【重賞回顧】第69回毎日王冠(GⅡ)

マジックマンの手綱さばきに注目集まる、実力派が集う伝統の一戦

各世代から有力馬集まるハイレベルなメンバー構成

 

秋の競馬が本格化してきた。

 

東京開催の開幕週を飾るのは伝統のG2である毎日王冠だ。

 

西の京都大賞典と同様に、天皇賞(秋)の前哨戦として位置づけられており、1着馬に優先出走権が与えられる。

また、毎日王冠は距離が1800mということもあって中距離とマイルの有力馬が激突することが多く、毎年ハイレベルな争いが繰り広げられる。

 

今年のレースの中心は4歳牝馬のアエロリット

2017年のNHKマイルカップ、牡馬相手にも怯まず逃げ切ったのは印象強い。続いて挑んだ古馬牝馬相手のクイーンステークスも逃げて快勝。近走では中山記念をクビ差2着、ヴィクトリアマイルを0.1秒差の4着、安田記念もクビ差2着に粘るなど1600mから1800mのレースなら一線級を相手にしてもお手の物。

同型馬のいない今回のメンバーでなおかつマジックマンこと絶好調モレイラ騎手を鞍上に迎え、態勢万全だ。

 

先行力あるアエロリットを捕まえるのは誰なのか。

各世代別に見ていきたい。

同じ4歳世代には、菊花賞馬キセキ、同コース勝ちのあるサトノアーサーダイワキャグニーがいる。

キセキは夏の終わりから頭角を現し、神戸新聞杯レイデオロの2着で本格的に躍動し、田んぼのような不良馬場になった菊花賞を勝っている。(菊花賞2着は凱旋門賞に挑戦したクリンチャー、3着はサトノアーサー)

古馬になってからは振るわない、気性面で折り合いが難しいという話もあるが、今回はどうだろう。再浮上のきっかけがほしい。

 

ダイワキャグニーは東京5勝の実績が光る。前走、エプソムカップは重馬場のせいもあり、サトノアーサーに水をあけられた。今回は晴れの舞台へ向かって巻き返したい。

逆にサトノアーサー、前走をきっかけにここで賞金を積み上げてもうワンステップ上に上がり、キセキに追いつきたいところだ。

 

3歳勢も手強い。

クラシック路線からはステルヴィオ、マイルからはケイアイノーテックの挑戦だ。

ステルヴィオは皐月賞、ダービーでは惜しい競馬を繰り広げ、必ず上がり3Fベスト3に食い込むほどの末脚自慢。

ケイアイノーテックもまた後方一気で勝ってきた馬だ。NHKマイルカップの実績をひっさげて3歳マイル路線から堂々挑戦だ。

ペースが遅くなりそうなメンバーだけに道中の位置取りが勝敗を分けそうだ。

 

ベテラン勢では、サウンズオブアースステファノスあたりが天皇賞や有馬記念で2着しており、相手なり善戦するだけに、侮れない。

ステファノスは過去にこのレースに登場し、5着と7着。天皇賞(秋)で2015年2着、2016年3着、サウンズオブアースは有馬記念2着、ジャパンカップ2着と守備範囲が違う2頭ではあり、前哨戦はあくまで前哨戦、本番に強いタイプでもある。とはいえ、チャンス一つを活かせれば勝機は十分にある。

 

このように各世代から有力馬が揃い、ここで一度叩き各路線の頂点を目指していく。

分水嶺のような距離が絶妙なメンバー構成を生み出した。

各馬の持ち味をしっかりだした、好レースを期待したい。

 

 

レース回顧

 

スタートは13頭、ゲートを綺麗に出る。

サトノアーサーがすぐに手綱をひいて後方待機。

逆に好ダッシュをつけるのがアエロリット

うちから3番ステファノスと1番キセキが枠を活かしてアエロリットに並びかける。

しかし、ステファノスキセキは無理してアエロリットに迫らない。

外からレアリスタが口を割って2番手まで上がってきている。少し掛かっているようだ。

様子を見ながらキセキがインコースを攻めてレアリスタに並ぶ。そのすぐ後ろにステファノスが単独4番手。一馬身離れてインコースにケイアイノーテック。いつもは後方待機策だが、今回は好位につけて様子を窺う。外にダイワキャグニーカツジ。真ん中半馬身遅れてステルヴィオカツジが外目から進出していく。

