【重賞回顧】第53回京都大賞典(GⅡ)

彩り豊かな淀の秋、ここに始まる。第53回京都大賞典

 

秋の京都は華やかだ。

秋華賞、菊花賞のクラシック最終章にエリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップと豪華絢爛なレースが毎週やってくる。加えて、秋の京都は美しい。保津川に映る嵐山、池を巧みに使い、美を表す天龍寺の庭園、嵐電沿線にある世界遺産仁和寺は鮮やかな紅葉。また、嵐山より早めに色づく場所もある。秀吉の正室ねね(高台院)を祀った高台寺がある辺り、清水寺から円山公園へ行く道沿いなど、京都には美しい秋が溢れる。

華やぐ秋の京都開催といえば、開幕週は京都大賞典。まだ夏の名残り、緑の季節だが、このレースはまた一歩、京都の季節を秋へと進める。

 

同じ週に東京で行われる毎日王冠と遜色ないメンバーが揃い、芝2400mという舞台設定からジャパンカップを意識する馬たちが集まる。

シュヴァルグランは昨年のジャパンカップ勝ち馬。連覇へ向けて昨年同様、この京都大賞典から秋をスタートさせる。

対抗格に評価されたのはサトノダイヤモンド。昨秋は凱旋門賞に挑戦。この春はやや成績としては物足りないが、3歳秋は菊花賞を勝ち、キタサンブラックを破って有馬記念も勝った。京都の秋が似合う馬だ。

この2強に対して、昨年のこのレースでシュヴァルグランに先着したスマートレイアーが今年も元気に出走。8歳牝馬、姉さんはこの秋も張り切っている。

他にはマジックマン・J.モレイラ騎手が乗る現役屈指のステイヤー、アルバート。この夏に一気にオープンまで駆けあがったレッドジェノヴァ、春に目黒記念を勝ったウインテンダネスなど上位2頭に挑む伏兵陣も華やかに揃った。

 

京都2400mはGⅠ施行こそないが、天皇賞(春)の距離短縮案に再三、出されるようなチャンピオンコース。4角奥からスタートして外回りを一周するレイアウトは紛れの少ない力勝負が期待できる設定だ。

どの馬が先手を取るのか読みにくいメンバー構成だったが、好スタートを切ったプラチナムバレットがハナかと思われたが、外からウインテンダネスが迫り、先頭に立つ。正面直線部分を全て使う先行争いは激しくなることは少なく、ウインテンダネスがすんなり先手を奪った。2番手のプラチナムバレットウインテンダネスを追うような素振りもあったが、1角から2角のコーナリングで抑えに入り、ウインテンダネスは飛ばすわけではないが、大逃げのような形になった。

3番手にはインに入ったレッドジェノヴァ、外にケントオーが追走。その後ろ、中団馬群の先頭にシュヴァルグラン、直後のインにモンドインテロ、外はスマートレイアー。姉さんはちょっと元気あまるような走りを披露、浜中俊騎手が苦労する。この2頭の後ろ、シュヴァルグランの直後にサトノダイヤモンド。徹底マークの作戦だ。

後方にブレスジャーニーアルバート、水沢から参戦のサンエイゴールドが最後尾を走る。

ウインテンダネスのペースは前半1000m通過61秒2のスローペース。最近よくみられるスローペースの縦長、大逃げという形となった。気分よく走るウインテンダネスを追うように3角手前から我慢できなかったスマートレイアーがスパートして差を詰めにいく。

これ以上抑えてもという浜中俊騎手の判断からレースは動き始める。下り坂で中団にいたシュヴァルグランも動き出し、当然マークしているサトノダイヤモンドも動く。プラチナムバレットが抵抗するが、苦しくなり、インのレッドジェノヴァも順位を下げる。

ウインテンダネスを捕らえたスマートレイアーの外からシュヴァルグランサトノダイヤモンドがやって来る。手応えは後ろのサトノダイヤモンドだ。シュヴァルグランを捕らえて先頭に立つ。シュヴァルグランの反応が鈍り、サトノダイヤモンドと一緒に外を動いたアルバートシュヴァルグランを交わす。

この攻防の間を突くように勝負どころで息を潜めていたレッドジェノヴァが馬群を割り、アルバートを捕らえた。先を行くサトノダイヤモンド目掛けて猛然と走る。しかし、サトノダイヤモンドに並びかけるかかけないか、そこに白いゴール板があった。

