【重賞回顧】第64回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

高速馬場への対応は? コース取りの差が勝敗を分かつ 

スピード勝負を制して、いざ安田記念へ

 

今週から東京競馬場はBコース。

昨年のこのレースでは1.19.5のレコードが出たように、速い時計が良く出る傾向にある。

この日も5R未勝利芝1600mで1.33.6、7Rの500万下芝1400mで1.20.4と、このレベルにしては速いタイムが出ている。

まずはこの高速馬場への対応がカギとなる。

脚元への負担の是非はあるものの、現状勝つためには乗り越えなくてはいけない課題となる。

 

さて、京王杯スプリングカップは安田記念の前哨戦として位置付けられ、1着馬には優先出走権が与えられる。

また、このレースは1400mという距離から、1200mを得意としているスプリンター、1400mの鬼、そしてマイラーと、短距離路線のメンバーが集まりやすい。

そのため、G2の名に相応しいメンバー構成となる。今回、G1馬はサトノアレス1頭とはいえ個性溢れる層の厚いメンバー構成となった。

 

まずはG1馬サトノアレス。

2歳時に勝った朝日杯はともかく、持ち時計には自信がある。前走の東京新聞杯では1.32.0で3着。安田記念では勝ち馬から0.2差の1.31.5で4着。去年の当レースでも1.19.5のレコードタイムとタイム差なしで3着入線している。勝ち切れていないのはご愛嬌だが、持ち時計ではメンバー中トップを誇る。今度こそ勝ち負けが期待できる1頭ではあるのだが、2走前の阪神カップ14着が響いてか、割れた人気で4、5番手をうろうろとしている。

 

レコードといえば昨年同時期のアーリントンカップを勝ったタワーオブロンドン。

マイルを中心に使われてきたが、1400mは2戦2勝。前々から短い距離の方がいいと言われてきただけにレコード対応もでき、東京1400mは得意となれば、勝ち負けは必至。鞍上にレーン騎手を迎え、昨年の勝ち馬で厩舎の先輩であるムーンクエイクに続いていきたいところだ。

 

そして、1400mといえば阪急杯の後方一気がお見事だったスマートオーディン。

元々中距離で走っていたが、長い休養期間を経て距離短縮で結果を出し、イメチェンに成功した。直線の長い東京だからこそ、自慢の末脚を活かしたい。問題は高速馬場への対応。鞍上の池添騎手の思い切った作戦に期待したい。

 

1400mこそ阪急杯の3着1回だが、ロジクライは昨秋の富士sで1.31.7の速い時計で勝っており、高速馬場への対応は可能だ。前走高松宮記念は例外として見直したい1頭だ。

 

重賞3勝しているロードクエスト。1400mでは京都のスワンステークスを制している。後方からの直線一気は武器として持っているが、時計が速くなるとどうか。

 

重賞勝利こそないが、トゥザクラウンも注目の1頭だ。母トゥザヴィクトリーはもちろん、兄にはトゥザグローリー、トゥザワールド、トーセンビクトリーと重賞で活躍した馬の名が並ぶ。活躍した兄弟とはちょっと違い、短距離路線で勝ち上がってきた。しかも、1400m、1600mどちらも速い時計で勝っている。ここで頭角を現せるか、注目だ。

 

前走、京都牝馬Sで2着となりデアレガーロとともに波乱を演出したリナーテ。3走前に東京1400mを勝っている。得意舞台で前走のような切れ味ある走りが出来るだろうか。

 

東京1400mを勝っている、または好成績をあげているコース巧者のような馬は何頭かいる。

キャナルストリート、スターオブペルシャ、リライアブルエースなどだ。

高速馬場への適正と展開面が味方すれば、上位の馬を脅かす存在になりそうだ。

 

今回は安田記念への前哨戦とは言うものの、マイルよりも1400mを得意とするメンバーが揃ったように思う。

得意の舞台で勝ち星を重ねて、さらなる飛躍を遂げられるか、正念場の一戦だ。

 

 

レース回顧

 

馬場入場後、サトノアレスに故障が発生し、競走除外となる。

有力馬が1頭いなくなる中、スタートもすんなりとはいかない。

外枠の3,4頭が一歩出遅れ、バラバラっとした印象。遅れた馬たちはそのまま後方待機策となる。

スタートがいいのはトゥザクラウン。そのままハナに立つかと思われたが、外からブロワがぐいぐいと押されて先頭に立つ。トゥザクラウンは2番手かと思われたが、勢いよくダイメイフジが先頭のブロワに向かって駆けていく。

トゥザクラウンの後ろは人気の一角、ロジクライ。外からキャナルストリート。さらにはリナーテ、リライアブルエース、タワーオブロンドン、ドーヴァー、スターオブペルシャと5頭が固まっている。真ん中から後ろはストーミーシー、タイムトリップが並んで、2馬身離れてここはエントシャンデン、ロードクエストと並んでいる。

