【重賞回顧】第52回ステイヤーズステークス(GⅡ)

偉大な挑戦は幻と消え、新たなステイヤーが誕生する

夢の4連覇が消えた朝、新たな戦いが始まる

 

レース当日の朝、衝撃的な発表があった。

アルバートの出走取り消し、である。

 

2015、2016、2017年とステイヤーズステークス3連覇を果たしてきたアルバートが今回、史上初の同一重賞4連覇に挑む予定だった。

強力なライバルに乏しく、圧倒的な1番人気となるはずだったが、運命というのはわからない。

後の発表によれば前肢のハ行による取り消しだという、つまりはいかに出走し、ゴールすることが大事であり、貴重なことか。

また、このアルバートの取り消しによって、一転、混戦極まるレースとなってしまった。

 

ステイヤーズステークスはご存じのとおり、日本の平地重賞で最も長い距離を走る。その名の通りステイヤーのためのレースだ。スタンド前からスタートし、中山の内回りコースを2周する。スタミナなしでは語れない。

今回出走するメンバーは本来ならばアルバートとの戦いに挑むという図式だったが、急遽、お互いが明確なライバルとなった。飛び出た能力を持つ馬が不在という新たな図式に戸惑いながら、戦いの幕が切って落とされるのだった。

 

見ている我々も戸惑っていた。

1番人気リッジマンから、アドマイヤエイカンヴォージュモンドインテロまで3~5倍台の単勝オッズが常に揺れ動いていた。まさに押し出されるようにリッジマンが1番人気に支持された。この4頭の有力馬を見ていきたい。

 

リッジマンはホッカイドウ競馬出身、2歳クローバー賞の好走からJRAで走ることになり、昨年の7月頃から条件戦を勝ちあがる。今年の2月、万葉ステークスで2着し、そのままダイヤモンドステークス(G3)に格上挑戦し、2着を見事確保。短距離やダートで結果を出してきた父スウェプトオーバーボード産駒らしからぬ長距離適性を見せた。その後の目黒記念は凡走となってしまったが、札幌の丹頂ステークスで実力の片鱗を見せる。結果が出ていない中山コースが課題となるが、距離は問題なさそうだ。

 

アドマイヤエイカンは2歳時に札幌2歳ステークスを制しており、早い時期から活躍が期待されていた。しかし、マカヒキの弥生賞5着まではよかったが、その後の丹頂ステークスで凡走して以来、故障で1年4か月と貴重な期間を休養にあてた。2018年に復帰してすぐの1000万下は快勝したが、その後、惜しいレースが続く。格上挑戦となった札幌日経OPではヴォージュに3馬身半ちぎられながらも、2着と実力を示す。掲示板には載るが勝ち切れないレースを続け、前走ようやく京都の2400mの古都ステークスでハナ差残った。

晴れてオープン馬となり、重賞に、それもステイヤーズステークスに挑戦してきた。この距離にどこまで戦えるか、今後の活躍を占う上で重要な一戦だ。

 

ヴォージュ。2017年の5月に条件戦を連勝してオープン入りして以来、パッとしない成績が続く。速い上がりになるとついていけなくなるのか、唯一勝ったレースは上記アドマイヤエイカンを負かした札幌日経OP。時計のかかる長距離となるとなかなか活躍の場が限られてくる。今回のメンバーでいうと先頭だってペースをつくる馬が不在のため、ヴォージュ自身がペースをつくることも考えられる。展開的に好意的な解釈が難しく、実は勝ち星をあげているのは2000mがほとんどだ。このレースは長距離線への試金石として臨みたい。

 

モンドインテロは一昨年のステイヤーズステークス3着馬だ。去年はチャレンジカップに出走して4着。また、このチャレンジカップの成績が示す通り、中~長距離の重賞に顔を出しては掲示板に載るか載らないかといったような成績を続けている。ディープインパクトの子らしく、好位につけて速い上がりをマークすることが多い。今回の準OP~オープン馬のようなメンバーを見る限り、手強い相手に戦ってきたモンドインテロとしては物足りないかもしれないが、アルバートがいない今、チャンスでもある。半弟のセダブリランテスは中山金杯を勝っている。同じ舞台で、兄貴としてそろそろ箔をつけたいところだ。

 

アルバートのライバルとしてはやや物足りない面もあるが、アルバートがいない今となっては実力伯仲。どの馬にもチャンスがあるし、それほどに実力、実績に差がない。

すべてはゲートが開いて、展開次第。

新たなステイヤーに名乗りを挙げるのは誰なのか。

 

 

レース回顧

 

