【重賞回顧】第54回中日新聞杯(GⅢ)

躍動する3歳馬と古馬伏兵の大激走

 

暮れの中京競馬場、最後の重賞。集ったのはクラシックを敗れた3歳馬とローカル重賞を騒がしている古馬たちだ。

ここで腕試しをするもの、弾みをつけるもの、それぞれの都合はあるだろう。

どの馬にもここを勝って、年明けの新しい時代へのステップにしてもらいたいものだ。

 

さて、このレースに集ったメンバーがなかなか興味深い。

ここは勝って当然といったような、飛びぬけた実力を持つ馬の出走はなく、混戦模様だ。各々事情を抱えながら、中京の2000mに挑んできた。

 

なかでも、上位人気3頭はそれぞれ特色があって面白い。

押し出されるように1番人気になったのは3歳馬ギベオンブラストワンピースの毎日杯で2着、ケイアイノーテックのNHKマイルカップでも2着と春のクラシックに好走。しかし、秋初戦のセントライト記念で13着と大敗。2200mは長かったのか、結果を出している左回りと2000mを武器に古馬に挑む。ディープインパクト産駒らしい切れ味ある走りをみせてくれるか注目だ。

 

人気を追いかけるのは展開面で鍵を握るマイスタイルと昨年の覇者メートルダールだ。

マイスタイルはうまく逃げが決まるとしぶとく残るのが持ち味だ。ダービーでも4着に残った。4歳になった今年は夏の函館で逃げて2連勝して力をつけ、札幌記念に挑んだものの、さすがに相手が悪かった。しかし、次走の福島記念ではマルターズアポジーの2番手追走で、マルターズアポジーがバテて下がっていく中、3番手のスティッフェリオとともに勝ち負けを争い、結果は2着と上々。今回も得意の逃げがきまるかがこのレース全体の行方を握る。

 

負けていられないのは昨年の覇者メートルダールだ。ミッキーロケットを破っている。左回りを得意としていて、全6勝のうち、東京で4勝、中京で当該レースの1勝と5勝をあげている。というのも、後方からの競馬になることが多く、直線が長い方が持ち味が出せるのだろう。そして、マイルから2000mという距離が守備範囲だ。よって、この中日新聞杯は左周りの2000mという得意とする条件がそろっているのが昨年の好走につながったのだろう。今回も好走が期待できるが昨年の勝ち馬だけに、トップハンデ57キロを背負っているのが気がかり。去年よりも2キロ増えた斤量分を弾き返せるだけの実力をつけてきたかが焦点ともいえるが、前走、新潟記念でブラストワンピースとは差をつけられながらも2着。評価されてもいいはずだ。

 

次に注目したいのは重賞勝ち馬だが、人気にならなかった馬たちだ。

まずはストロングタイタン。夏の鳴尾記念を勝っている。しかし、その後の宝塚記念への挑戦は11着、少し格を落として、小倉記念に挑んでみるも心房細動を発症し大差のしんがりでゴールする。小倉記念はともかく、宝塚記念も仕方なしと見れば鳴尾記念勝ちというなかなかのキャリアがある。しかもその時は上がり最速で1分57秒2というレコードで勝っている。だが、今回は馬体重が+36キロと前走に比べて大幅に増やしてきており、メートルダールとおなじ57キロを背負う。それもあってか、7番人気という評価に甘んじている。

 

もう1頭、面白いのはエテルナミノル。同コースで行われた1月の愛知杯の勝ち馬だ。コース適正については全く問題ないが、エリザベス女王杯15着、クイーンステークス6着、函館記念3着と波があるのも事実。得意のコースで巻き返しをはかりたいところ。

 

また、キタサンブラックの兄、ショウナンバッハは新潟記念で13番人気なれど3着に飛び込んできたりとまだまだ潜在的な能力のある馬だ。

 

ディアデラノビアの子、ドレッドノータスも1600万からオープンのアンドロメダステークスを連勝しており、侮れない存在だ。ここで一気に台頭してきてもなんらおかしくない馬だ。

 

3歳ではもう1頭、グレイル。こちらはギベオンとは逆にセントライト記念3着して菊花賞に挑んだ。勝ち星は新馬と京都2歳ステークスだけだが、どちらも2000mと今回と同じ。ギベオンだけにいい格好をさせるわけにはいかないだろう。

 

実績や調子をみると、どの馬も勝てる要素があるだけに、マイスタイルがつくるレース展開を誰が捕まえに行くか。そしてその馬を目標とするのは、と展開にも見ごたえがありそうだ。

 

 

レース回顧

 

