【重賞回顧】第24回シルクロードステークス(GⅢ)

父のように短距離界の王者となれるか

ここでも明け4歳馬が人気の中心

 

正月気分も終わり、冬の冷たい風が身に染みる。

スポーツ新聞や競馬新聞も手袋越しか、いや、今のご時世スマホで馬柱をチェック、だろうか。

前日の降雪により京都開催が危ぶまれたが、早朝から、快晴。若干の積雪もすぐに融け、無事開催の運びとなった。

冬特有の現象ではあるが、こればっかりは祈るしかない。

快晴の中を冷たい風が突き抜けるが、レースは熱い。

 

スポーツ界では、テニスの大坂なおみ選手の初優勝に盛り上がる。そんな熱いニュースに影響があるかないか、シルクロードステークスは明け4歳馬ダノンスマッシュが人気を集めていた。

 

シルクロードステークスは、3月の高松宮記念を目標としたスプリント路線の重要なステップレースとして定着している。

ただ、このレース、ハンデ戦という荒れる要素を含んだ難しい面もある。

見ている方としては、始まる前から波乱含みで、熱い。

 

人気を集めたのは、明け4歳馬3頭。

まずは勢いのある、ダノンスマッシュ。

前にいく競馬でマイルから1200mに方針転換し、秋は大成功。12月の京阪杯(G3)を快勝し、初重賞戴冠。今回も前回と同じ舞台で、ハンデは56.5キロと悪くない。京阪杯→シルクロード→高松宮記念は父ロードカナロアが歩んだローテーション。ここも勝って、堂々とG1へ駒を進めたい。

 

対して、ラブカンプー。

もはや1200mの逃げ馬の代名詞ともなってきたが、相手なりにタフな逃げを見せてきて秋はスプリンターズステークスでファインニードルの2着まで残ったのは記憶に新しい。そのファインニードルも電撃引退し、そうなれば、今度こそ逃げきれるか。しかし、休み明けの陣営のコメントは「使ってからよくなる」とやや弱気。実績通りの逃げをうてるか、そこが勝負どころだろう。

 

もう1頭は上がり調子の牝馬アンヴァル。

なんと3走連続同コースで好成績を残している。秋のオパールステークス(OP)では50キロの軽ハンデを活かして差し切り、12月の京阪杯で53キロの斤量で4着とまずまずの結果を残している。前走、淀短距離ステークス(リステッド)では54キロを背負い、ナインテイルズに最後差されたが、先行し、ハイペースで前が潰れた中での2着粘りこみ。今回は53キロと前走54キロより軽く、戦いやすい。このコースとの相性の良さを見せるだけに注目度が高い。

 

上がり調子の明け4歳馬3頭に立ち塞がるライバルも強力だ。

まずはG1馬セイウンコウセイ。17年高松宮記念を制したスピード馬だ。2018年シルクロードステークスの2着馬でもあり、近走不振だが、得意コースに戻って本来の力を出して一変も充分に考えられる。当たり前だがトップハンデの58キロの克服が課題だ。

 

次に実績では、アレスバローズ。2018年夏、CBC賞、北九州記念と連勝している。北九州記念ではラブカンプー、ダイメイプリンセスをおさえて快勝している。相手は強くなるが、夏の強さを冬場に持ち込みたいところ。57.5キロのハンデなら、いつもより0.5キロしか違わず、チャンスはある。

 

そして、実績ではともかく、上がり調子の高齢馬ナインテイルズも注目したい。

昇級と降級を繰り返し、7歳の昨年、ようやくオープン馬として定着。年末年始で京阪杯2着、淀短距離ステークスでアンヴァルをおさえて勝利と、今の京都の馬場が合うのか、明けて8歳になっても絶好調だ。体調はベスト、斤量も前走より1キロ軽い56キロ。これ以上ないチャンスをつかみたい。

 

一線級を目指す4歳馬、上がり調子の牝馬、得意コースに戻ってきたG1馬、そしてローカル重賞で活躍してきたベテラン。

個性豊かなメンバーで織りなすハンデ戦、逃げが必定なラブカンプーがどんな展開をつくるのかも楽しみな一戦だ。

 

 

レース回顧

 

スタートはキングハートが出遅れ。他は綺麗に揃ったスタートとなった。エスティタートが引いて後方につける。先頭争いは激しく、ラブカンプーが出ていこうとするが、内からダノンスマッシュ、ラインスピリット、ビップライブリーと横に広がり、前につける。ラブカンプーがなかなか内ラチまでいけないところを、外からぐいぐいと伸びてくるのがG1馬セイウンコウセイ。スピードをつけて、ラブカンプーをかわして一気に先頭へ。そのままどんどん引き離していって、あっというまに4馬身、5馬身リードしていく。

