【重賞回顧】第79回皐月賞(GⅠ)

令和に語り継ぐ平成最後のクラシック。未来への提言、それを乗せて走るサートゥルナーリア

 

クラシック3冠ロード、そのはじまりにして最難関は中山芝2000mの皐月賞だろう。皐月賞が中山芝2000mになったのは1950年、69年前のことだ。皐月賞を勝たねば3冠はなく、日本ダービーと菊花賞を勝ち、皐月賞で負けた馬はじつはいない。クリフジとタケホープはダービーと菊花賞2冠馬だが、いずれも皐月賞に出走していない。ここを勝たねば、3冠はない。それは当然として、ここで負けて日本ダービーと菊花賞で世代の頂点に立つことも歴史はないと伝えている。

また、皐月賞だけを勝ったという馬はこの10年で7頭もいる。日本ダービーと連勝した馬はオルフェーヴルとドゥラメンテ、菊花賞と変則2冠馬にゴールドシップがいて、それ以外の7頭はクラシックロードでは皐月賞のみを勝った。ロゴタイプやイスラボニータのようなマイラータイプも多く、器用さとスピードが試される難関門である。

 

2歳暮れホープフルステークス以来、3歳初戦をここに絞ったサートゥルナーリアが注目を集めた。年明け緒戦が皐月賞といえば、レイデオロも同じ。しかし出走態勢が整わずに皐月賞まで待ったレイデオロとはニュアンスが異なる狙ったローテーションだ。

 

対する組は共同通信杯1、2着のダノンキングリーとアドマイヤマーズ。朝日杯FSを勝った2歳チャンピオンのアドマイヤマーズ、共同通信杯で先着したダノンキングリーは3戦無敗でここに挑む。

 

近年結果が出ていない若葉ステークス組のヴェロックスは1月若駒ステークスと連勝中。東京スポーツ杯は不利を受けながらタイム差なしの4着だった。

 

以下、トライアル組のファンタジスト、メイショウテンゲン、シュヴァルツリーゼ、ニシノデイジーらが続く。

全18頭に三冠馬になる機会がある、牡馬クラシックロードの開幕だ。

 

4角直後に置かれたスターティングゲートから飛び出す18頭。最内枠のアドマイヤマーズが控え、外枠のダディーズマインド、クリノガウディーが先行態勢をとるなか、スタンド前からハナを主張するのは毎日杯を逃げ切ったランスオブプラーナ。ダノンキングリーも内枠を嫌い、位置を確保しようと前へ行く。サートゥルナーリアはスタートを決め、包まれないように外目からじわりと進む。

 

皐月賞のポイントは1角の入り。ここでスムーズさを欠くと、位置取りを下げたり、接触して折り合いを欠くことがある。

 

先頭はランスオブプラーナ、ダディーズマインドが外から2番手につけ、インからダノンキングリーが顔を覗かせ、その外にクリノガウディー、直後のイン、今日はダノンキングリーをマークする形になったアドマイヤマーズ、外にヴェロックスが続き、そのインを追走するファンタジスト、外にサートゥルナーリア、間に入ったクラージュゲリエ、その後ろ中段も3頭、内にシュヴァルツリーゼ、間にラストドラフト、外にニシノデイジーがいて、後方はブレイキングドーン、サトノルークス、外枠のタガノディアマンテ、アドマイヤジャスタ、メイショウテンゲンが続き、最後方はナイママ。

 

前半1000m通過は59秒1、皐月賞らしい平均ペース。このペースで置かれる馬も出ず、ひと塊になった馬群、さすがはクラシックロード。タイトなレースになった。3、4角の中間あたりからペースが上がり、馬群が縦に伸びる。逃げるランスオブプラーナの鞍上松山弘平騎手のアクションが大きくなり、先へ仕掛けたいダディーズマインド、クリノガウディーが外から並びかける。直後の外からヴェロックスが動き、インに回ったダノンキングリー、間に入ったアドマイヤマーズが外へ行こうとするところに外をあがるサートゥルナーリアが進路を奪う。

 

最後の直線。先行馬を外から飲み込むヴェロックス、その先行馬を交わしながらインからダノンキングリーがやってくる。坂下からサートゥルナーリアがこの2頭に襲いかかる。進路を失ったアドマイヤマーズが器用に外に切り替えて追うも、勝負は3頭に絞られる。ヴェロックスとサートゥルナーリアは接触しながらも激しく叩き合う。インで応戦するダノンキングリー。サートゥルナーリアが前に出そうになるが、ヴェロックスもダノンキングリーもしっかり末脚を繰り出し抵抗する。川田将雅騎手がヴェロックスの首を懸命に伸ばさせ抗うが、サートゥルナーリアにわずか及ばず。第1関門の皐月賞はサートゥルナーリアが制した。2着はヴェロックス、3着はダノンキングリー。勝ち時計は1分58秒1(良)。

 

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1~3着馬コメント

1着サートゥルナーリア(1番人気)

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年明け緒戦で皐月賞を制したのは史上初の快挙。これまでは馬群を割る器用な競馬を見せていたが、今日はスタートから終始外を追走。勝負どころも外から動き、2着以下を封じた。着差はわずかでも、外から攻める競馬は強さと能力の差を見せつける結果になった。クリストフ・ルメール騎手はレイデオロの皐月賞と同じように1角でごちゃつきを避け、外から慎重にレースに入り、ヴェロックスにターゲットを絞った競馬で見事にレースを制した。

 

2着ヴェロックス(4番人気)

年明けから2000mのオープン特別を連勝した充実ぶりを発揮した。内枠からスムーズに1角をさばき、早めに動いて主導権を握るも、最後はサートゥルナーリアに屈した。しかしながらゴール前で食い下がり、差し返す素振りを見せるなど、馬の気迫を感じた。馬の首を懸命に伸ばさんとする川田将雅騎手の執念もあり、ゴール板での攻防にクラシック第1冠の尊さを感じさせた。

 

3着ダノンキングリー(3番人気)

共同通信杯でアドマイヤマーズを抜き去った末脚はやはり本物だった。戸崎圭太騎手のインに拘った騎乗も光り、ゴールまで外2頭との叩き合いから脱落することがなかった。こちらはディープインパクトらしい薄手の馬体で軽さが求められる東京コースで巻き返す可能性は十分にある。

 

総評

皐月賞は例年通り、スピードと持続力が試されるような厳しい競馬だった。ただ、例年とは異なる点もある。レースの後半800mは12秒2-11秒7-11秒6-11秒4という加速ラップ。前半1000m通過59秒1のイーブンペースを考えると、この加速ラップは特筆ものだ。急坂がある中山競馬場は最後の1ハロンは脚があがるコース、スローペースでもないのに加速ラップが刻まれるのは珍しい。古馬ですら最後1ハロンはペースが落ちる。このラップでは4着以下が離されるのも仕方なし。現状では上位3頭の力が抜けていたということだろう。

近年ノーザンファームは極力レース数を絞って大レースを獲るという方針をとっており、それを達成してみせるのだから恐ろしい。レースを使うことは消耗することだという考え方は今後の競馬に影響を与えることになるだろう。桜花賞グランアレグリア、皐月賞サートゥルナーリアは競馬が新たなステージへ昇華した年として令和の時代に語り継がれるにちがいない。

 

 

(勝木淳)

(写真・かぼす)

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