最後方はスマートオーディン。前とは3、4馬身差があり、やや心配になる空き具合だが、コーナーに向かうにつれてその差も縮まり、前走の脚を見せてくれそうな気配が漂う。

3コーナーから4コーナーへ。

馬群は詰まってくるが、先頭はまだブロワ。最初の600mを34秒2で通過。

最後方からスマートオーディンが勢いよく、大外をまくって、もう中団へとりついた。

残り600mを切って、4コーナーから直線へ。

ブロワはいっぱいになって、ダイメイフジが頑張って伸びる。

その後ろからはトゥザクラウンが持ったまま追走。さらにその後ろからはリナーテが伸びてくる。1番人気タワーオブロンドンもじわりじわりと差を詰めてくる。

坂を上がってダイメイフジがまだ粘っているが、トゥザクラウンがかわして先頭に立つ。

トゥザクラウンが先頭、しかし後ろから迫ってくるタワーオブロンドンの脚色がいい。

内からロジクライとキャナルストリートも勢いがある。

さらには外からリナーテとスマートオーディンも一気にあがってくる。

残り50mの攻防。

最後の最後でトゥザクラウンがいっぱいになり、代わりに突き抜けたのはタワーオブロンドン。

レースは1.19.4のコースレコード。2着以下は大接戦となった。

 

 

1~5着馬コメント

1着 タワーオブロンドン

D.レーン騎手の好騎乗に導かれ、鮮やかな差し切りとなった。これで1400mを3戦3勝。京王杯2歳S以来の1400m制覇でまたしても京王の冠がつくレースを制した。そして、去年のアーリントンカップ以来となる、重賞3勝目。さらに、アーリントンカップのレースレコードに続き、今度はコースレコードでの勝利だ。

 

2着 リナーテ

直線、半ばから一気に追い込んで内で争っている馬たちを最後はハナ差差し切ったが、勝ち馬には届かなかった。3走前に同舞台でのレースを勝っており、前走は京都牝馬Sで1400mの重賞でも2着と勝ち負けレベルをみせ、やはり1400mがベストだろう。

 

3着 ロジクライ

内から伸びてきて、最後はハナ差で3着。4着トゥザクラウンにもハナ差で先着。

普段は1600mを使われているが、2走前の阪急杯で3着確保。今回も3着。1400mでも充分戦えるだけの走りが出来ることがわかった。今後も要注意な一頭である。

 

4着 トゥザクラウン

残り50mくらいまでは先頭を走っていたが、最後はいっぱいになってしまった。

このメンバーでここまでいけるのだから、この血統が示す通り、重賞制覇も遠くないはずだ。

 

5着 キャナルストリート

まだ準OPを勝ったばかりだが、よくがんばった。1400mは東京・新潟と4勝しているように、この距離と東京1400m3戦2勝2着1回のこの舞台がよく合っているのだろう。今後も左回りの1400mで活躍しそうだ。

 

 

総括

 

この日は見た目よりも内はイマイチの馬場だと評価があったという。それを見越してか、直線は外過ぎない(内ラチから5頭目くらい)馬場を選択し、伸びてきた。

これより内で伸びてきたのは3着ロジクライ、5着キャナルストリート、6着リライアブルエース。

外からきて届かなかったのは2着リナーテ、7着スマートオーディン。

勝ったタワーオブロンドンはともかく、2着以下はほとんど差がなく、12着まで0.5秒差。

馬の能力が高いのはもちろんだが、ちょっとした鞍上の判断で差がついたとも言えなくもない。残念ながらスマートオーディンはタワーオブロンドンより0.5秒も速い上がりをつかっているが、ほとんど差がないとはいえ、掲示板にさえ上がれなかった。

そして、来日後、勝ちまくっているレーン騎手の場合、このレースで勝つためのコース取りというのはまさにその通りなのだが、明日のG1ヴィクトリアマイルの予行演習ではないのか、そんな感じさえする末恐ろしい25歳のジョッキーである。

鮮やか差し切りレコード決着の裏に、並々ならぬ馬場への攻略法があったのではないか、そう考えさせてくれる一戦だった。

 

安田記念は開催最終週、今回とは違った走りになるだろう。その時にレーン騎手が乗っているかどうかはわからないが、アーモンドアイ、ダノンプレミアムなどといった強豪相手に、どんな走りを見せるか注目したい。

 

 

(みすてー)

競馬の楽しさを、すべての人へ。
ウマフリとは?
ウマフリ本誌はこちら。
ウマフリブログ
コラボ企画・ご寄稿も大歓迎!
お問い合わせ