【重賞回顧】第68回中山金杯(GⅢ)

躍動する最強4歳世代。背後を狙う中山名人。さあ新たな戦いを始めよう

 

競馬元旦 2019(平成31)年1月5日

JRAの競馬始めはご存知東西金杯。競馬に東も西も関係ない時代ではあるが、金杯は東西同日に同名レースなだけに、地元の金杯には自然と力が入るものだ。有馬記念の余韻が冷めない場内は普段以上に人も多く熱気に満ちている。騎手も調教師も種牡馬も全員0からスタートする1月5日は競馬ファンもまた同じ0から始まる。

競馬は積み重ねる経験値も大切だが、積算されない0スタートが全員で切れるのもいい。

 

さて、中山金杯だ。迎春ムードに流されすぎずに冷静に考えれば、こちらは中山唯一の芝2000mGⅢハンデ重賞であり、確固たる主役がいない混戦模様。毎年のことながら、年初めにしては難解で意地悪な設定でもある。

 

トップハンデは中山コースのGⅡスプリングステークスと中山記念を勝ったウインブライト58キロ。いずれも1800m重賞ながら、2000mはGⅢ福島記念勝ちもあり、舞台は整ったといったところだ。

次位57キロはGⅢ函館記念勝ちがあるエアアンセム。福島記念3着と小回り2000m適性は高い。他にGⅢ鳴尾記念レコード勝ちのストロングタイタン、GⅢ関屋記念、富士ステークス勝ちの古豪ヤングマンパワー、GⅢチャンレンジカップ馬マイネルハニーとキャリア十分の実績馬が並ぶ。

これら実績馬を押しのけ1番人気に支持されたマウントゴールド(56キロ)はチャンレジカップ2着の勢いとデビュー33年目にして初めて中山競馬場で1月5日を迎える武豊騎手への注目も加わってのものだ。

2番人気は最強世代の4歳タイムフライヤー(56キロ)、以下、クラシック戦線を戦ったコズミックフォース(56キロ)、ステイフーリッシュ(56キロ)が続き、ヴィクトリアマイル以来の勝利をディセンバーステークスであげた6歳牝馬アドマイヤリード(56キロ)も出走。混戦模様ながらハイレベルな一戦となった。

 

一斉のスタートからハナを主張したのは最内枠に入った4歳タニノフランケルだ。母はウオッカ、父はフランケルという良血だが、オープン実績が乏しいためにハンデは53キロ止まり。この斤量を活かしつつ、自分の競馬に徹する姿勢を見せる。

内から枠を活かしたいコズミックフォースアドマイヤリードが先行態勢をとり、ストロングタイタンも積極的なレースを目論む。

この先行集団4頭の直後にランガディア(54キロ)、ヤングマンパワーサンマルティン(56キロ)が続く。中団後ろの外といつもより後ろに位置したウインブライト、その内にマウントゴールド、さらにインにマイネルハニーがいる。

一団で進む馬群はタニノフランケルのマイペース。後ろを引きつけながら平均遅めのペースを刻む。前半1000m通過地点で12秒6とさらにペースダウンさせたところで、遅いと判断したのか、後ろから思い切ってステイフーリッシュが外をまくってタニノフランケルの直後へ進出。この動きに合わせてタイムフライヤーもついていくように動く。この動きによって3角から流れが一気に速くなる。タニノフランケルの直後にいたコズミックフォースステイフーリッシュに並びかける。まくり気味に動く各馬の仕掛けにひとタイミングずらしてウインブライトも進出していく。インにいたアドマイヤリードも不気味なほどに手応えがいい。

最後の直線コース。

突き放しにいくタニノフランケルコズミックフォースステイフーリッシュが併せ馬でそこへ迫る。インからアドマイヤリードが進路を探しながら伸びてくる。

この争いの外からやってきたのがウインブライト。中山の坂などなんとも思っていないかのような鋭い末脚で一気に先頭に立って勝負をつけた。後続からマイネルサージュ(56キロ)やタイムフライヤーサンマルティンも追いあげるが、先に抜けたステイフーリッシュコズミックフォースを競り落とし、アドマイヤリードを抑えて2番手。3番手は逃げたタニノフランケルがギリギリアドマイヤリードを凌いでみせた。時計は1分59秒2(良)。

