【重賞回顧】第66回クイーンステークス(GⅢ)

充実した秋へ向かうため、真夏の札幌で復権を賭ける

少頭数でも濃いメンバー構成

クイーンステークスが札幌1800mで施行されることになったのは2000年の夏。

元々は東京や中山で秋のエリザベス女王杯のトライアルとしてのレースだったものが、諸般の事情で再編されて今に至る。今ではもうすっかりおなじみの真夏の札幌の牝馬限定戦。

札幌開催最初の勝ち馬はトゥザヴィクトリー。おやっ?と思った方はさすが。18年経った今回の出走馬に娘のトーセンビクトリーが出走している。月日の流れるのは早いものだ。

 

昨年はアエロリットが強い競馬をした当レース。

今年は11頭立てと気持ち少ないが、魅力的なメンバーが揃った。

 

昨年の秋華賞馬ディアドラ。重馬場でも強烈な差し脚が印象深い。今春はドバイターフ(G1)に挑戦し、リアルスティールと3着同着と上々の出来。今回は帰国後初のレースだが、牝馬限定戦では違いをみせたいところ。

 

対するは、昨年のオークス馬ソウルスターリングフランケルの代表産駒として常に注目される存在だ。去年の春は強い競馬だったが、秋は古馬や男馬の強いところと戦いながらあまりいいところをみせられず、今春も出来はもうひとつ。ここを起点に盛り返したい。

 

3歳勢からはリバティハイツ。桜花賞では着順をあげられなかったが、フィリーズレビューの勝ち馬で、実績は悪くない。初の古馬相手にどこまでやれるか、ここが試金石。

 

面白い実績なのはフロンテアクイーン。準OPのレースから連続2着4回と好走が続くも勝ち切れない。3歳クラシックでもクイーンカップ2着、紫苑ステークス3着などやはり惜しい競馬が続いている。相手は強いがどこまでやれるか。

 

アンドリエッテにはいたってはマーメイドステークスを勝ったばかりなのに9番人気の位置づけ。それだけ、今回のメンバーが見込まれたというところだが、世間に再評価をお願いしたいところだ。走りで証明できるかもカギになる。

 

強い馬同士が復権を賭けたレースになるのか、あるいは新勢力の台頭になるのか。

牝馬のレースだけに荒れる決着もあるかもしれない。

ゲートが開くまで、未来はわからない。

 

 

レース回顧

11頭立てのスタート。正面スタンド前からの発走。

スタートはハッピーユニバンスが後方から。先頭へ向かうのはツヅミモン、外から手綱をしごかれた芦毛の馬体ティーエスクライがあっという間にハナへ向かい、1コーナーへ。

ツヅミモンが負けじと競り合い、この2頭は後続に5、6馬身と差を一気に広げる。

2番手グループの先頭はソウルスターリング。逃げ馬2頭の様子をうかがいながら、馬群の先頭を淡々と走る。そのすぐ後ろにはリバティハイツ、クラシックで活躍した先輩の背中を見ながらチャンスをうかがう。その横にいるのはエテルナミノル、まるでリバティハイツをマークするようにすぐ横を走る。

1馬身ほど離れてアグレアーブルトーセンビクトリーフロンテアクイーンと続いている。

後方につけるのはアンドリエッテディアドラと1馬身ずつ離れている。

ぽつんと1頭離れているのは出遅れてしまったハッピーユニバンス

先頭のティーエスクライが3コーナーに入る。ここで1000m通過が59.0。

頭数が少ない割にハイラップを刻む。

ツヅミモンは一息入れ、ティーエスクライは4コーナー手前で後続との差がなくなっていた。

ツヅミモンが意外に元気よく4コーナーを先頭で走る。ソウルスターリングが冷静に横についた。フロンテアクイーンアンドリエッテもいつの間にか手ごたえ良くあがってきている。

