【重賞回顧】第21回富士ステークス(GⅢ)

新勢力の台頭なるか、遅れてきた大器がいよいよ大舞台へ!

勢いをつけるか、叩き台とするか

 

富士ステークス自体の歴史は80年代からだが、重賞に格上げになったのは、1998年。勝ち馬はエアジハード。去年でちょうど20回(20年)。

もう20年?と思う方はもう立派なベテラン競馬ファンだろう。

さて、このレースはマイルチャンピオンシップの前哨戦として、優勝馬に優先出走権がある。

秋初戦にこのレースを選ぶ陣営と、夏の勢いを秋に繋げたい馬と、思惑は様々だ。

 

このレース、重要視したい馬が2頭いる。

ペルシアンナイトエアスピネルだ。

ペルシアンナイトは2017年のマイルチャンピオンシップを勝ち、一旦はマイル王の称号を手にした。春は中山記念5着、大阪杯2着、安田記念6着と好走したものの勝ち星には恵まれていない。昨年の当レースでは不良馬場の中、5着。その後、マイルCSを制することとなり、結果として良い叩き台になった。今回も休み明け初戦として当レースを選び、同じローテーションを歩む。昨年と違うのは59キロというハンデだ。実績を挙げた分、背負わされている。さらに東京コース実績でいうとアイビーステークス2着が最高。得意コースとはいえず、条件は厳しい。実力はあるため、アッサリ勝ち、心配事は杞憂に終わることもある。

 

エアスピネルは昨年の覇者であり、未だに掲示板を外したことがない。この安定、堅実さは母エアメサイア、祖母エアデジャヴー譲りか。また、当レースを昨年勝っているが、京都の方がわずかに成績がよい。母系の京都での活躍を見ても器用さがあるのか、広い東京コースでの戦い方と、乗り役が今回から福永騎手に替わるところも併せて注目だ。

 

上がり調子の2頭にも注目したい。

ロジクライワントゥワンだ。

ロジクライは2016年のシンザン記念を制してから、故障により約2年の休養を余儀なくされ、2017年の年末に再始動。年明けからコツコツと条件戦で勝利を積み重ね、夏頃から中京記念2着、京成杯AH3着と今では重賞戦線に戻ってきた。

あのシンザン記念で勝った相手はジュエラーレインボーラインファインニードルと錚々たる面子が並ぶ。ここを勝ってマイルCSに駒を進め、活躍する同期に並びたいところだ。

 

ワントゥワンは1200mの重賞を5勝したワンカラットの娘。母譲りのスピードを活かした直線一気の追い込みが武器だ。関屋記念、京成杯AHを連続2着と波に乗っており、広い東京コースならではの末脚を見せてくれるだろうか。スローな展開になると届かないこともあるので、道中の位置取りも重要だ。

 

そして、面白いのはレッドアヴァンセ

レッドアヴァンセは兄クラレントが当レースを制しており、なにしろ兄弟たちがこの東京のマイルを得意としている。また、この馬自身も良成績をおさめている。唯一ケチをつけるとすれば、牝馬限定戦でのレースが多いことだ。オトコ馬たちに混じって走った時でも同じパフォーマンスが出せればいいのだが。

 

3歳からの刺客が手強い。

ビリーヴの子、ジャンダルムだ。

武豊騎手を鞍上に、秋初戦はやや軽い斤量(54キロ)を武器に古馬に挑む。皐月賞は健闘したが、ダービーは17着と完敗。今回は2歳時に2勝しているマイル戦へ主戦場を変えてきた。初めての古馬との戦いになるので、ここが試金石だ。なにしろビリーヴの子だけに短距離では期待したくなる。

 

そして、この有力馬の鍵となるのがマルターズアポジーの逃げだ。

逃げるのが間違いない馬だけにこのレースの展開の鍵を握る。東京コースは1800mのみ勝ちがある。マイルのペースを逃げ切るのは難しいかもしれないが、有力馬同士が牽制しあうようならチャンスがある。まずは自分の走りをして、マイペースで走ってもらいたい。

 

他にも、今年の春の重賞勝ち馬ヒーズインラブ(ダービー卿CT)、ウインブライト(中山記念)、2年前の当レース勝ち馬ヤングマンパワーと、様々な特色ある馬がそろったマイル戦。

勝ちに行くのか、それとも叩き台のレースなのか、それぞれの思惑がぶつかる。

 

 

レース回顧

 

フルゲート18頭。一斉にスタート。ゲートはきれいに出るが、ウインブライトはダッシュがつかない。追って馬群にとりつく。代わってハクサンルドルフと最内枠のガリバルディが下げていく。

先頭を勢いよく奪っていくのは外枠からマルターズアポジー。内から2番手ロジクライ

3番手以下はクルーガーを筆頭に外からレッドアヴァンセペルシアンナイトという7枠の馬2頭が外に並び、内にはエアスピネルウインブライトウインブライトはここまで上がっていた。その後ろにデンコウアンジュが内をついてあがっていく。1馬身ほど後ろにヤングマンパワーレッドアヴァンセエアスピネルは気持ち引いてここまで下がっている。

