【重賞回顧】第61回スワンステークス(GⅡ)

王者に待ったをかける、復活の末脚

春のマイル王の秋初戦、断然の1番人気に応えられるか

 

日曜の豪華な天皇賞が楽しみではあるが、土曜には重賞が2つ組まれている。

そのうちの一つが、京都の1400mを舞台にしたスワンステークスだ。

マイルチャンピオンシップの前哨戦として位置付けられ、1着馬に優先出走権が与えられる。

1400mという距離的にもマイラーとスプリンターの両方が集まるため、前哨戦として興味深い一戦となる。

 

注目は安田記念を連闘で制した、モズアスコット

重賞初制覇がG1、しかもアエロリットスワーヴリチャードペルシアンナイトと言ったG1馬を破っているのだから、恐れ入る。

挑戦者の立場で、相当に調子がよかったのだろうことが窺えるが、今回は休み明け初戦。前哨戦とはいえ、安田記念馬として世間の期待の目もあり、斤量も58キロとトップハンデで1番人気も併せて背負う。気楽な立場とは言えない。

調子は8割くらいの出来で出走だろうか、春の王者として余裕を見せて勝ちきりたいところだ。京都コースは得意としており、1勝2着2回と連対を外していない。鞍上も引き続きルメール騎手であり、その辺りは心配なさそうだ。

 

ライバルとして立ち塞がるのが、どの馬か。

メンバーを見渡すと、ちょっと頼りない。

 

実績でいえば、2017年の桜花賞馬レーヌミノル

とはいえ、桜花賞以来、勝ち星に恵まれておらず、特に今年は散々な出来だ。

しかし、去年のマイルチャンピオンシップでは0.2秒差の4着と上々。先行勢、総崩れの中、しぶとく残った。同じ京都コースでの秋華賞は重馬場のせいか、まったく力を出せず。今回は晴れる見通しなのはよいが、切れ味タイプではなさそうなので上がり勝負だと苦しいかもしれない。

条件はよくないが、G1馬の格を背負ってもう一息頑張ってもらいたいところ。

 

人気を集めたのが、ロードクエスト

2歳から3歳にかけてはマイルを中心に強烈な追い込みを武器にしており、新潟2歳ステークスやNHKマイルカップ2着、京成杯オータムハンデでは当時の古馬たちを破っている。

しかし、4歳になって以降、自慢の末脚が鳴りを潜め、不発や追い込んで届かずを繰り返した。2018年になってからは好位につける競馬にシフトして、復調の兆しを見せ始めた。

今回はデムーロ騎手が2歳時以来の手綱をとる。どんなレースを見せてくれるか、楽しみな1頭だ。

 

ちょっと面白い経歴の馬がいる。

ベステンダンクだ。

オープン馬になってから重賞では歯がたたないと、一度は障害デビューをして、2戦走り、結果はともに4着。

その後は休みを挟み、平地に復帰。初戦の米子ステークスを5馬身逃げ切り快勝。

京成杯オータムハンデはドタバタとしてレースにならなかったが、阪神に戻り、オープンのポートアイランドステークスで2着に残る。去年の当レースは11着とまるでレースにならなかったが、京都コースはマイルと1400mで4勝している。展開さえ噛み合えば、上位も狙える。

 

京都を勝っているといえば、グァンチャーレは出世レースとして定着してきたシンザン記念を勝っている。今年の2月、3月にオープン特別を3戦連続2着、勢いに乗ってマイラーズカップに挑んだが6着と久々の重賞で健闘。都大路ステークス3着のあと休養に入り、当レースが秋初戦。近走の着順は悪くなく、京都コースも<2.4.2.3>と阪神<0.3.2.3>に比べ、悪くない。1400mでの実績がないのは気がかりではあるが。

2着、3着が多いので堅実だが、決め手不足をどう補うか。重賞勝ち馬だけにもう一皮剥けたい。

 

面白いのはデアレガーロ

2月の同コースの京都牝馬ステークスで最後方からの追い込みで2着に食い込んでいる。あの脚が再びつかえるようだとチャンスありだ。近走ピリッとしない走りが続くので盛り返したい。

 

G1馬の秋初戦の相手が、過去に重賞を勝った馬、オープン馬として低迷を余儀なくされている馬というのはやや物足りないが、だからこそ、王者の実力を見せつけてもらいたい。

 

果たして、王者の秋初戦で足下をすくう存在が現れるのだろうか……。

 

 

レース回顧

 

