【重賞回顧】第72回セントライト記念(GⅡ)

レースを支配する、これが勝利の方程式。いざクラシック最終章へ。第72回朝日杯セントライト記念

 

2018年クラシックロードもその旅路の終わりが見えてきた。セントライト記念が行われるこの日の6Rは同じ世代の未勝利戦。出走条件が限りなく狭いスーパー未勝利だ。クラシックロード最終章菊花賞の出走権利をかける精鋭たちもJRAでの生き残りをかける未勝利馬も同じ3歳世代。2017年6月の時点では横一線だった関係は1年経って光と影のコントラストを浮かびあがらせる。

光の部分にもさらに影がある。春のクラシックに出走した馬とできなかった馬。夏を戦い抜き、最後の一冠菊花賞出走に望みをかける馬と春の実績馬がぶつかる、菊花賞トライアルセントライト記念。未勝利もGⅡも光ある世界への戦いという意味では同じではないか。

 

注目はダービー馬レイデオロの全弟レイエンダ。2歳の札幌で新馬勝ち後に骨折で春のクラシックへの道を絶たれ、ダービー2週間前の復帰戦を快勝し、函館で古馬相手の1000万下を突破。再び世代の主役を目指す。

 

対抗格のブレステイキングも春クラシック不出走馬。こちらはダービー出走をかけたプリンシパルステークスでコズミックフォースのタイム差なしの2着。再びクラシックの舞台へ立たんと雪辱戦に臨む。

 

3番手のギベオンはNHKマイルCで一旦抜け出しながらケイアイノーテックの末脚に屈して2着と涙を飲んだ。毎日杯では先日新潟記念を勝ったブラストワンピースと接戦を演じるなど世代上位の実力馬。

 

4番人気ジェネラーレウーノは中山で500万下、重賞を勝ったコース巧者。その力は皐月賞3着で実証された。ダービーは大敗を喫したが、再度中山コースで浮上のきっかけをつかみたい。

 

以下、コズミックフォースグレイルら春クラシック出走組、小倉で1000万下を勝ちあがったタニノフランケル、新潟で1000万下2着のダブルフラットら実績馬と夏の上がり馬、それぞれが最後の一冠を目指して出走した。

 

戦前から先行争いにも注目が集まった。逃げて1000万下を圧勝したタニノフランケル、皐月賞の内容からペースを落とさない戦法がいいとされるジェネラーレウーノ、抑える競馬を続けているが、かつては逃げ一手だったケイティクレバー、逃げて500万下を勝ったショウナンラーゼンと活気ある流れが予想された。

 

内枠からギベオンジェネラーレウーノが出て行くと、外からタニノフランケルがハナを主張した。1角から2角へタニノフランケルは12秒台前半のラップを刻み馬群を引っ張る。2番手ジェネラーレウーノが深い追いせず、ケイティクレバーはその直後で抑え、ギベオンもインのポケットへ収まったため、このラップでもタニノフランケルは大逃げのような形になった。実際は12秒前半のマイペース。幸英明騎手の思惑通りになった。中団前にダブルフラットコズミックフォースメイショウロセツブレステイキングと続き、直後にレイエンダが追走。後方にショウナンラーゼンが控え、トラストケンシンレイエスプランドル、やや置かれてグレイルゼーゲンオウケンムーンが離れた後方を走る。

 

落ち着いたペースで大逃げを打ったタニノフランケルジェネラーレウーノ以下が取りついて来る前からペースを上げることで振り切りにかかる。3角から11秒台にラップを上げ、3,4角中間地点で最速ラップ11秒2を刻む。番手のジェネラーレウーノにとってタニノフランケルの作戦は自身にとっても有利なものだ。先にタニノフランケルに並びに行っては意味がない。射程圏を探るようにじわりとタニノフランケルとの間合いを詰める。このあたりは田辺裕信騎手のクレバーさだ。コズミックフォースレイエンダブレステイキングらが追い出すが、ラップがあがった地点での追い込みは楽ではない。

 

4角で間合いを詰めたい後続を尻目にタニノフランケルが先頭のまま最後の直線へ。そのタニノフランケルを射程圏に入れながらジェネラーレウーノが坂下で捕らえにかかる。猛追するレイエンダも確実に伸びてきたが、先に抜けたジェネラーレウーノまでは距離がある。常にセーフティーリードを保つジェネラーレウーノタニノフランケルを交わし、勝利を確定させた。しかし、レイエンダタニノフランケルの脚色が鈍ったところで2番手にはあがった。菊花賞出走権の最後の1枚を争う3着争いはレイエンダを追ったブレステイキングタニノフランケルを交わして制したかと思ったところに大外から待機策をとったグレイルが末脚を伸ばし、ゴール板でハナだけブレステイキングを差し切った。勝ち時計2分12秒1(良)。