 

 

全着順

第68回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)4歳以上オープン(中山・芝2000m)

着順
馬名
性別・馬齢
騎手
着差・タイム
1
ウインブライト
牡5
松岡正海
 1:59.2
2
ステイフーリッシュ
牡4
藤岡佑介
1/2
3
◯外タニノフランケル
牡4
内田博幸
クビ
4
アドマイヤリード
牝6
横山典弘
ハナ
5
タイムフライヤー
牡4
和田竜二
クビ
6
マイネルサージュ
牡7
津村明秀
ハナ
7
エアアンセム
牡8
田辺裕信
クビ
8
ランガディア
牡5
北村宏司
クビ
9
サンマルティン
セ7
O.マーフィー
ハナ
10
ブラックバゴ
牡7
戸崎圭太
アタマ
11
マイネルハニー
牡6
柴田大知
クビ
12
◯地マウントゴールド
牡6
武豊
1.1/4
13
コズミックフォース
牡4
石橋脩
1.1/2
14
ナスノセイカン
牡7
F.ブロンデル
2.1/2
15
◯外ストロングタイタン
牡6
大野拓弥
1.1/4
16
ヤングマンパワー
牡7
丸山元気
5

 

 

1~3着馬コメント

1着ウインブライト(3番人気)

癖がある中山競馬場はしばしばこのコースに滅法強い馬、中山巧者を生むが、この馬はそんな典型。58キロというトップハンデも関係なく、終わってみれば上がり3ハロンは次位タイの34秒9。先行争いから一歩引き、いつもより後ろの位置取りながらレースが動いたときにはタイミングを計るような余裕もあった。松岡正海騎手の余裕の仕掛けもあって、直線はいつも以上に弾けてみせた。中山の急坂はこの馬にとってメリットでしかないような力強い走りに現役屈指の中山巧者っぷりを感じた。

 

2着ステイフーリッシュ(7番人気)

タニノフランケルのペースダウンを嫌って後方12番手から一気にまくって進出し、レースをいち早く動かした。3角で一旦3番手に収まり、4角ではコズミックフォースを競り落とさんと再進出し、直線では見事にコズミックフォースを競り勝った。積極的な競馬は目標にもされ、ウインブライトの末脚には屈したが、動いて止まってさらに動くという器用な競馬は今後も流れに左右されない強みにもなりそうだ。最強4歳世代の重賞ウイナーだけにまだまだ活躍できる。

 

3着タニノフランケル(9番人気)

ウオッカに似た雄大な馬体を持て余し気味だったが、逃げ戦法を確立してからはより成績が安定してきた。昨年は重賞では二桁着順が続いたが、この金杯では見事にマイペースを貫いて3着。平均してずっと同じリズムで走ると、簡単には止まらない。ステイフーリッシュが動き、コズミックフォースが突っぱねたことで早めに後ろから来られながらも直線では一旦は突き放すかのようなシーンもあった。こちらも4歳。この戦い方をこのまま貫けばチャンスはある。人気のウオッカの息子、活躍すれば競馬は自然と盛りあがる。

 

 

総評

タニノフランケルの緩急を嫌うような逃げ戦法。僅かなペースダウンで動いていくステイフーリッシュタイムフライヤー。4歳勢は昨年に続いてやはり元気だ。レース内容にどの馬も活気を感じる。しかし、4歳勢が作った活力あふれるレースをニヤリと不敵な笑みを浮かべたであろうウインブライトが最後は全てをさらっていった。舞台が中山ならば変幻自在。4歳勢が少し苦しくなった坂上できっちり捕らえた。これで中山だけで重賞3勝。春は似たコースで2000mGⅠがある。こちらもまだ5歳。上積みはまだまだある。

 

 

(勝木淳)

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