1番人気トリコロールブルーは大阪城ステークスを勝ち、鳴尾記念3着とオープンで着実に力をつけた印象。小回り芝2,000m戦も鳴尾記念からこなせる印象。力をつけた4歳馬に自然と注目が集まった。

2番人気はトリコロールブルーと同じ年齢のブレスジャーニー。東京2歳重賞を連勝。負かした2着はそれぞれダンビュライトスワーヴリチャードと世代トップクラス、底力を秘める。巴賞は最後に差して5着、使ったことで上積みが見込まれた。

3番人気のスズカデヴィアスは前走新潟大賞典で待望の重賞勝利を飾った7歳ベテラン。以下、中山金杯以来の休み明け6歳ブラックバゴ、エプソムカップ5着からここへ挑む7歳エアアンセム、主要ステップレースの巴賞を勝ったナイトオブナイツなど、今年も様々な臨戦過程を経て函館競馬場へ集まった。

 

スタート直後から前走は新潟大賞典12着だったカレンラストショーがハナを奪う。芝2,000m戦はスタートから2コーナーの谷底へかけて緩やかに下り続けるコース。長い下り区間によってペースが落ち着きにくい。番手インに巴賞4着のクラウンディバイダ、外に同レース8着のマイネルハニーが位置をとる。

3頭からやや離れたインにエアアンセムと牝馬重賞マーメイドステークスから参戦のエテルナミノルが併走。エプソムカップ7着のゴールドサーベラスが続き、ダービー卿チャレンジトロフィー12着だったロジチャリス、日経賞3着以来のトップハンデのベテラン馬サクラアンプルールが中団形成。

巴賞7着ナスノセイカンが並びかけ、トリコロールブルーを挟んで内にブラックバゴ、外にナイトオブナイツ、後方にスズカデヴィアス、マイラーズカップ14着のカデナ、最後方にブレスジャーニーが待機した。

向正面から3、4角までは一転して上り坂。1000m通過60秒3と息が入らない流れでカレンラストショーが引っ張る。緩むべき箇所に上り坂があってペースダウンしない流れにカレンラストショーが早めに脱落。マイネルハニーが先頭に立たされるような形になり、その外からエテルナミノルが手応えよく並んでくる。自然とペースはあがって馬群が凝縮。

インから立ち回って外へ出して進路を作るエアアンセム、同時にあがってくるゴールドサーベラスエアアンセムの後ろで直線入り口、インから瞬発力を使って外へ横切るサクラアンプルール、大外から伸びるブレスジャーニーマイネルハニーを交わしたエアアンセムが先頭に立ち、エテルナミノルが食い下がり、サクラアンプルールブレスジャーニーが襲いかかる。抜け出したエアアンセムが後続を凌いで先頭でゴール。サクラアンプルールが実力を見せて2着、ブレスジャーニーをハナ差抑えてエテルナミノルが3着に残った。勝ち時計は1分59秒8(良)。

 

 

全着順

第54回函館記念(GⅢ)3歳以上オープン(函館・芝2000m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
エアアンセム
牡7
藤岡佑介
 1:59.8
2
◯地サクラアンプルール
牡7
田辺裕信
1/2
3
エテルナミノル
牝5
四位洋文
1/2
4
ブレスジャーニー
牡4
柴田善臣
ハナ
5
スズカデヴィアス
牝7
三浦皇成
1/2
6
トリコロールブルー
牝4
C.ルメール
1/2
7
ゴールドサーベラス
牡6
柴山雄一
1.1/4
8
ナイトオブナイツ
牡5
池添謙一
クビ
9
ナスノセイカン
牡6
丸山元気
クビ
10
ブラックバゴ
牡6
岩田康誠
3/4
11
カデナ
牡4
藤岡康太
クビ
12
ロジチャリス
牡6
蛯名正義
1.1/4
13
クラウンディバイダ
牡5
吉田隼人
3/4
14
マイネルハニー
牡5
丹内祐次
3
15
カレンラストショー
牡6
北村友一
7

 

 

1~3着馬コメント 

1着エアアンセム(5番人気)

エプソムカップ5着から見事に巻き返した。7歳で待望の重賞初制覇。オープン特別だったホープフルステークスを勝った素質馬、まさに待望だろう。スタートからすっとインのいい位置を取り、じっとして力を温存、勝負所でインから外に出して溜めた力を存分に発揮する、藤岡佑介騎手の手綱も冴えた。この春ブレイクの藤岡佑介騎手、その原動力はスタートだと感じる。安定していいスタートを切らせるようになり、レース序盤で最も理想的な位置を取れるようになった。以前は人の良さがレースに出ていた印象もあったが、スタート技術の向上によってスマートなレース展開を作ることが出来ている。

 

2着サクラアンプルール(7番人気)

こちらも枠番を活かしたインに拘ったレースぶりが光った。洋芝の札幌記念勝ちや中山記念2着など小回りの時計がかかる芝コースに適性が高く、今後も条件次第だろう。田辺裕信騎手の直線入り口のコースの取り方がとにかく絶妙だった。タイミングが遅れれば進路を作れなかった可能性は高い。

 

3着エテルナミノル(13番人気)

年明けの愛知杯以来、牝馬限定重賞で冴えない成績だったが、今回は一変して好走。愛知杯と同じ距離2,000mが合う可能性が高い。今回は四位洋文騎手が4角でマイネルハニーの並びかける強気な競馬が光った。小回り函館を知り尽くしたベテランらしい競馬だった。

 

 

総評

勝ち馬エアアンセムは前走エプソムカップ5着、2着サクラアンプルール日経賞3着、3着エテルナミノルはマーメイドS11着、上位3頭はすべて違うレース、加えてかなりバラバラな距離や競馬場、カテゴリーから参戦して結果を出した。函館記念が難解なのはこうして主要ステップ以外のバラバラなレースから馬が集まる点にある。それぞれが思惑をもって参戦する北海道シリーズはだから魅力的なレースが多い。

この函館記念は残り600m、3角付近からペースは上がって、上がり3ハロンは11秒6-11秒6-11秒8。コーナーで加速する器用さとアップダウンを経て最後まで力を持続できるスタミナが問われるレースだった。器用さに泣いたトリコロールブルーブレスジャーニースズカデヴィアスの巻き返しには注意したい。

 

 

(勝木淳)

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