スタートは正面スタンド前、綺麗に揃った14頭。内からエテルナミノルアメリカズカップが馬なりで先頭を窺うが、大外枠14番をつけたマイスタイルがするするとあがって、あっという間にハナを奪う。1週目のゴール前を通過し、2番手まで2馬身。

マイスタイルにつづけと外枠のドレッドノータススズカディープが2番手3番手と流れていく。1コーナーをまわり、2番手争いはエテルナミノルアメリカズカップドレッドノータススズカディープと4頭がぎゅっと詰まった馬群を形成している。

2コーナーから向こう正面あたりで馬群はばらける。先頭から5番目までは相変わらずだが、そこから1馬身離れてエンジニアストロングタイタンが追走。3~4馬身離れてギベオン、さらにその後ろも2馬身ほどあいてメートルダール。やや口を割っている。

内からメートルダールを抜かしていくのはグレイル

この2頭からまた3馬身あいてショウナンバッハマサハヤドリームが並んでいる。

最後方はさらに3馬身あいてハクサンルドルフレイホーロマンス

先頭からシンガリまで縦に長~くなっている。

先頭のマイスタイルは順調に3コーナーから4コーナーへ。差は4馬身くらい。

残り600mの標識、4コーナーから直線にかけて一気に馬群が縮まり、後続が追い出しにかかる。

直線に入って、マイスタイルは馬なりで2馬身差ほどリード。うちからスズカディープエテルナミノルがいるが、ストロングタイタンの勢いがいい。

しかし、馬場の真ん中あたりからぐいぐい伸びてくる馬がいる。ギベオンだ。

すぐ後ろのストロングタイタンも負けじと脚をつかう。

外からショウナンバッハも脚色がいい。ギベオンに迫る勢い。

残り200mを切ってショウナンバッハギベオンへ接近。ここからは2頭の競り合いだ。

激しい叩き合い。ショウナンバッハに勢いがあり、そのまま交わすかに思われた。

しかし、ギベオンが二の脚をつかい、ゴール前、ぐいっと伸びた。

クビの上げ下げで2頭同時にゴールイン。

わずかにハナ差、若武者に軍配があがった。

後続には4馬身の差がついた。

 

 

全着順

第54回中日新聞杯(GⅢ)3歳以上オープン(中京・芝2000m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ギベオン
牡3
C.デムーロ
 1:59.3
2
◯地ショウナンバッハ
牡7
鮫島克駿
ハナ
3
◯外ストロングタイタン
牡5
B.アヴドゥラ
4
4
◯地レイホーロマンス
牝5
丸山元気
1/2
5
メートルダール
牡5
福永祐一
1/2
6
エンジニア
牡5
北村宏司
クビ
7
マサハヤドリーム
牡6
北村友一
1
8
マイスタイル
牡4
田中勝春
クビ
9
アメリカズカップ
牡4
松山弘平
ハナ
10
ドレッドノータス
セ5
中谷雄太
アタマ
11
ハクサンルドルフ
牡5
藤岡康太
クビ
12
エテルナミノル
牝5
四位洋文
1.1/4
13
グレイル
牡3
津村明秀
1/2
14
◯地スズカディープ
セ6
岩崎翼
9

 

 

1~3着馬コメント

1着 ギベオン

ショウナンバッハと競り合いを制し、見事優勝。直線では鋭い末脚で先に抜け出したところをショウナンバッハにつかまるが、最後は勝負根性を見せた。2000mはよく合うのだろう。スケールアップした次走にも注目だ。

 

2着 ショウナンバッハ

最後、ギベオンとの争いはもしやと感じさせてくれたが、最後は若い馬に負けてしまった。

すっかり穴馬になってしまったが、直線での脚は特筆すべきものであり、まだまだやれる。

好走する条件さえ整えば4馬身ちぎれるという実力を証明することにもなった。

 

3着 ストロングタイタン

実力はあるのは間違いない。ただ、今回休み明けの叩き1戦目という印象がぬぐえない。それでも3着まで飛び込んでくるのだから、次走はよりよい走りをみせてくれることを期待したい。それにしてもプラス36キロというのはすごい。

 

 

総括

 

マイスタイルの逃げは途中までよかったようにみえたが、ペースは58秒台と早く、最後はつぶれてしまい、差し馬の台頭を迎えてしまった。逃げ馬が人気になるとなかなか難しいところだ。

 

そして、ここでも3歳馬の活躍。

人気の3歳馬のギベオンが7歳馬の伏兵ショウナンバッハと競り合う光景というのは、新旧世代交代を感じさせてくれてとてもドラマチックだ。若者の試練に年長者が立ちはだかるようだ。

 

年明け、新しい世代がクラシックに挑む。

来年の今頃はギベオンが新しい世代を迎えうってくれるだろうか。

 

 

(みすてー)

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