11頭とややさびしいゲート入り。

スタートはコウエイタケルが好ダッシュ。反対にロードクエストは出遅れ気味にダッシュがつかない。最内枠のドルチャーリオも後ろからのスタート。

先頭争いは好ダッシュを決めたコウエイタケルの行く手を阻むようにキングハートグァンチャーレ。内にはベステンダンク、間にレーヌミノル

レーヌミノルが一歩出て、隊列が決まってくる。

2番手が外のキングハートコウエイタケルが1馬身ずつ、内にベステンダンクグァンチャーレが同じく1馬身ずつ差をつけて落ち着く。

その後ろにヒルノデイバローが外からあがって、内にデアレガーロサフランハートと並んで走る。

さらにその後ろにモズアスコット。徐々に進出をはじめるが、後ろから3番目だ。

最後方はロードクエストドルチャーリオ

600m通過が34.6秒。先頭のレーヌミノルのリードは5馬身ほど。

坂を下って、各馬ペースがあがってくる。

まだモズアスコットは後方3番手、外に進路を持ち出し、まくってくる勢いだ。

レーヌミノルのリードは1馬身ちょっとに縮まってきた。

直線に入って、レーヌミノルが先頭、差は2馬身。

内から勢いのいいのがグァンチャーレレーヌミノルに迫ってくる。

モズアスコットはまだ後方だ。

馬場の真ん中からベステンダンクも来ている。

レーヌミノルは残り200m手前で失速。

先頭に立つのはグァンチャーレ。このあたりでモズアスコットロードクエストが脚を伸ばし始める。差は5、6馬身。

残り100m一挙にモズアスコットが差を詰める。ベステンダンクグァンチャーレを一気に差し切る。

しかし、さらに外にもう一頭、ものすごい脚で迫る馬がいる。

ロードクエストだ。

ゴール前、ほんの数メートルで春の王者を差し切った。

 

 

全着順

第61回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)3歳以上・オープン(京都・芝1400m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ロードクエスト
牡5
M.デムーロ
 1:21.5
2
◯外モズアスコット
牡4
C.ルメール
ハナ
3
グァンチャーレ
牡6
古川吉洋
1/2
4
ベステンダンク
牡6
川田将雅
クビ
5
コウエイタケル
牡7
小牧太
3.1/2
6
デアレガーロ
牝4
福永祐一
ハナ
7
レーヌミノル
牝4
和田竜二
ハナ
8
キングハート
牡5
小崎綾也
1.3/4
9
ドルチャーリオ
牡5
池添謙一
2
10
サフランハート
牡5
幸英明
クビ
11
◯地ヒルノデイバロー
牡7
四位洋文
1/2

 

 

1~5着馬コメント

1着 ロードクエスト

最後の最後でG1馬を差した。スタートで後手を踏んだように見えたが、元からそのつもりで、後方で脚を溜める以前のやり方に戻したのかもしれない。レーヌミノルがそれなりに逃げたことでペースも流れ、デムーロ騎手の判断がズバリあたった。

2016年の京成杯オータムハンデ以来、約2年ぶりの重賞勝利。勢いに乗って、このままG1に挑みたいところだ。

 

2着 モズアスコット

勝ったつもりがさらに外からロードクエストが意外なほど脚を伸ばしており、最後に交わされてしまった。八分の出来であれば、こんなものかと思うところだが、このメンバー相手なら、勝ち切ってほしいと思うのは贅沢な話だろうか。休み明けだけに直線、しかけの反応が悪いように思えた。

 

3着 グァンチャーレ

健闘した。一旦は内から勢いよく先頭に立ったが、ラスト100mが甘くなった。見せ場はつくれたものの、さすがに相手が悪かった。

京都は堅実に走るのは確かだ。またの機会で勝ちきりたい。

 

4着 ベステンダンク

先行して、直線最後でも伸びを見せてきたが決め手に欠けた。しかし、今年は展開も噛み合って、去年とは別馬のようなよい走りをみせ、上位に食い込んだ。このコースは結果を出しているだけに自分のレースはできたようだ。

 

5着 コウエイタケル

良いスタートだった。先頭に立ったレーヌミノルに競りかけることなく、マイペースで追走。ベステンダンクから3馬身離された5着だが、前走のセントウルステークス4着に並び健闘したといえる。重賞での勝ち負けとまでは言わないが、まだまだ活躍できる1頭だ。

 

 

総括

 

レーヌミノルが思ったよりも逃げたことで、ペースが流れた。

これがこのレースの大きなポイントだろう。明確な逃げ馬不在の場合、押し出されるように先頭を走ることがあるが、今回はレーヌミノルが最初はそのような素振りだったが、途中から明確に逃げの一手を打った。

展開を利用して、さらに脚を溜めたロードクエスト。馬を信じた鞍上の判断は流石の一言。

モズアスコットも前哨戦と考えれば、悪くない。レーヌミノルの積極策がこの2頭の活躍を産んだかもしれない。

レースの展開はゲートが開き、走ってみないとわからない。

今回は勝てたが、もしもスローペースの瞬発力勝負になっていたら、また違う馬が活躍していたかもしれない。

しかし、どんなレースでも、勝った馬が強いのだ。

今回、鮮やかな勝ち方をしたロードクエストの次走に注目が集まる。富士ステークスはロジクライ、スワンステークスはロードクエストと過去に活躍した馬が復活の狼煙をあげている。マイルチャンピオンシップに向かって、モズアスコットペルシアンナイトの盛り返しも期待できる。

秋のマイル王決定、ゲートが開くまであと3週間だ。

 

 

(みすてー)

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