【重賞回顧】第54回フローラステークス(GⅡ)

枠順くっきり。無情なまでのオークストライアル

 

東京競馬場に芝2000m戦がなぜ必要なのだろうか。無理に1800mのスタート地点から切りとったとしかいえない1角奥のシュート部分。スタート直後に本線に合流するようにコーナーへ突入するレイアウトは、かつては左折するようなものだった。2003年のコース改修でシュートを斜めにきり、曲がるような合流を解消。それでもスタートとともにコーナーへ向かうことに変わりなく、依然として外枠は絶対不利、フェアが信条の東京競馬場にして異彩を放つ。はたして芝2000m戦は東京競馬場に不可欠なものなのだろうか。

 

是非についてはひとまず横に置き、フローラステークスだ。桜花賞馬グランアレグリアが早々に回避を明言。完勝のレース内容だっただけに、2着以下の評価が難しく、オークスは一転して混戦を予感させる。であれば、第三勢力、トライアル組にもチャンスはある。もっとも格が高いトライアルレース、フローラステークスはオークスを占う上で見落とせない。

 

1番人気に支持されたセラピアはデビューが遅れ、3月30日阪神芝1800m未勝利戦で初陣、既走馬相手に流れに乗り、直線で余裕をもって抜け出した。5枠10番

対抗に支持されたのはシャドウディーヴァ。キャリア5戦で最低着順は重賞挑戦の前走フラワーカップ4着という堅実派。ハーツクライ産駒らしい3歳春の勝ち味の遅さは見せているが、いつ目覚めるか分からない血統でもある。1枠2番

前走500万下勝ちの組からはウィクトーリア。中山芝1800mを逃げ切ってここに参戦。函館の新馬戦では逃げて2歳レコードとスピードが魅力のタイプ。2枠4番

同じく500万下勝ちでは君子蘭賞を勝ったフェアリーポルカ。若駒ステークスで皐月賞2着のヴェロックスに0秒6差3着とここでも十分通用する可能性を秘める。8枠18番

他にミモザ賞1、2着のエアジーン(6枠12番)、エトワール(2枠3番)、フラワーカップ5着のジョディー(5枠9番)など頭数はフルゲート18頭と揃った。

 

内枠有利の東京芝2000mでは先行争いもインにアドバンテージがある。ウィクトーリアとジョディーは枠順からウィクトーリアがハナに行くと思われていた。しかし、ウィクトーリアがスタートで後手を踏み、隣のエトワールと接触。ジョディーがすんなり先手を奪い、周回コースへ合流していく。それに併せるように隣のセラピアが2番手につけ、外枠から強引にレオンドーロが3番手、内からウインゼノビア、直後にパッシングスルー、外にフォークテイルが並び先行集団を形成。中団は内からシャドウディーヴァ、アモレッタ、外にヴィエナブロー、この3頭の直後のインにウィクトーリアが控え、外にイノセントミューズ、大外をやや折り合いを欠き気味にフェアリーポルカが追走、インにペレ、後方にクラサーヴィツァ、インで早めに鞍上の手が動くローズテソーロ、間にエトワール、外にエアジーン、ネリッサが最後方。

 

一団の馬群は前半1000m通過60秒6のスローペース。外枠各馬に折り合いを欠く姿が目立ち、フェアリーポルカやクラサーヴィツァなどは3角から早めに抑えきれず動きはじめる。先頭ジョディーは単騎ながら、2番手以下は大混戦模様。直線に入りジョディーを追いかける2番手にセラピア、インからウインゼノビア、外からフェアリーポルカらが横一線で追う。この隊列の後ろのインに入り、抜けられないシャドウディーヴァ、直後にウィクトーリアがいる。インから進路を見出すシャドウディーヴァ、外の馬をやり過ごしつつ、徐々に外へ持ち出し、機を伺うウィクトーリア。

 

先頭ジョディーは捕まりそうで捕まらず、2番手のセラピアが苦しくなり、ウインゼノビアがセラピアの内からジョディーを追う、その動きにジョディーが反応、ウインゼノビアに併せに僅かに外へ持ち出した。このスペースを待っていたシャドウディーヴァが一気に溜めた脚を爆発させる。その後方、外に持ち出し、ようやく壁を抜け出したウィクトーリアも末脚を炸裂。

 

内と外、離れた2頭はジョディーを捕らえ、先頭に立つ。先に抜けたシャドウディーヴァをゴール板でウィクトーリアがハナ差捕らえ、重賞初制覇を飾った。勝ち時計は1分59秒5(良)。

 

1~3着馬コメント

1着ウィクトーリア(3番人気)

逃げて2勝、コーナー4つの1800m戦でしか結果を出せなかった馬が出遅れて、中団の後ろを進み、直線では進路を失いながらも、先に仕掛ける馬をやり過ごして外に出し、上がり最速33秒2の決め手を発揮した。母ブラックエンブレムの産駒には決め脚をもつ馬も多く、その秘める素質がここで開花した。出遅れにも慌てず、ラチ沿いに行き、馬群で落ち着かせ、ロスを最小限に抑え、直線は詰まるインから外へ持ち出す、冷静な手順を踏んだ戸崎圭太騎手の騎乗も印象的だった。

 

2着シャドウディーヴァ(2番人気)

4度目の騎乗、岩田康誠騎手はすっかり手の内に入れたようだ。中団のインで馬を落ち着かせ、直線では手応え抜群ながら前にスペースが生まれるのをじっと待っていた。一列後ろのウィクトーリアが外へ行き、自身はジョディーの僅かな動きを見逃さずにラチ沿いへ飛び込んで抜け出した。完璧な騎乗だったが、外に行ったウィクトーリアの脚が予想以上だったとしかいいようがない。

 

3着ジョディー(9番人気)

クイーンカップ3着、フラワーカップ5着、2歳から3歳クラシック戦線で何度も好走した力を発揮した格好だ。スタートから迷わず先手をとり、2番手以下を待たずに先に仕掛けて、アドバンテージをとり、持ち前のしぶとさを発揮した。ゴール寸前で2頭に交わされ、3着。優先出走権を逃した。武藤雅騎手にとってもジョディーにとっても痛い3着となった。惜しむらくはウインゼノビアに併せに行き、ラチ沿いをシャドウディーヴァに与えてしまったこと。挑むべき、警戒すべきはどの馬だったのか。ガムシャラななかに冷静さがあればとは思うが、まだまだ前途ある若武者。今日はその敢闘精神を褒めたい。

 

総評

逃げたジョディー、それを差したのは内枠からインを進んだシャドウディーヴァ、ウィクトーリア。やはりこのコース、内枠と外枠の不公平は大きい。大外枠のフェアリーポルカは位置も取れず、壁も作れずにリズムを欠き、途中で動きながら直線は2番手の一線から一旦抜け出しかけた。明らかに強い競馬をしており、枠順が内だったらと思わざるを得ない。もちろん、そうした運不運も勝負をわける要素ではあるものの、生涯たった一度のクラシックに立てるか否かを競うレースでは無情と言わざるを得ない。

絶好の馬場状態ではじまった春の東京開催はインから外に持ち出すウィクトーリアのような末脚を活かす競馬が理想型。逆を言えば、先手をとって最後まで粘り通したジョディーは理想に逆らう競馬をして3着、オークス出走は分からないが、その先も注目すべきだろう。

 

 

(勝木淳)

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