【重賞回顧】第3回紫苑ステークス

最後の秋一冠へ。出走権をかけたサバイバル、第3回紫苑ステークス

 

紫苑ステークスが重賞に格上げされて3年目。重賞になる前はトライアルとしては秋華賞へはつながらないレースだったが、2016年2着ヴィブロス、2017年1着ディアドラと立て続けに秋華賞勝ち馬を出し、本番を見据えて見逃せない重賞へ変化した。私たちファンが思うよりオープンと重賞では使う側の意識が違うからだろう。今年もひと夏を経験した上がり馬や春の実績馬まで多彩な顔ぶれが出揃った。

 

春は桜花賞、オークスともに5着のマウレアは実績最上位。阪神ジュべナイルフィリーズ3着、チューリップ賞2着と重賞タイトルにいつ手が届いてもおかしくない。2歳赤松賞以来の勝利を目指す。

 

2番手評価はノームコア。こちらはフラワーC、フローラSどちらも3着であと一歩足らずにクラシック出走を逃してきた。夏を休養にあて、ここ一発に照準を絞って最後の牝馬3冠レースへの出走権利をかける。

 

3番手は上がり馬のサラス。6月阪神最終週の京橋特別2着、古馬1000万下相手に互角な走りを披露。7~8月はレースに出走せずにここへ出走。2000m実績も申し分なし。このレースでは最大の夏の上がり馬。

 

以下、夏の新潟で500万下2着から参戦のクイーングラス、フローラSでオークス出走権を逃して休養していたレッドベルローズ、オークス7着以来のパイオニアバイオ、同レース11着ランドネなどが出走した。

 

中山2000mで行われるトライアル戦らしくここ2年は流れがきつく、開幕日ながら差し馬が台頭するサバイバルレースが展開された。

 

今年の紫苑ステークスは好スタートのオハナハーレムラインを制してランドネがハナを奪って先手をとった。未勝利勝ち以来のハナへ行く競馬にはどうしても権利を取りたいという意志を感じる。

番手にとりついたのは大外枠からスタートしたロフティフレーズ、レースを経験しながらスタートダッシュがつくようになり、今回はついに番手をとった。その直後はオハナハーレムラインが続き、直後にぽつんとノームコア、それをマークするようにインにマウレア、外にクイーングラスが虎視眈々。

 

隊列はすんなり決まり、ランドネはマイペースな走りで緩い流れを作る。番手にいるロフティフレーズもその流れに乗るよう抑えて走る。後方にはアヴィオールレッドベルローズカレンシリエージョメサルティムパイオニアバイオサラスロサグラウカロマンテソーロホクセンジョウオーらが追走。1000m通過地点に迫ろうかというとき、このままでは着順をあげられないと踏んだカレンシリエージョが一気に動き、ランドネの直後につける。

 

この動きに誘発されるようにランドネはペースをあげる。前半は12秒台後半のラップが続いて1000m通過60秒1だったが、この直後から11秒台のラップが連続する。ランドネがあげたペースにロフティフレーズが脱落、カレンシリエージョも道中動いてからさらに加速するのは厳しそうだ。外からハーレムラインランドネに並びかけ、その隙間に入るようにノームコアが顔を出し、インからマウレアが4角を利用して外に出てくる。コーナーワークで差を詰めてインに突っ込むパイオニアバイオ

前半のリラックスが幸いし、ランドネが粘り込もうとするところにノームコアが迫り、マウレアも追いすがる。インから出られずに進路を切り替えたパイオニアバイオはタイミングが遅れながら猛追する。あと一歩、春は少し足りなかった馬たちがその一歩を自分のものにしようと懸命に中山の坂をあがる。ノームコアが堂々と抜け出して追うマウレア、逃げるランドネを封じて先頭でゴールイン。2着マウレア、3着ランドネ。勝ち時計はレコードに0秒2差の1分58秒0(良)。

 

 

全着順

第3回紫苑ステークス(GⅢ)3歳オープン・牝馬(中山・芝2000m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ノームコア
牝3
C.ルメール
 1:58.0
2
マウレア
牝3
武豊
3
3
◯外ランドネ
牝3
吉田隼人
1/2
4
パイオニアバイオ
牝3
木幡巧也
クビ
5
ハーレムライン
牝3
大野拓弥
2.1/2
6
アヴィオール
牝3
戸崎圭太
1
7
クイーングラス
牝3
丸田恭介
1/2
8
オハナ
牝3
石橋脩
クビ
9
メサルティム
牝3
内田博幸
クビ
10
カレンシリエージョ
牝3
松山弘平
クビ
11
ロサグラウカ
牝3
石川裕紀人
クビ
12
ロマンテソーロ
牝3
北村宏司
クビ
13
サラス
牝3
田辺裕信
1.1/2
14
レッドベルローズ
牝3
三浦皇成
1
15
ロフティフレーズ
牝3
松岡正海
4
16
ホクセンジョウオー
牝3
菊沢一樹
1.1/4

 

 

1~3着馬コメント

1着ノームコア(2番人気)

待望のGⅠ挑戦権を獲得。春は器用さがありながら最後に少し及ばずという競馬が多かったが、夏を越してパワーアップ。今日もソツない競馬を展開し、最後は伸びて後続を寄せつけなかった。後半1000mは全て11秒台の加速型ラップを早めに動いて抜け出した。内容ある競馬だった。多頭数の混戦レース向きの器用さは武器になる。

 

2着マウレア(1番人気)

またも勝利を逃す結果になった。1枠1番という枠順を最大限に活かしてインを走り、道中はノームコアをマーク。ノームコアが動くことでできたスペースに4角でタイミングよく入れた、武豊騎手としては完璧な競馬を展開。予想外にノームコアが末脚を残していたことで及ばなかったが、実績どおりに力を見せた。桜花賞馬アユサンの全妹ながらこちらは堅実派。姉のような一発勝負に強いところが欲しいだろうか。

 

3着ランドネ(7番人気)

逃げ戦法がはまって出走権を掴んだ。競りかける馬もおらず、ロフティフレーズも抑えてくれたので、2角からペースをダウンさせて走れた。途中早めにカレンシリエージョが動いたことで想定より早くペースを上げなくてはいけなかったのは誤算だが、後半1000mで加速ラップを刻みながら最後まで走り通して3着は価値ある走りだった。

 

 

総評

前半1000m61秒0、特に向正面に入った800~1000m地点で12秒7を記録するなどランドネは申し分ないぐらいのマイペース。これを嫌ったカレンシリエージョが動いたのはここがトライアルレースで、上位に来ないとGⅠ出走への望みを絶たれてしまうからだろう。この動きによって後半1000mは最初から11秒9とペースアップし、以降ゴールまで加速ラップが刻まれた。中山はゴール寸前に構える急坂の影響を大きく受けるコースであり、ゴールまで加速ラップが続くのは珍しい。前の組みに有利な流れだっただけでなく、逃げたランドネとそれを交わしたノームコアが自力で叩き出したラップであり、価値が高い。早めに動いたハーレムラインや終始インでためて、直線で進路取りに手間取っても猛追したパイオニアバイオなど今後の見逃せない馬たちも多く、収穫あるレースだった。

 

 

(勝木淳)

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