 

 

全着順

第72回朝日杯セントライト記念(GⅡ)3歳オープン(中山・芝2200m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ジェネラーレウーノ
牡3
田辺裕信
 2:12.1
2
レイエンダ
牡3
C.ルメール
1.1/4
3
グレイル
牡3
岩田康誠
1.1/4
4
ブレステイキング
牡3
M.デムーロ
ハナ
5
オウケンムーン
牡3
北村宏司
1.3/4
6
レイエスプランドル
牡3
内田博幸
ハナ
7
コズミックフォース
牡3
石橋脩
クビ
8
ショウナンラーゼン
牡3
吉田隼人
ハナ
9
トラストケンシン
牡3
三浦皇成
アタマ
10
ゼーゲン
牡3
大野拓弥
クビ
11
メイショウロセツ
牡3
田中勝春
1.1/4
12
◯外タニノフランケル
牡3
幸英明
クビ
13
ギベオン
牡3
戸崎圭太
2.1/2
14
ダブルフラット
牡3
津村明秀
1.1/4
15
ケイティクレバー
牡3
小林徹弥
ハナ

 

 

1~3着馬コメント

1着ジェネラーレウーノ(4番人気)

馬も騎手も中山巧者。そんな強みを最大限に活かした競馬だった。タニノフランケルが先手を取ったところで深追いせずにガッチリと番手を確保。これによって後続が動けない展開を作った。この演出によってジェネラーレウーノがレースを支配し、タニノフランケルが飛ばしているように見せた。スローの縦長を作ったことで残りはタニノフランケルの仕掛けに反応し、置かれないようにしつつ、後続に脚を使わせる。完璧すぎた競馬だった。これでは勝てるわけがない。田辺裕信騎手の中山巧者ぶりは知られているところだが、それに応えるジェネラーレウーノの中山適性の高さも改めて再認識させられた。

 

2着レイエンダ(1番人気)

重賞のペースやもまれた際にどうかという不安はあったが、幸いにもジェネラーレウーノが支配したレースはスローペースの縦長馬群。もまれるストレスも追走に苦労する場面もなかった。ただし、厳しいペースアップの場面で前と差を詰めなければならなくなり、ジェネラーレウーノに物理的に届かないような間合いを作られてしまった。器用さこそが足りない印象だが、それでも最後までジェネラーレウーノを追ってしっかり伸び続けた。やはり血統通りに力は十分に秘めている。

 

3着グレイル(6番人気)

変則的なレースに対して思い切って待機策を取ったのが好結果を導いた。中団から前をコーナーで追い上げる競馬が最もキツイ競馬だったことを考えれば、待機策から終いだけの競馬に徹したことで利を得ることができた。春のクラシックでも最後に見所あるような競馬を続けてきた馬で、いかにもハーツクライ産駒らしい歯がゆさがある現状だが、今後、どこかで必ず覚醒するのもハーツクライ産駒。そのときを待ちたい。

 

 

総評

ウオッカの息子タニノフランケルレイデオロの全弟レイエンダ、春一歩足りなかったブレステイキングダブルフラットら夏の上がり馬が最後の一冠出走をかけた戦いも、勝ったのは皐月賞3着ジェネラーレウーノだった。春の実績馬が強い傾向の近年のセントライト記念同様の結果になった。しかし、タニノフランケルの逃げや最後まで伸びて2着になったレイエンダなど見せ場十分だった。

レース後半は11秒5-11秒2-11秒6-12秒3-12秒6。後半に失速していくような変則ラップは凡戦のような見方もできるが、このラップを演出したのが2番手にいた勝ったジェネラーレウーノだったことを考えれば、あまり低く評価できない。なぜなら、バテて作られたラップではなく、あえてこのラップを作ることで後続の瞬発力を封じてみせたからだ。ロングスパート型で瞬発力タイプに勝つ、田辺裕信騎手はこうした戦略に長けている。最後に熾烈だった3着争いについて。ブレステイキングレイエンダを追って抜け出しながら最後にグレイルに屈した。厳しい競馬はレイエンダブレステイキングのような位置取りだったのは確かなだけに、ブレステイキング陣営にとって本当にこのハナ差は悔しいだろう。春のプリンシパルステークスに続き、寸前でクラシック出走権を逃した。無情すぎる現実に、改めてクラシックの光と影が浮かぶ。

 

 

(勝木淳)

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