ステルヴィオの後ろにはサトノアーサーサンマルティンスズカデヴィアスアクションスター、最後方にサウンズオブアースと1馬身ずつ差を置いている。

3コーナー、大ケヤキのところでまだアエロリットが先頭。

差は1馬身半ほど。ペースがゆるやかのようで、1000m通過が59秒0とそれほど遅くもない。

東京コースのおおきなカーブを馬群が通過し、4コーナーへ向かう。

アエロリットの芦毛の馬体が先頭、まだまだ余裕がある。

2番手は外がキセキ、内がステファノスレアリスタ

直線に入り、まだまだ持ったままのアエロリット

早々にレアリスタが脱落していく。キセキステファノスの手ごたえがいい。

4コーナーから外を回って、ぐいぐい押されていたダイワキャグニーカツジはイマイチ伸びきれない。

ケイアイノーテックが右に左に寄れながら、先頭集団を必死に追う。

先頭はアエロリット、ようやく鞍上が追いにかかる。

2番手はキセキステファノスが激しく競り合う。

しかし、余裕のアエロリット。逆に2馬身、3馬身と差がついていく。

坂を上って、1頭後方から追い上げてくる馬がいた。

ステルヴィオだ。

あっという間にケイアイノーテックを交わし、併せ馬になっているキセキステファノスもろともアエロリットに一気に迫る。

アエロリットのリードは2馬身。

キセキステファノスの叩き合いも激しい。

ステルヴィオが外から2頭を交わし、アエロリットに迫る。

だが、アエロリットの脚は鈍らない。

リードを保ったままゴールイン。

最後は追い込んできたステルヴィオの脚色が鈍ってしまうほど、アエロリットは後続を寄せ付けなかった。

今年も実力馬同士のガチな前哨戦が伝統の一戦の歴史に刻まれた。

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全着順

第69回毎日王冠(GⅡ)3歳以上オープン(東京・芝1800m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
アエロリット
牝4
J.モレイラ
 1:44.5
2
ステルヴィオ
牡3
C.ルメール
1.1/4
3
キセキ
牡4
川田将雅
クビ
4
ステファノス
牡7
福永祐一
ハナ
5
ケイアイノーテック
牡3
藤岡佑介
1
6
サトノアーサー
牡4
戸崎圭太
1.1/4
7
ダイワキャグニー
牡4
横山典弘
クビ
8
スズカデヴィアス
牡7
三浦皇成
アタマ
9
サウンズオブアース
牡7
田辺裕信
1.1/4
10
サンマルティン
セ6
池添謙一
3
11
アクションスター
牡8
大野拓弥
4
12
カツジ
牡3
松山弘平
1.1/4
13
レアリスタ
牡6
石橋脩
6

 

 

1~5着馬コメント

1着 アエロリット 4歳牝 J.モレイラ騎手 1番人気

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逃げる気はなかったが、行く馬がないので行ったと鞍上のレース後の談だが、たまたま今回はハナを主張する同型馬がいなかったことで好スタートを決めて、そのままゴールまで先頭で走った。けっしてスローなわけでもなく、タイムでいえばレコードに0.3差という高速決着。それでも33秒台の末脚をつかうのだから、恐れ入る。これでは後続も届かない。次走はマイルか中距離か、夢は広がり、選り取り見取りだ。

 

2着 ステルヴィオ 3歳牡 C.ルメール騎手 2番人気

道中は後方に控えて、直線一気の豪快な競馬。最後は競り合うキセキステファノスを横目に見ながらアエロリットの後塵を拝むことに。

得意の1800mでしっかりと結果を出し、次の本番に備える。この馬も調整は順調といった具合で今後が非常に楽しみだ。3歳の中距離路線組も一線級の古馬相手に堂々闘えることを証明した。

 

3着 キセキ 4歳牡 川田将雅騎手 6番人気

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強いキセキが戻ってきた。折り合いに難があると言われ、近走の結果はさびしいものであったが、直線でのステファノスとのたたき合いは闘争心に火を点けることになったのか、人気が落ちたなどどこ吹く風。菊花賞が去年の今頃なだけに、秋の大一番で輝くためのよい前哨戦になったのではないだろうか。

 

4着 ステファノス 7歳牡 福永祐一騎 8番人気

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キセキとやりあっていたら、ステルヴィオにすっと抜かれてしまった。最後にはキセキにもハナ差で競り負け、完全に実力負けした4着。それでもまだ力はある証拠。今回のように、ベテランらしい味のある競馬でレースを沸かせてほしい。

 

5着ケイアイノーテック 3歳牡 藤岡祐介騎手 4番人気

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マイルからの挑戦であったが、上記4頭が強かった。前走のように後方一気ではなく、今回は中団で構えた。新しい競馬を試し、33秒台の脚をつかうが、前が止まらず届かずじまい。前哨戦としての収穫はあっただろうから、今後の挑戦に期待がもてる。相手関係を考えると決して悲観する着順ではない。

 

 

総括

最初から最後までアエロリットの先行力が生きたレースだった。

モレイラ騎手も絶賛のアエロリットの今後の進路が気になるところだが、天皇賞に行くにしても、マイルチャンピオンシップに行くにもして、または海外に挑戦するにしても、タフな先行力で強い競馬を見せてくれると期待したい。贅沢な進路選びではある。

一方、敗れたキセキステルヴィオも持ち味を発揮し、各々の進むべき進路のためによいステップになったのではないだろうか。特にキセキは低迷していただけに復調のきっかけになればと思う。ケイアイノーテックは新しい乗り方を試すことができたのは収穫だ。

マイルと中距離、三歳馬と古馬と、牡馬と牝馬、1800mでおこなわれる前哨戦ならではの実力馬揃い、互いのいいところを出し合い、ぶつかりあう。

いつになく贅沢な前哨戦を味わえるのが、この毎日王冠というレースではないだろうか。

さあ、決戦はもうすぐだ。

 

 

(みすてー)

(写真・かぼす)

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