そして、直線に入る手前、大外から大胆に上がってくる馬がいた。

ディアドラだ。

内からソウルスターリングが淡々と粘るツヅミモンを競り落とし、一旦は先頭に立つ。

外から勢いよく追い込んでくるディアドラがレベルの違う末脚で内の争いをものともせず、一気に先頭へ、そして、ぐいぐいと突き離す。

その差は3馬身、圧勝といえるゴールイン。

ドバイターフでの男馬との熱戦を経て、牝馬限定戦では負けられないとばかりの圧倒的な実力での快勝だった。

 

 

全着順 

第66回北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)3歳以上オープン・牝馬(札幌・芝1800m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ディアドラ
牝4
C.ルメール
 1:46.2
2
フロンテアクイーン
牝5
蛯名正義
3
3
ソウルスターリング
牝4
北村宏司
クビ
4
トーセンビクトリー
牝6
池添謙一
クビ
5
アンドリエッテ
牝6
国分恭介
1.1/4
6
エテルナミノル
牝5
四位洋文
クビ
7
アグレアーブル
牝5
J.モレイラ
2.1/2
8
ハッピーユニバンス
牝6
藤岡康太
1/2
9
ツヅミモン
牝3
吉田隼人
クビ
10
リバティハイツ
牝3
北村友一
3/4
11
ティーエスクライ
牝6
竹之下智昭
大差

 

 

1~5着馬コメント

1着 ディアドラ 4歳牝 C.ルメール騎手 1番人気

ドバイ帰りの疲れもなく、道中速い展開になって差しも向いた。大胆な大外マクリが決まって強い競馬をみせてくれた。一線級の相手ばかりと闘ってきたが、牝馬同士のG3なら負けられないとばかりだ。秋はまた一線級の牡馬と対戦するのだろうか。楽しみだ。

 

2着 フロンテアクイーン 5歳牝 蛯名正義騎手 4番人気

このメンバー相手にはよくがんばった。展開も向いたのかもしれないが、ソウルスターリングを差したのは見事。牝馬相手のG3ならまだまだいい勝負できそうだ。というか、また2着。相手なりに走るとはいえ、どこまで好走が続くか、逆に興味深い。

 

3着 ソウルスターリング 4歳牝 北村宏司 2番人気

この馬にしては物足りない。求められているものが高いのは承知の上だが、ディアドラに相手にされないほど離れた3着。これを機に上向きになってもらえればいいが、今後も強い相手との勝負が続くのでがんばってほしい。

 

4着 トーセンビクトリー 6歳牝 池添謙一(替) 7番人気

午前中に負傷した岩田騎手からの急な乗り替わりにも関わらず、掲示板を確保した。人気が下がってしまったが、それほど実績に差がない。まだまだ好勝負できるのでこれからも期待したい。母の勝ったレースで勝てなかったのは残念。

 

5着 アンドリエッテ 6歳牝 国分恭介 9番人気

マーメイドステークスでの結果はよかったが、今回は5着。人気の割にはいい着順だが、ここまで人気が下がってしまったのは不思議だ。それだけ相手が強かった証明だろうか。この夏は調子がよさそうなので秋にまた着順をあげてほしい。

 

 

総括

思ったよりもハイペースになった道中は意外でもあったが、最後はディアドラの強さを印象付けるレースだった。

1頭だけレベルが違うというのはまさにこのことだ。

直線、先に抜け出したのはソウルスターリングだった。しかし、最後はフロンテアクイーンに差されてしまった。そのまま押し切れる加速力がなかったのは前半がハイラップだった展開のせいなのか。ソウルスターリングへの期待のハードルは他の馬に比べ高い。世間はG1という舞台に立って好走しない限り復権とは言わないだろう。

 

秋のG1シーズンの中心にいるのは誰なのか、ディアドラは大きな一歩を踏み出した。

ソウルスターリングがさらなる一歩を踏み出せるのは次のレースか。もしくは。

強い現4歳世代の戦いはまだまだ続きそうだ。

 

 

(みすてー)

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