ヤングマンパワーから2馬身離れて内に3歳馬ジャンダルム、外にストーミーシー、間にゴールドサーベラス。この3頭から1馬身ちょっと後ろにワントゥワンヒーズインラブハクサンルドルフガリバルディと続く。若干縦長の展開。

1000m通過が34.6秒。

マルターズアポジーが3馬身ほどリードをつけて3コーナーから4コーナーへ。

2番手単独、ロジクライ。後続がペースを上げていく。

ウインガニオンクルーガーが徐々に差を詰めていく。

4コーナーをまわって、レッドアヴァンセに勢いがある。

エアスピネルペルシアンナイトの2頭はまだ中団より後ろだ。

直線に入って、残り400mを切って、まだマルターズアポジーがリードを守る。

迫るのはロジクライ

懸命に追われているエアスピネル、その後ろにペルシアンナイト。しかし、先頭まで届く勢いはない。

内から割ってくるのがハクサンルドルフだが、坂上で勢いが止まる。

残り200mでロジクライマルターズアポジーをつかまえる。リードは3馬身。

追うのはレッドアヴァンセ、勢いがある。

エアスピネルは3番手争い。

外から一気に駆け上がってくる馬がいる。ワントゥワンだ。

しかし、先頭のロジクライは勢いが落ちない。

ワントゥワンレッドアヴァンセに追いついたところでゴール。

ロジクライ、2馬身差の快勝。

 

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全着順

第21回富士ステークス(GⅢ)3歳以上・オープン(東京・芝1600m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ロジクライ
牡5
C.ルメール
 1:31.7
2
ワントゥワン
牝5
J.モレイラ
2
3
レッドアヴァンセ
牝5
北村友一
ハナ
4
エアスピネル
牡5
福永祐一
1/2
5
ペルシアンナイト
牡4
M.デムーロ
3/4
6
ハクサンルドルフ
牡5
戸崎圭太
1/2
7
ヒーズインラブ
牡5
藤岡康太
1/2
7
◯外ジャンダルム
牡3
武豊
同着
9
クルーガー
牡6
石川裕紀人
クビ
10
ウインブライト
牡4
松岡正海
クビ
11
□地ハッピーグリン
牡3
内田博幸
1.1/4
12
□地ガリバルディ
牡7
御神本訓史
クビ
13
ゴールドサーベラス
牡6
柴山雄一
ハナ
14
マルターズアポジー
牡6
柴田善臣
クビ
15
ヤングマンパワー
牡6
武藤雅
1.1/4
16
デンコウアンジュ
牝5
蛯名正義
クビ
17
ストーミーシー
牡5
大野拓弥
1.3/4
18
ウインガニオン
牡6
酒井学
3

 

 

1~5着馬コメント

1着 ロジクライ

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2番手追走から、直線でも単独で突き抜けた。

マルターズアポジーのつくったペースを利用して、自らが一番走りやすいように調節できたのだろう。

ここで箔をつけることができ、今後のレースに大きな展望が開けたのではないだろうか。

かつて負かした同期のG1馬に向かって、完全復活した走りで一歩でも二歩でも追いつきたいところだ。

 

2着 ワントゥワン

追い込んで届かず、2着。これで3戦連続2着。

追い込みという脚質である以上、展開に大きく左右される。それでも必ず2着に食い込んでくる切れ味は、鞍上の腕も含めて流石の一言。

 

3着 レッドアヴァンセ

直線入ってからの手応えはなかなかだったが、最後はワントゥワンの追い込みにハナ差屈した。しかし、この血統は東京のマイルはよく走る。今後も東京のマイルでは怖い存在だ。何気に京都のマイルも得意なので、マイルCS参戦の際はダークホースとして侮れない。

 

4着 エアスピネル

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エアスピネルにしては渋いレースだったかもしれない。休み明けの影響か、鋭さに欠け、直線では伸び悩んだ。道中、行ったり来たりがあったのだろうか。次のレースに向けての叩き台としてはこんなものだろうが、連覇を期待したファンには物足りないかもしれない。

 

5着 ペルシアンナイト

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59キロが効いたのか、やはり伸び悩んだ。直線では不利もあったようだ。昨年同様5着と掲示板を確保するのは流石だが、本来の実力からすれば物足りない。マイルCS連覇に向けて、課題を一つずつクリアしていってほしい。

 

 

総括

 

意外にも夏からの上がり調子の馬でワンツーを決めた。

エアスピネルペルシアンナイトは及第点といったところ。ここで無理する必要がない、あくまで叩き台ということなら、本番での走りに期待したい。

マルターズアポジー自体は、最後はバテバテだったが、地味に息がつかないラップで走っている。その中、ロジクライは2番手で調節が効いた。ルメール騎手の腕が光った格好だ。

しかし、怖いのはペルシアンナイトの存在だ。

去年と同じ秋初戦5着。マイルチャンピオンシップでは連覇を賭けて必ず巻き返してくるだろう。

秋のマイル王決定戦は目の前だ。

このレースで勝った馬、負けた馬、それぞれの健闘に期待したい。

 

 

(みすてー)

(写真・かぼす)

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