13頭のスタートはスタンド前から。ゲートはそろって出るがネイチャーレット、あえて後方へ。

先頭は押して押して勢いをつけ、カレンラストショーがハナに立つ。

内からヴォージュ、外からアドマイヤエイカンアルターが脚を伸ばしてくる。

1週目1コーナーへ向かう13頭。内回りコースを2周することになる。

先頭はカレンラストショー、1馬身差でヴォージュ、3番手はモンドインテロに変わっている。2馬身空いてアドマイヤエイカン、それからまた1馬身ちょっと離れてリッジマン、2馬身差でアルター、ここまで下がっている。その後ろにコウキチョウサンメドウラークが続いている。

その後ろは4馬身離れて後方集団、トウシンモンステラララエクラテールマサハヤダイヤマイネルミラノネイチャーレットがそれぞれ1馬身ずつ離れた隊列だ。

1000m通過は63.1秒とゆったりと流れている。

1週目の3コーナーから4コーナー。カーブしていくがほとんど隊列は変わらない。

後方集団との差がなくなって、縦に13頭並んでいるようだ。

正面スタンド前に戻って、2周目に突入するが、先頭カレンラストショー、次にヴォージュ、3番手モンドインテロアドマイヤエイカンリッジマンと人気どころが連なって淡々と進んでいく。

2000m通過が2分7秒台とやはりペースはゆっくりだ。

2周目は先頭・中団・後方集団がくっきりわかるようなスペースが広がる。

レースが動き出したのが3コーナー手前から。全体的にペースが速くなり、位置取りに各ジョッキーが動き出す。

3コーナーを過ぎる頃。先頭を走っているカレンラストショーが徐々につらそうになる。

ヴォージュアドマイヤエイカンが手綱を押されてギアをあげようとしている。

リッジマンが徐々に進出してくるが、4コーナーで飛び出したのはアドマイヤエイカン

カレンラストショーはここで先頭を明け渡す。

内からアドマイヤエイカンが先頭に立つ。外からリッジマンがじわりじわりと迫ってくる。

残り200mでアドマイヤエイカンリッジマンの2頭の叩き合い。

モンドインテロが3番手争いを抜け出してくるが、先頭の2頭と2馬身半の差があり、これは詰められそうにない。

アドマイヤエイカン、先に抜け出した分、最後のダッシュがつかず、リッジマンが先頭に代わる。

リッジマン、二の脚の勢い衰えずそのままゴールイン。

アドマイヤエイカンがバテて、モンドインテロと差のない2着争いとなった。

 

 

全着順

第52回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)3歳以上オープン(中山・芝3600m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
◯地リッジマン
牡5
蛯名正義
 3:45.2
2
アドマイヤエイカン
牡5
田辺裕信
2.1/2
3
モンドインテロ
牡6
W.ビュイック
クビ
4
◯地マサハヤダイヤ
牡5
大野拓弥
2
5
アルター
セ6
石川裕紀人
クビ
6
ララエクラテール
牡6
戸崎圭太
2
7
コウキチョウサン
牡5
北村宏司
クビ
8
メドウラーク
牡7
丸田恭介
ハナ
9
マイネルミラノ
牡8
柴田大知
2.1/2
10
ネイチャーレット
牡5
野中悠太郎
2.1/2
11
ヴォージュ
牡5
丸山元気
2.1/2
12
カレンラストショー
牡6
内田博幸
1/2
13
トウシンモンステラ
牡8
三浦皇成
10
取消
アルバート
牡7
J.モレイラ
 

 

 

1~3着馬コメント

1着 リッジマン

4コーナーからじわりじわりと伸びてきて、先に抜け出したアドマイヤエイカンをとらえて、競り合い制して勢いそのままゴールイン。3600mでも最後もバテず、鋭く伸びた。ポストアルバートとまではいわないが、新しいステイヤーの猛者が誕生した。

 

2着 アドマイヤエイカン

先に抜け出したのはいいが、最後バテてなんとか2着守ったというレベルだが、実力はともかくちょっと距離がもたなかったのではと思える。

 

3着 モンドインテロ

直線で最後にいい脚をみせたが、バテてきたアドマイヤエイカンに迫るまでとなってしまい、勝ち馬とは差はついてしまった。一昨年と同じ3着を確保するまではよかったが、このメンバー相手ならもう少し上の着順でもいけたのでは、と高望みしたくなる。

 

 

総括

 

アルバートが不在でもしっかりと1番人気が勝つのは不思議なものだ。

勝ったリッジマンは今後も長距離路線を続けていくのだろうか。有馬記念への参戦や、年明けのダイヤモンドステークス、春の天皇賞などが見えてくる。

とはいえ、5歳での制覇。年が明ければ6歳になり、年齢的にも若くはないが、長距離戦線にどんな影響与えるのか、楽しみな1頭には違いない。

 

それにしても、アルバートの4連覇……。残念でならない。

 

 

(みすてー)

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