サトノダイヤモンドが久々の重賞勝ちを収め、2着はレッドジェノヴァ、3着アルバート。時計は2分25秒4(良)

 

 

全着順

第53回京都大賞典(GⅡ)3歳以上オープン(京都・芝2400m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
サトノダイヤモンド
牡5
川田将雅
 2:25.4
2
レッドジェノヴァ
牝4
池添謙一
1/2
3
アルバート
牡7
J.モレイラ
1.3/4
4
シュヴァルグラン
牡6
福永祐一
1
5
ブレスジャーニー
牡4
和田竜二
3/4
6
ウインテンダネス
牡5
菱田裕二
2
7
ケントオー
牡6
小牧太
3/4
8
スマートレイアー
牝8
浜中俊
アタマ
9
モンドインテロ
牡6
松山弘平
クビ
10
□地サンエイゴールド
牡5
山本聡哉
4
11
プラチナムバレット
牡4
幸英明
クビ

 

 

1~3着馬コメント

1着サトノダイヤモンド

クラシック戦線で皐月賞3着ダービー2着、そして菊花賞1着、さらにその年の有馬記念でキタサンブラックを破った。かつてエリート街道を進んだサトノダイヤモンド。しかし、明け4歳シーズンの勝ち鞍は春緒戦の阪神大賞典のみに留まり、フランス遠征後も以前のような自由自在な走りは影を潜めた。それだけに5歳秋緒戦の京都大賞典は自身のキャリアにおいてターニングポイントになった。道中はシュヴァルグランを目標に完璧なレース運び。シュヴァルグランが動くや即座に反応し、直線半ばでライバルを置き去りにした。3歳の有馬記念で先行策をとり、キタサンブラックを射程圏内に入れた姿が重なる。季節は巡り、5歳の秋。再び、耀きを取り戻す。

 

2着レッドジェノヴァ

3月中山で1000万下勝ちのあと、降級して迎えた4歳夏は北海道で再び1000万下を勝ち、ルメール騎手が乗ったワールドオールスタージョッキーズシリーズで準オープンを連勝で突破した。いきなりGⅡ挑戦は早急な感もあったが、それで2着健闘は池添謙一騎手のファインプレーだ。池添騎手は常々、レースでの力関係の把握に長けている。自分の騎乗馬と相手の力関係を計り、そこに差があれば、その差を騎乗で埋められる騎手だ。レッドジェノヴァのレースは徹底してインを走り、ロスを消し、前で流れに乗せて、他馬が動いたときに動かず、ポジションを守り通す。一緒に動いては力の差は埋められない。前にいるアドバンテージを活かすべく直線までじっとし、後から追い出したからこそ、最後まで馬が伸びた。サトノダイヤモンドを追い、狭いところを抜けてくるレッドジェノヴァの芯の強さのようなものと相まっての2着だった。

 

3着アルバート

この馬にとってはスマートレイアーシュヴァルグランサトノダイヤモンドが4角手前から前との差を詰めようと動いたことが幸運だった。早めに仕掛けることで最後はスタミナ勝負に持ち込まれたことで、現役屈指のステイヤーの力を発揮した形になった。流れが向いたとは言いながら、2400mという自身には短い距離で結果を出させる、J.モレイラ騎手、恐ろしすぎる。

 

 

総評

ウインテンダネスのスローの大逃げ、このままでは前でレースをコントロールしたもの勝ちになるかと思われたが、さすがは歴戦の古馬たち。スマートレイアーの動きに合わせて続々と動き出したことで、最後の直線は見応えある叩き合いになった。サトノダイヤモンドの復活、レッドジェノヴァの未来、アルバートの底力。秋の淀を彩る役者たちの走りは力が入った。4着シュヴァルグランは今年もここは叩き台。叩いて一変を予感させるような負け方だった。渋く伸びた5着ブレスジャーニーも何かきっかけを掴む走りではあった。それぞれ天皇賞(秋)、ジャパンカップ、エリザベス女王杯と道を分かつことになるかもしれないが、かつての京都大賞典のように振り返れば、とんでもないメンバーだったという重賞になると、この秋はさらに競馬が面白いことになる。

 

 

(勝木淳)

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