【重賞回顧】第26回青葉賞(GⅡ)

平成の終わりに令和につなぐ希望の一歩

 

青葉賞は皐月賞に出走が叶わなかった一歩遅れた組が日本ダービー出走へ、そして既成勢力をひっくり返さんと目論むものたちにとっての事実上ラストチャンス。ここを突破せねば先へ進むことが許されない、まさにサバイバルレース。2着以内に与えられるダービーへの切符をもぎとりたい、その一点を見つめる熱き戦いである。

 

1番人気はランフォザローゼス。冬の京成杯2着後に無理に皐月賞出走に挑戦せず、ダービー一本に目標を定め、ここまでじっくり待機、藤沢和雄調教師らしい大胆なローテーションで一発勝負に挑む。

重賞2着といえば、ウーリリも同様。こちらは毎日杯2着からここに参戦。兄はダービー馬マカヒキ、姉は重賞2勝のウリウリ、母ウィキウィキと金子真人ブランドの結晶。

以下一歩遅れて500万下を勝ちあがった組が続く。アドマイヤスコール(中山水仙賞)、リオンリオン(中京大寒桜賞)、ピースワンパラディ(中京フローラルウォーク賞)、タイセイモナーク(阪神ゆきやなぎ賞)、カウディーリョ(中山山吹賞)。なにがあっても2着以内を目指す厳しい戦いへ挑む。

 

予報とは裏腹に東京競馬場は午後に霧雨が降り出し、時折降りが強くなった。レース前には止んだものの、予報になかった雨は想像以上に馬場にしみ込むことになった。

舞台は日本ダービーと同じ芝2400m。スターティングゲートはスタンドの目前。ダービー当日には遥か及ばないが、10連休初日のスタンドは熱気にあふれていた。

スタートではゲートが開く瞬間にトーセンカンビーナが立ちあがり、先行型のタイセイモナークも出遅れてしまう。

さっと1馬身ほどリードをとってハナを主張したのはリオンリオン。アドマイヤスコール、ランフォザローゼス、セントウルら内枠勢がそれに続き、それらの後ろも内枠のウーリリ、ピースワンパラディ。外を通ってアルママが追いあげ、最初の1角に入っていく。

先頭に立ったリオンリオンが後ろを引き離しにかかり、そこへついて行くのはセントウルとアドマイヤスコール、深追いせずに一旦引いたのがランフォザローゼスだ。直後にアルママ、ピースワンパラディが続き、その後ろにビンシェル、サトノラディウスが続く。

最初の1000m通過は59秒9、リオンリオンが12秒0前後のラップを正確に刻みながら走り、馬群はバラけはじめた。中団にぽつんとマコトジュズマル、その後ろにカウディーリョ、じわじわ追いあげたタイセイモナーク、バラックパリンカの鞍上和田竜二騎手は早くもムチを抜く。

向正面中盤でリオンリオンが一旦11秒8とラップをあげたので、後ろの馬群はさらに伸びていった。後方にはキタサンバルカン、ディバインフォース、トーセンカンビーナが追走。3角突入から4角にかけてリオンリオンは再度ペースを落とし、12秒3-12秒2、そして4角から直線入り口にかけては12秒5。後続が仕掛けにくいこの地点でリオンリオンは十分すぎるほど息を整えることができた。当然、直線に入り、横山典騎手が合図を送って加速を促すと、自然と伸びる。追いすがるアドマイヤスコールとセントウルを置き去りにし、敢然と先頭で最後の坂にかかる。ランフォザローゼスが追いかけてくるも、リオンリオンは止まらない。追うランフォザローゼスが若さをみせたのか、苦しがったのか外にヨレ気味になるが、C.ルメール騎手がなんとか修正して、リオンリオンを懸命に追う。

残り200m。出走権がかかる2着以内はこの2頭に絞られる。直線入り口からここまで11秒6-11秒8。混戦の3番手争いとは決定的な差がついてしまった。追い詰めるランフォザローゼス、振り切らんとするリオンリオン。最後の1ハロンは12秒9。リオンリオンの脚はもうあがりかけている。しかし襲いかかるランフォザローゼスもバランスがやや崩れ、苦しそうな走りになり、リオンリオンがわずかながらランフォザローゼスを振り切って先頭でゴール板を駆け抜けた。早めに仕掛け、十分に息を整える横山典弘騎手の絶妙なペース配分がリオンリオンを青葉賞馬に導いた。2着ランフォザローゼス、激戦の3着争いはインから抜け出したピースワンパラディが制した。時計は2分25秒0(やや重)。

 

1~3着馬コメント

1着リオンリオン(5番人気)

横山典弘騎手の匠の域ともいえるペース配分がレースを完全に支配した。スタートから先手を主張、前半は12秒台前半の活気あるラップを作り後続を引き離し、ついてくる先行勢にラップをあげて脚を使わせながら、後ろが動きにくい東京の3、4角でたっぷり息を入れ直線で突き放す。後続は完全に術中にはまってしまった。最後の1ハロンはリオンリオンもさすがに苦しくなったが、前半のリードを活かしランフォザローゼスを押さえこんだ。

 

2着ランフォザローゼス(1番人気)

皐月賞路線には行かず、京成杯から青葉賞まで待機、一発回答で日本ダービーへの出走権利を獲得した。最後の直線では馬が若さを出したか、苦しがったのか、真っ直ぐ走れず、そのロスもあってリオンリオンを捕らえきれなかった。母はエアグルーヴの血を継ぐラストグルーヴ、母父ディープインパクト、父キングカメハメハ、2400mでこそ、大舞台でこそという血統で、レースレベルがあがる日本ダービーで覚醒する可能性を秘める。

 

3着ピースワンパラディ(3番人気)

上位2頭には離されたが、最後はインから力強く抜け出して3着確保。1600mから一気に800mの距離延長、楽ではない条件ながら健闘した。父ジャングルポケットだけに日本ダービーでの走りをみたかったという思いはある。450キロ台の華奢な馬体、まだまだこれから成長が見込める血統だけに、将来に思いを馳せたい。

 

 

総評

東京2400mは3歳馬にとっては厳しいチャレンジ。例年の青葉賞はなんとなく恐る恐るという雰囲気でレースがはじまることが多いが、リオンリオンの力を信じ、これぐらいはやれると確信を持った横山典弘騎手があえて強気な騎乗でレースを変えた。前半1200m1分11秒7-後半1200m1分13秒3、馬場を考えても相当にタフなレースになった。日本ダービーまで中3週、幾多の青葉賞馬が勝てなかった日本ダービー、そのローテーションは想像以上にキツい。ただ、父ルーラーシップの代表産駒キセキはキツいローテをこなせるタフさが身上だけにリオンリオンも日本ダービーで果敢な攻めの競馬を見せてくれるだろう。

 

 

(勝木淳)

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