馬群はラブカンプーが引っ張り、先行勢は1番人気ダノンスマッシュが3番手。外からこれまたぐいぐいと伸びてくるのはトウショウピスト。つられてラインスピリットもあがっていく。それを横目に見るようにダノンスマッシュは落ち着いて内ラチ沿いを走っていた。

ほとんど同じ位置にビップライブリー、ライトフェアリー。

外からまくり気味に大外発進だったアンヴァルが番手をあげていく。内にはナインテイルズがいて、間にリョーノテソーロ。すぐ後ろにダイメイプリンセスがいて、アレスバローズが体半分差で追いかける。

後方集団はサイタスリーレッド、フミノムーン、キングハート、外をまわってティーハーフ。

3コーナーから4コーナーへ。

前半の600mは33秒2。ちょっとこれはオーバーペースでは?といえる時計で、4コーナーから直線コースへ。先頭はセイウンコウセイ、リードは2馬身程度。

馬群はぎゅっとつまり、追撃の構えだ。

大外から一気にまくってくるのはアレスバローズ。

ハイラップで飛ばしたセイウンコウセイはもう一杯になった。ラブカンプーも元気がない。勢いよく、アレスバローズが伸びてくる。あっという間に2番手に付ける。すぐ後ろにはアンヴァルと人気薄のエスティタート。その外からじわりじわりとダノンスマッシュとこれまた人気薄のティーハーフがいい脚をつかう。

アレスバローズが残り100mで脚色が鈍る。そこで満を辞してダノンスマッシュがもう一段回加速して、アレスバローズ、アンヴァル、エスティタートを差し切り、突き放していく。最後は余裕の手応えでゴールイン。

2着以下は接戦になったが人気薄の2頭がいい脚をみせてくれた。

 

 

1~5着馬コメント

1着ダノンスマッシュ

直線半ばでは危うく思わせながらも、最後は余裕の勝利。着差以上に安定した強さをみせた。

さあ次はG1だ。気が早まってしまうくらい順調な過程だが、勝っているのはすべて京都の1200m。強かったのはいいが、函館、札幌、京都しかまだ1200mは経験していない。次は必ず坂のあるコースで、さらなる強敵が待っている。ロードカナロア産駒の短距離界王者誕生までもう少しがんばってもらいたい。

 

2着エスティタート

4歳牝馬のアンヴァルが人気になっていたが、エスティタートは6歳牝馬。負担重量は同じ53キロで、直線半ばからいい脚をつかって、実績馬よりも先着した。京阪杯5着でその前は準OPでモレイラ騎手騎乗とはいえ、同コースでの桂川ステークスで勝っている。コースとの相性もあったし、展開も向いたのだろう。去年もこの時期に岩清水ステークス2着、京都牝馬ステークス3着と好走している。冬場も得意なのかもしれない。

 

3着ティーハーフ

大外18番発走、57キロを背負いながらも最後方から一気に伸びてきた。2015年の函館スプリントステークスの勝ち馬ではあるが、去年の5月オープン特別の鞍馬ステークス(京都1200m)を勝ったくらいでほかはすべて2桁着順。ようやく前走の淀短距離ステークスで3着と復調となったところで、ここで見せ場をつくった。この馬ももう9歳馬。しかし、出来のよかった2015年の春夏を思い起こさせるかのようないい脚をつかった。

 

4着アンヴァル

期待されていた明け4歳牝馬だが、悪くないレース運びをしたものの、ベテラン勢の差し脚に屈してしまった。とはいえ、まだこの馬も将来はある。このレベルでは十分に通用するのは明らかだろう。1200mの重賞戦線での今後の活躍に期待したい。

 

5着アレスバローズ

いくら57.5キロ背負って近走不振とはいえ、10番人気はあんまりだと言わんばかりに意地の掲示板。ハンデをみこまれただけに力があることを示した。

 

 

総括

 

ダノンスマッシュの見事な勝ちっぷり。2着、3着にはまさかの11番人気エスティタート、12番人気ティーハーフとベテラン勢が続いた。また、4着アンヴァルも含めて京都1200mに好走実績がある馬が上位並んだ。ハイペースになった展開やハンデというのもあるだろうが、コース適性というのも好走の要因ではないだろうか。

また、セイウンコウセイのオーバーペース、ラブカンプーの7馬身差のしんがり負けも気になるところだ。本来の力が出し切れなかったのは調整不足か、はたまた元々のたたき台としてこんなものなのか。それにしたってラブカンプーは負けすぎだ。

ちょっと極端なレースになってしまったが、1200mでロードカナロア産駒が勝ち上がっていくのは、高松宮記念がおおいに楽しみになる。父は3着だったが、ダノンスマッシュはどうだろうか。スマッシュだけに、テニス女子選手一位に輝いた大坂なおみ選手にあやかりたいものだ。

 

それはそうと、次は人気を落としたラブカンプーのタフな逃げが見られると思うは気のせいだろうか……。

 

 

(みすてー)

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