【重賞回顧】第63回大阪杯(GⅠ)

春の大阪。パワーと機動力を活かす舞台

 

大阪春の陣、大阪杯がGⅠに格あげされて3年目。一昨年はキタサンブラック、昨年はスワーヴリチャード、どちらも4角を先頭で回って押し切った。阪神内回り2000mは機動力が活きる舞台であり、力を要する馬場でもある。過去2年の勝者はいずれも500キロを超える大型馬。パワーと機動性に優れたものに有利とされる大阪杯は、ドバイミーティングの裏開催ながら見所が多いメンバーが集まった。

 

GⅠ馬は8頭。内からダービー馬マカヒキとワグネリアン、その隣には皐月賞馬アルアイン、エポカドーロと豪華な並びが実現。昨秋の隠れたMVPといっていい菊花賞馬キセキ、有馬記念で古馬を破り、世代ナンバーワンを証明したブラストワンピース、マイルチャンピオンシップを3歳で制したペルシアンナイト、ステルヴィオが7枠に同居した。

GⅠ未勝利ながら札幌記念馬サングレーザー、前走金鯱賞3着とトップレベルとの差がないことを証明したエアウィンザーなど実績次位の馬も侮れない。

 

内回り2000mはスタートから1角まで距離がなく、スタート直後のポジション争いは自然と激しくなる。

レースではスタートを決めたのが内枠のアルアインとエポカドーロ。先手をとると目されたキセキはこの2頭よりはスタートが遅く、両側から馬が迫り、狭くなりかけたが、さすがは川田将雅騎手。そこを突っぱね、間を割って番手を取りにいく。外枠勢もインに入り、今年もポジション争いはそれなりに激しくなった。

先手をとったエポカドーロの外にキセキ。この間のインに潜り込んだのがアルアインだ。8枠のスティッフェリオ、ダンビュライト、7枠のステルヴィオが4、5番手のポジションをとったため、1角で引くような馬もいて、やはり1角で折り合いを欠くような姿がみられた。中団のインにワグネリアン、その外にエアウィンザー。その後ろの外にペルシアンナイト、ステイフーリッシュ、間にブラストワンピースがいる。

キセキではなくエポカドーロが主導権を握り、予想外にレースの流れは落ち着いた。向正面は12秒7-12秒7とこのレベルとしては遅いラップが刻まれ、ステルヴィオやスティッフェリオ、ワグネリアン、ペルシアンナイトなど内も外もピーンと張った手綱から緊張感が漂う。どの馬も脱落しない古馬中距離王決定戦らしい固まった馬群が、ようやく咲き始めた桜の下、向正面を進む。

後方のムイトオブリガード、マカヒキ、サングレーザーも離れずに追走。エポカドーロが3角に突入してもペースはあがってこない。後半早めに動いて活路を見出すキセキもエポカドーロに合わせるような走りでスパートをかけてこない。4角手前からようやくキセキがエポカドーロに並び、インの3番手にいたアルアインがロスなく離されずについてくる。ペルシアンナイトとブラストワンピースが大外を回りながら押しあげるも、ペルシアンナイトのミルコ・デムーロ騎手が一瞬、ブラストワンピースの位置を確認、外へ張り出すように動くと、どちらもかなり大外を回って直線に向いた。

エポカドーロを捕らえたキセキが馬場の真ん中から先頭に立ち、インからワグネリアン、アルアイン、エアウィンザーらが襲いかかる。スタミナ自慢のキセキはしぶとく、アルアインとの叩き合いに引かない。さらに内からワグネリアンが顔を覗かせ、外からマカヒキとダービー馬2頭がやってくる。

粘るキセキを捕らえたアルアインが内と外からやってくるダービー馬2頭を完封。先頭でゴールへ飛び込んだ。2着はキセキが死守。3着はインのワグネリアンだった。時計は2分1秒0(良)。

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1~3着馬コメント

1着アルアイン(9番人気)

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2年前の皐月賞と同じく9番人気で勝利。皐月賞と似たコース形態の2000m戦で鮮やかに復活した。低迷しているかのように見られるが、昨年の大阪杯は3着、掲示板を外したのは菊花賞(7着)のみ。常に重賞で掲示板以内と堅実に走っていた。そのなかで復活してみせた。枠順そのままにインの3番手を進み、勝負どころはキセキが外に回って空いたインに飛び込んで抜け出した。これがGⅠ初勝利の北村友一騎手は先週のダノンスマッシュを糧にしたかのような競馬だった。

 

2着キセキ(2番人気)

やはりスタートでエポカドーロに遅れをとったのは痛かったか。本来は自分のペースでレースを支配しながら、早めに動いて持久力戦に持ち込む形がベスト。エポカドーロのペースに合わせる形は力を全て出し切れるものではなかった。それでも4角先頭からアルアイン以外は完封しており、昨秋のダメージも感じさせない内容だった。スタート直後に引いてもおかしくないところを強気に抜けて番手を死守した川田将雅騎手のキセキの競馬に徹しようとする姿も印象的だった。

 

3着ワグネリアン(4番人気)

ダービーを制して以来、順調に使えないシーズンを過ごしていたが、復活の兆しをみせた一戦だった。こちらも位置取りは終始イン、アルアインの後ろを虎視眈々と追走。アルアインに合わせて上手くインから抜け出した。もっと弾けてもよかった気もするが、最後は馬場の影響もあっただろうか。

 

 

総評

馬場の発表は良ではあったが、ラップをみると、想像以上にタフな馬場だったことが分かる。1000m通過は61秒3のスローペースを4角手前まで隊列を乱さずに進むレース。最後は瞬発力勝負になってもおかしくないが、残り600mは11秒4-11秒6-12秒5と思うような加速が見られなかった。これは馬場の影響だろう。このレースも終始、芝が切れ、土の塊が飛び、馬場が掘れるような様子が映像から伝わってくる。前日の雨の影響は予想以上だった。瞬発力勝負にならなかったことはリズムを崩したキセキ、インを立ち回ったアルアインにとっては幸運でもあった。どちらも軽いレースでは機動力を発揮しながら最後に瞬発力型に敗れるケースが目立つからだ。500キロを超える大型、かつ機動性に優れた馬、終わってみれば、大阪杯好走パターンに符合する2頭の決着だった。適性の勝利ともいえるだろう。それを考えれば、適性が合わないダービー馬2頭の3、4着は復活を予感させた。ブラストワンピースは案外だったが、インを回る組が上位にくるレースで終始外を走り、勝負どころはペルシアンナイトにさらに外に振られる形も痛かった。やはり距離はもっと合ったほうがいい。

 

 

(勝木淳)

(写真・かぼす)

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